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ゾンビーナ!  作者: とれさん
214/378

214 死の病 part5


…ガルルル…


ラクルを追い止めを刺そうとしたワーウルフ達は立ちはだかる日向子に気付いて体勢を整え直す


「…やっぱり誰かに操られてる様ね?」


日向子の前にいる暴徒化したワーウルフは目に狂気を宿していた

発狂しているのに統率された動きなど本来なら出来る筈がない


(ラクルさんは何故時間操作を行わなかったのかしら?)


ラクルの持つ時空操作能力を使えばこの程度の数など脅威に値しない筈なのにそれをしていなかった


日向子に対しても5面同時攻撃を仕掛けてくるワーウルフ達を時空操作であしらっていると

ラクルが背後で倒れる音がした


「ラクルさんっ⁉」


日向子が一瞬隙を見せたと感じたワーウルフはその喉元に喰らいつこうと口を開ける


…ブーーーン、チクッ‼


《⁉ギャッ‼》


日向子の手甲剣がワーウルフを切り裂く前にキメの分体、オオススメバチがワーウルフの眼球に毒針を突き立てた


(《主、一時撤退だ》)


分体を通してキメは撤退を勧める


「そうね、先ずはラクルさんを安全圏に退避させないと‼」


しかしこのまま暴徒化したワーウルフ達を放置する訳にはいかない


《ラクル殿を退避させる時間は俺が稼ぐ‼》


日向子達の背後から追い付いたキメがワーウルフ達に向かって駆けて行く


「キメちゃん‼気をつけて‼」


日向子はキメに声を掛けるとラクルを抱えて城に向かって飛び去った


…グルルルル…


《フッ、お前達の足止めなぞ俺が出る迄もない》


…ブブンッ、ブブンッ‼ブーン‼


キメの周りに無数のオオススメバチが出現した


《悪いが俺も五体満足じゃないんでな、足止めだけさせて貰うぞ》


キメは連日の発病患者治療で全力で闘える状態ではなかった

日向子がラクルを置いて戻って来る迄


キメの分体達は空を縦横無尽に飛び回りワーウルフ達の眼球目掛けて攻撃を仕掛けだした


。。。


バサッ、バサッ、バサッ、


《ラ、ラクル様っ!》


衛兵がラクルを抱えた日向子を目撃し慌てて駆け寄って来る


「ラクルさん発病者に咬まれてるから治療室に運んでおいて‼私は討伐に戻ります‼」


《お気をつけて‼》


日向子は衛兵にラクルを預けると急ぎ現場に向けて飛び立った


バサッ、バサッ、


「キメちゃん‼」


日向子が再び現場に戻るとキメがワーウルフ達に押されて後退しつつあった


…ギンッ‼


日向子はバンパイアアイの瞳力でワーウルフ達の筋肉を硬直させてキメを救いだした


《…すまん、主》


分体として出していたオオススメバチは殆どのワーウルフの視界を奪ったのだがそれだけでは止まらなかった


ワーウルフ達は誰かに指示を受けているかの様に的確にキメの位置を把握して攻撃を仕掛けて来ていたのだ


「…やっぱり影で操ってるのがいそうね…ソレを叩かなきゃ止まらないんじゃない?」


《…そうだな。俺は分体で操者を探す、主はワーウルフ達を頼む》


キメは満身創痍になりながらも分体を周囲に放ち操者の探知を始める


「了解‼任せておいて‼」


日向子は硬直して動けないワーウルフの群れに飛び込むと一気に手甲剣で切り裂いて行く


ザシュッ‼バシャッ‼ザッッ‼


声も上げられないままワーウルフ達は細切れにされていく


日向子はその最中にキメ譲りの聴覚で特殊な音域を捉えた


「これかな?」


…ヒィィィーーン‼


耳をつんざく様な高周波を生み出しワーウルフにぶつけると糸の切れた操り人形の様に倒れていく


「キメちゃん‼操者は高周波を使ってワーウルフを操っているわ‼」


《!!》


キメは日向子の言葉で聴覚を上げるとある方向から発されている高周波を聞き分けた


《ここかっ‼》


…ガシュッ!


《グワッ!?》


発生源にキメが攻撃を仕掛けようと突進したが逆にキメが吹っ飛ばされる


「キメちゃん!!」


日向子が傷ついて横たわるキメの側に駆けつけるとその生物はゆっくりと物陰から姿を現した


「…キメ…ちゃん?」


…グルルルルッ…


ライオンの頭と前足を持ち山羊の頭部を背負うその姿は正にキマイラだった


「…キマイラが真犯人って事はないわよね…何か急に陰謀の匂いがしてきたわ…」


日向子はキマイラを操るテイマーの存在を感じ取っていたのだった


グルル…グギャギャ‼


「…もしかして…発病してるの?」


キメを襲ったキマイラは口から涎を垂らし目の焦点が合っていない


「だとしたら…この狂犬病騒ぎも黒幕がいるの?」


考えてみれば変な点が幾つもあった

ワーウルフは半人半狼のハイブリッド生命体だ。

通常のウイルスであれば寄せ付けもしない筈なのに今回パンデミックを引き起こしている


この狂犬病ウイルスがバンパイア族に仕えるワーウルフを標的に「作られた」モノであったとしたら…


キメに回復薬を掛けて治療をしていた日向子の体に怒りのオーラが漂い始めていた

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