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ゾンビーナ!  作者: とれさん
205/378

205 家出じゃないよ、休暇だよ


家出から始まった日向子の逃避行はシルグに許されて正式に休暇として扱われた


次の日の朝、日向子は斉藤の為に急遽作った湯船を男湯と女湯に分けて作り直す工事に取り掛かった


〈…本当に手伝わなくて良いのかい?〉


斉藤は日向子の工事を見て申し訳なく思っていた


「うん、泊まらせて貰うお礼だからね。直ぐに出来ちゃうし」


確かに日向子の作業スピードは異常だった


サッと飛び立ったかと思うと何処からか竹に似た素材を沢山抱えて戻って来て半分に割いて天日干しする


乾く間に手甲剣を出すとチャチャツと2つ穴を掘ると河原から適当な石を集めて敷き詰める


天日干しされて乾いた竹に似た素材を器用に蔓で編んで2つの穴の間に設置して衝立にする


余った時間で脱衣場と洗い場をこれまた竹擬きでサクサクと建ててしまった


〈何か凄い手慣れていて手を貸す隙がないや…〉


斉藤はせめてお茶でも…と思い淹れ始めたが日向子はお湯が沸く間に洒落た露天風呂を完成させてしまったのである


。。。


…カポーン…


日向子達は出来上がった岩風呂に早速浸かっている


〈いやぁ、まさかこっちの世界で温泉が楽しめるなんて思わなかったよ〉


斉藤はマシラ♂達と湯船で寛いでいる


「私も何か物足りないと思ってたらコレだったんですよねぇ~…」


日向子もマシラ♀や子マシラ達と体の洗いっこをしている


キキッ‼キキッ‼


「あっ⁉こら、そんな所触っちゃ…くすぐったぁい☆」


キキィ~‼


衝立の向こうからは何やら心をくすぐる声が聞こえて来る


〈。。。(///〉


!?キャキャーッ‼


一頭のマシラ♂が斉藤の「体の変化」に気付き囃し立てる


〈あっ!ちょっ?シーーーッ‼〉


「ん?なぁに?どうしたんですかぁ?」


バシャッバシャッ❗


〈あっ‼いや‼何でもないです‼〉


斉藤はこれ以上の失態を防ぐ為に慌てて肩までお湯に浸かる


((大した事じゃない、斉藤が発情期になっただけだ))


「?…それって…」


衝立の向こうから疑惑の波動が漂って来る


〈だぁ~っ‼何でもないっす!〉


斉藤は長に欲情した事をあっさりバラされパニクって湯船から上がろうと立ち上がる


…ツルッ‼〈あっ⁉〉…ガンッ⁉


お湯に足を取られ滑った斉藤はしこたま後頭部を打ち付けて気絶してしまった


((ひ、日向子‼大変‼))


女湯に慌てて入って来た長の言葉に日向子が男湯に駆けつけると

斉藤が全裸&大の字でノビていたのだった


。。。


〈…う、う~ん…痛ててて…〉


斉藤が目を覚ますといつの間にかベッドに横にされていた


〈?あれ?確か滑って…〉


頭を触るとおそらく包帯か何かが巻き付けられているのが分かった


(そっか…お風呂で気絶して運んで貰っ…はっ⁉)


斉藤は慌てて掛けてあった毛布を剥ぎ取る


〈…良かった、ちゃんと着て…って誰が着せたの!?〉


マシラ♂達が着せてくれたのならいざ知らずもし日向子に見られていたら…


そう思うと斉藤の顔は真っ赤になっていた


「あ‼起きたんですね?痛みはどうですか?」


丁度日向子とマシラ♀が斉藤の寝室に水を持って入って来た


〈あ‼す、すいません‼〉


かなり動揺した斉藤は取り敢えず謝った


「あはは、困った時はお互い様ですよ、でも軽い怪我で良かった」


生粋のバンパイア達は怪我を負っても瞬時に回復するが斉藤の様に後天的に変態した者は回復能力も劣化する様だ


「まさか運悪く頭蓋骨骨折してるとは思いませんでしたよ、人間だったらほぼ即死でしたね」


日向子はサラッと恐ろしい事を伝える


〈…そんなに酷かったんですか?〉


「え?あ、うん。ちょっと「飛び出して」たし…」


〈と、飛び出してたって何が⁉〉


「あはは、頭から飛び出すのってもうほぼアレしかないですよね?」


日向子の言葉に危うく失神しそうになる


〈…湯船で滑って頭蓋割るとか…それで死んだらなかなか恥ずかしい死に方ですね…〉


斉藤は死亡した自分の姿を想像して嫌な汗を流している


〈…はっ‼そ、そう言えばこの服は…〉


危うく本題を見失いそうになったが斉藤は肝心な質問を日向子にぶつけた


「えっ?ソコのタンスに入っていたのをマシラちゃんが出してくれたんだけど…マズかった?」


〈あ、いや‼そういう事ではなく…誰が着せて…〉


「あぁ、それなら私ですよ?」


動揺を隠せない斉藤とは対照的に日向子は普通に答える


〈…じゃあ…ボクは裸を…〉


「あー、そう言う事ね?慣れてるから大丈夫ですよ」


〈な、慣れてるって???〉


そう言えば日向子は前世での職業を斉藤に伝えていなかったのだ


「あ、そうか。私、前世ではオペ看…看護師だったんですよ」


〈あぁ、そういう意味でしたか‼(///〉


斉藤は何か違う職業と勘違いしていた様だ


「あはは、それ前世だとセクハラですよ?」


〈あは、そ、そうだね〉


斉藤は日向子の指摘に冷や汗をかいていた

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