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ゾンビーナ!  作者: とれさん
206/378

206 何でこうなるの?


家出が休暇に変わって数日、日向子は温泉と猿酒を堪能していた


「はぁ~、何にもしないって最高ね‼」


ここ数日ですっかり懐いた子マシラ達は日向子にべったり張り付いている


〈日向子ちゃん、いるかな?〉


女湯の外で斉藤の呼ぶ声が聞こえた


「あ、はーい‼今出ますねー‼」


(本当に温泉が好きなんだな…)


斉藤は暇さえあれば温泉に浸かっている日向子に呆れ顔だ


「お待たせー‼で、何か用ですか?」


〈うん。ラクル王から手紙を預かってね、何だか緊急の要件らしいよ〉


「ん?何だろう?」


…パラ…


日向子は斉藤から手紙を受け取ると早速開封した


「あら、王様から緊急呼び出しだって。…何だろう?」


日向子は急いでエレモス城へと向かった


バサッ、バサッ…スタッ。


「王様~、いますか~?」


日向子は謁見の間のバルコニーに降り立ち王様を探す


「あっ‼日向子様‼少々お持ち下さい‼」


侍従が日向子を見て国王を呼びに行った


「おぉ、日向子か‼大変だ‼」


国王は慌てて玉座に座ると日向子に皮で出来た手紙を渡して来た


「…これは?」


「お主の所のスタッフを拉致したから身代金を寄越せという盗賊からの脅迫状だ」


「…えっ⁉誰か捕まってるんですか⁉」


「それがな、お主のスタッフに尋ねたら全員いると言うのだ」


「?…仰ってる意味が分からないんですけど…」


「もしその脅迫状が本物ならお主のスタッフと間違われた誰かが拉致されている、と言う事ではないか‼」


「あ、そうか‼」


日向子は漸く事態を飲み込めた


神獣運輸内で帰っていない者がいなければ一般人が犠牲になっている可能性もある。

いずれにしても何故神獣運輸のスタッフを狙い尚且つエレモス国王に脅迫状を送り付けて来たのかが全く分からない


「で、要求とか何か犯人側から接触はあったんですか?」


「それが今回お主を呼んだ理由だ。ついて来てくれ」


国王は日向子を階下にある中庭に案内した


「ん?あれっ?ペスじゃない⁉」


…クゥ~ン…


案内された中庭で待っていたのはブルピットのペスだった


「ペスちゃん一体どうなっているの?」


…クゥン…


「このブルピットがあの脅迫状を持って此処に来たのだが流石に話せないのでな、

お主なら分かるかと思い呼んだのだ」


日向子は困り顔でペスに訊ねる


「あれ?ペスちゃんって人語教わって話せる様になったよね?確か…」


《主様、ゴメンなさい‼》


ペスは日向子に恐らく土下座のつもりなのだろう、全力で伏せをした


「ちょっ、ちゃんと説明して?」


ペスはたどたどしい人語で説明をし始めた


。。。


「…ふーん、なるほどね…じゃあピレネー村のピンタさんが間違われて連れ去られたって事ね?」


《…はい…》


ペスの話はこうだ、


神獣運輸がまだピレネー村にあった頃、ペス達の世話を村人達に依頼していた事があった


その時ペスと仲良くなったのが村娘のピンタでペスは人語を話せる様になってからピンタの下へ足しげく通っていたそうだ


ゴルド領にピレネー村ごと引っ越しをしてからは更に会いに行く頻度が上がり

昨日もピンタと一緒にピレネー村に遊びに行っていたそうだ


「…で、ソコで盗賊に襲われたのね?」


《はい、ピレネー村に着くといつの間にか村は盗賊達の住み処になっていて…》


「…そう。分かったわ、ヒロアカちゃんの事は私に任せなさい‼」


《主様‼》


「私の大切なピレネー村を乗っ取るなんて許せない‼消し炭にしてやるんだから!」


日向子は怒りに任せてバルコニーから飛び立った

ペスも急いでピンタのいるピレネー村へと疾走していく


「…気のせいかワシはおざなりにされておらんか?」


侍従は縦に首を振りそうになるがギリギリ横に大きく振った


ー旧ピレネー村近郊ー


「良い?私が陽動を掛けるからその間にピンタちゃんを助けてね?」


《分かりました、主様‼》


日向子は陽動の為ペスと別れ上空に舞い上がる

両手には拳大の石を2つ持っている


…ヒュッ‼…チュドォーーーンッ‼


日向子の放った石は地面に触れた瞬間衝突エネルギーで爆発が起きた様に大きな音を立てる


「なっ⁉何だっ⁉」

「おいっ‼上を見てみろっ‼」


バサッ、バサッ、


「アンタ達ね?ピンタを拐ったのは‼」


「て、テメエ‼日向子って女だな⁉ノコノコ1人でやって来やがったか‼」


日向子は罵声などお構い無しにもう1つの石を地面に投げつける


ヒュッ‼…チュドォーーーンッ‼


「ぎゃあぁぁぁ~っ‼」


衝突エネルギーにより粉砕されて礫が先に出てきた盗賊数人に突き刺さる


「おらぁっ‼攻撃したら人質がどうなっても知らなねぇぞ!」


多分盗賊の頭と思われる男が数人の手下を連れて家から出て来る


「アンタ達‼私の故郷に勝手に住み着いてタダで住むと思ってんの⁉」


「ケッ‼空き家を拝借して何が悪いってんだ!もう此処は俺達のアジトだぜ‼」


…グゴゴゴゴゴゴ…


「お、おい‼あの女?」


日向子は憤怒のオーラを身体中から噴出させサイ○人みたいな様相になっている


「テメエ‼人質がどうなって…も?ってあれっ?」


頭がピンタを引き寄せて日向子を脅そうと手を伸ばしたがその手が宙を切った


「ペスちゃん‼」


ワフゥッ‼


ペスは間一髪でピンタを救い出した


「あっ‼コラッ⁉テメエ‼」


頭と手下が慌てて取り戻そうとするが既にペスは数十メートル先に跳んでいる


「…さぁて、アンタ達。覚悟しなさいよ?」


「クソッ‼こうなりゃあの女を捕まえて人質にするぞ‼」


…「ガッ⁉」「ゴッ⁉」「ギャッ‼」


「バカねぇ、そんな事言ってる間に攻撃でもしてくれば良いのに」


日向子の拳が一瞬で三人の手下を沈黙させる


「あ、そうだ‼折角だからお城の拷問道具で反省して貰いましょ」


日向子はエレモス国で採用された拷問道具を思い出した


…ギンッ‼


日向子のバンパイアアイが残りの盗賊の意識を刈り取った


こうして誘拐事件は今後の見せしめの為に苛烈な公開拷問を予感させつつ終了したのだった

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