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ゾンビーナ!  作者: とれさん
212/378

212 死の病 part3

今日も複数話、いきます!


「ダメじゃダメじゃ‼全くお主達は何年薬に携わっておったのだ?素人かっ⁉」


ゴルド領にあるウシャ爺の薬科工房では現在急ピッチで治療薬の開発が進められていた


日向子の要請で派遣された元老院達はウシャ爺の知識の豊富さに自信を喪失し、

手伝おうとしたが手際の悪さを頭ごなしに怒鳴られ心まで折られていたのだった


〈何故だ?たかが数十年しか生きられぬ人間が我等の知識をどうして上回れるのだ?〉

〈あ奴の使うこの道具達もまるで理解出来ぬ…〉


バンパイアである元老院はその長命さで革新的な発想が閉塞している事に気付いていない

人間は短命故にその生の中で煌めく思考や能力を発揮するのだと言う事も


ウシャ爺達薬学部門の柔軟且つ奇抜な発想はある意味では停滞していた元老院、

いやバンパイアの認識にカルチャーショックを与えていたのだった


。。。


「良し、試薬26号が出来たぞ。これと先程培養した不活性細胞のサンプルをヒナちゃんの所に届けてくれ‼」


ウシャ爺達はある程度効果が出た試薬と日向子に頼まれたワクチンのサンプルをドラゴネットのドリに渡す


《分かったギャ‼》


ドリは試薬の入った木箱を掴むと空に舞い上がる


「さて、次は発病してしもうた者達への試薬を構築するぞぃ‼」


ウシャ爺は休憩も忘れて次の試薬作りに移行していく


〈ま、待て‼我等も薬剤師の端くれ、何か手伝わせてくれ‼〉


ここまでただ見ている事しか出来なかった元老院達が思わずウシャ爺に助力を申し出た


「…ふん、ではこの薬草を煎じてあっちにある回復薬と比率を変えて混ぜておいてくれんかの?」


〈わ、分かった。比率濃度は記載しておくのだな?〉


「当たり前じゃ‼偶然適合したとして何になるんじゃ?薬は万人に行き渡ってこそ薬なのじゃからな‼」


ウシャ爺は元老院達を認めていない訳ではない。まるで昔の己を見ているかの様な目で彼等を見ていたのだ


日向子と出会う迄はウシャ爺も元老院達と同じ様に既存の回復薬に慢心してしまい更なる研究を怠っていた


日向子と出会い新しい薬草等とも出会って今の特効薬を調合出来たのだ


(ワシはヒナちゃんと会えていなければ片田舎の薬師として終わっていた身じゃ。

恩人の頼みであれば全てを賭してでも応えねばあの世で師匠に何と申し開きをしたら良いか分からんわい)


こうしてウシャ爺達薬師集団はハイペースで狂犬病の特効薬を開発していったのだった


。。。


ワサッ、ワサッ、


《主様ぁ~、薬をお持ちしましたギャ‼》


全力で飛んだドリがラクルの居城に到着した


「あ‼ドリちゃん、ありがと‼」


日向子はドリから木箱を受け取ると早速感染者に試薬を、疑感染者に不活性細胞(ワクチン)を投与した


「取り敢えずこれで経過観察ね」


〈《はい‼》〉


治療に当たっていたワーウルフやバンパイア達が応えた


「ラクルさん、様子を見て感覚遮断を解除しますよ‼試薬の効果が分かりませんから‼」


〈分かった。では日向子、お前は少し休め〉


「えっ?でも⁉」


〈この瞳力の使い方は精神負荷が大きすぎる。此処からは交代で看よう〉


「…うん」


日向子は渋々納得して傍らに置いてあるソファーに横になったがやはり無理をしていたのか直ぐに眠ってしまった


〈…他者に此処まで慈悲を掛ける理由は何だ…〉


ラクルは日向子の行動原理が全く理解出来ない


今日向子達に手を貸しているのは突き詰めれば自己愛に近い理由からだ


ワーウルフが多数死のうが彼等は高い繁殖力で直ぐに数を増やすだろう、

保守的で独占欲が強い貴族なぞ勝手に死ねば良い。


それでも日向子に手を貸しているのは自国を護るという王の矜持ともし隷属達が全滅してしまったら誰が自分の世話をするのだ?

という利己的な考えからであったのだ


対して日向子の自己犠牲は見返りなど全く求めていない


バンパイアは生まれ出た時から自分の力で生きなければならない。

例え生んでくれた母親でさえも時には敵となるのだ

生物としての根本的な成り立ちの違いから日向子達の献身が全く理解出来ない


〈…人間とは理不尽な生き物だな…〉


今熟考しても答えは出まい、それに気付いたラクルは患者の感覚コントロールに意識を集中させた


。。。


ドリがウシャ爺の下に飛び去って直ぐにドラが別の試薬を持って飛んで来た


《主様、罹患状態を判別する試薬をお持ちしました‼》


「良かった…これで四六時中観察する必要はなくなったわね」


罹患検査薬の到着により日向子以下手伝っていた者達の負担を大幅に減らす事になる


疑わしい患者は選り分けられ解放された事で労働負担が減り人員を減らす事も出来た


日向子は看護に当たる者達を小班に分けローテーションを組み休ませる事で更に負担は軽減されたのである


三日後ウシャ爺達が作った検査薬が量産体制に入り各領主に配布された


これらの努力により一時は終息するかに思えた今回の騒動はある者の出現によりまた猛威を振るう事になるとは誰も予想はしていなかったのだった

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