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ゾンビーナ!  作者: とれさん
195/378

195 ドッキリ大成功? part2


アービスは馬車の中で先日の会合を思い出し吹き出してしまう


「ハハハハッ‼彼奴らの欲の皮は何処まで伸びようが満たされる事などないのにな‼ハハハハ‼」


アービスの真の狙い


それは国王の依頼を受けた時に成就した


(ゴルドを我が物に!!)


工業だの商業だのちまちまとした利権よりそれらから永久に搾取し続ける

自分びいきの人間を要職に就け更に絞れば良いではないか


この野望の成就には何としてもゴルド領に侵攻し、その場を掌握しなくてはならない


あの日向子を暗殺してでも…


それを叶える為の人数(間者)を送り込んだのだ、失敗などする訳がない


理由をこじつけてでも侵攻しようとしていたアービスに国王から思わぬ援護射撃が来たのだ、この機会を逃す道理がなかった


自ら先陣を切りゴルド領に進軍、暴徒鎮圧を盾に領内を侵略

情勢不安定と国王に伝える間に日向子が突然暴徒に殺され更に情勢が悪化したと報じれば

国王もアービスを暫定的に領主にせざるを得なくなる


「…それからだ。彼奴らの粛清はな…」


アービスはこの計画が成功した段階で利権を貪ろうとしたメンバーを粛清するつもりなのだ

それだけでなく事実を知っている間者全員も根絶やしにするつもりだ


「後は…場合に依っては兵達もだな…」


士気を上げる為に許した簒奪だがアービスはそれも許すつもりはない


いずれ全てが我が物になるからこそ簒奪を許したのである


「フフフ…フハハハハ‼これからの事を思うとどうしても笑いが止まらぬわ‼」


並みの強欲ではないアービスの妄想はゴルドだけでなくいずれはバンパイア族をも視野に入れていた


「アービス様‼前方にゴルド領が視認出来ておりますが如何致しますか?」


「…ん?予定では明日ではなかったのか?」


「はっ、何故か既に視界に入っております」


「はっはっはっ、皆逸る気持ちで行軍が捗ったのか?まぁ早く到着する分には良かろう

では先見隊を身繕い直ぐに状況を探って来るのだ」


「ははっ‼」


やっと褒美にありつける、と思った兵士達は我先に先見隊に挙手して勇んでゴルド領を探りに行く


小一時間もしない内に戻って来た彼等が報じたのは


「領内は暴徒がおらず無人に近い」

「我々を見た住民達も着の身着のままで脱走し、私財はそのまま置き去りになっている」


という簒奪者にとっては棚ぼた的な状況であった


「…ほぼ無人だと?」


「はっ、我々が向かった時には既にもぬけの殻で他の者が西方に逃げて行く住民達を目撃したとの事です」


「フフッ…我らを見て逃げるとは其奴らも暴徒であったのだろう。命拾いしたな」


「アービス様、如何致しますか?」


「うむ。全軍、ゴルド領に進軍せよ‼」


アービスの号令で簒奪者達の目の色が変わった


彼等は既に兵士ではなく鬼畜にも劣る簒奪者に成り果てていたのだ


「へへっ‼俺が一番乗りしてお宝を独り占めしてやるぜっ‼」

「はっ‼お前みてぇなドン亀が急いだってお宝なんざ残ってる訳ねぇだろ‼」


彼等は行軍の列から我先にと飛び出し一気に軍勢が崩れた


兵士の皮を被った只の野盗


そう呼ぶに差し支えない人の波が一気にゴルド領になだれ込んだのである


…ワァー‼ガシャーンッ‼ドカンッ‼


「…ったく…一応鎮圧隊じゃなかったの?これじゃ暴徒と同じね」


上空でアービスの私兵達を見学していた日向子は呆れ果てていた


《さっき張り付けておいた俺の分体によるとアービスは仲間全てを粛清するつもりらしい》


日向子はキメの報告に目を見開いたが直ぐにその瞳から感情が消え失せた


「救い様が無いわね。これで躊躇いなく処分出来るわ」


『…そうだな。彼奴らの醜さは人の業を遥かに越えている』


《国王からは何と?》


「…生殺与奪は私に任せるって」


《…なら問題ないな》


「えぇ」


日向子達は眼下の罠に群がる人間の屑達の殲滅を決意した


「馬鹿野郎!これは俺が見つけたんだ‼離しやがれっ‼」

「てめぇ‼殺すぞ‼」

「あ?殺れるモンならやってみろ‼」


兵士達は住民が残した貨幣や貴金属に群がり奪い合いを始めていた


「皆の者‼我々は暴動鎮圧部隊なのだ‼決して証拠は残すなよ‼」


隊長らしき人物も両手に抱えきれぬ量の宝石を持って部下に命令を下している


「…フッ…浅ましいな。その努力は報われる事なく私のモノになると言うのに」


アービスは私兵の簒奪をまるでゴミでも見るかの様に眺めている


「それにしても間者達の姿も見えぬ…一体何処にいると言うのだ?」


アービスが漸く不審を抱いたその時である


「ッギャァァァーーー⁉」

「な、なんだこりゃあっ!?」


突如前方に展開していた兵の間から悲鳴が聞こえて来る


「何事だ‼報告せよ‼」


馬車の扉を開け近くの兵士に事の次第を訊ねたアービスに届いた声は耳を疑う様な異変だった


「ア、アービス様‼これは罠です!」


「な、何だと!?」


アービスは馬車から飛び降りてその情報の下へと駆けつけたのであった

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