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ゾンビーナ!  作者: とれさん
193/378

193 ひーとりふーたり…


「貴様達の成功を祈る!」


「激励のお言葉、感謝致します」


アービスは勝利を確信しているのかザザ(キメ)を全く疑わず気持ち良く送り出した


間者達は様々な職業に扮してゴルド領入りを目指すのだ


ザザ(キメ)の指示では一旦ゴルド領の手前で集合し、バラけさせて入領する予定だった


「では出立ー!」


間者達は四方八方に散っていく


わざと遠回りする事でタイムラグを稼ぐのと一方向から来たと思わせない為の偽装なのだ


数日後、ザザ(キメ)が指定した森の外れに1人、また1人と間者が現れる


半日もしない内にあらゆる方向から間者達全てが集結した


「ザザ様、ご指示を‼」


片膝をつき頭を垂れる間者達にザザ(キメ)は次の指示を出す


「これから潜入するがゴルド領内には既にアジトは作ってある

今地図を渡すが覚えたら破棄してくれ‼」


「「「「「はっ‼」」」」」


間者達は農民や商人、時には荷物に紛れてゴルド領に向かっていく


その様子を遠巻きに監視する者達がいた


アービスに加担はしているものの信用していない貴族や商人達の子飼いの間者達だ


(今先陣が門に辿り着いたぞ…)


彼等の目の前で扮装した間者達が次々と入領していく


(…ゴルド領はザルなのか?ロクに検査もせずに受け入れているぞ?)


監視役の間者達はゴルド領の検問方法に唖然としていた


普通なら見慣れない顔や怪しげな荷駄には特に念入りに検閲するのが当然なのにほぼ顔パス状態で抜けて行くのだ


(…あれならば今回の雑な潜入も納得がいくな、良し。主様にご報告だ)


間者達はザザ達の潜入方法に疑問を抱いていた


「100人近くの流入を果たして感付かない検閲があるのか?」と


それ故に主人達にその違和感を報告し、監視する事にしたのだが…


目の前で次々と吸い込まれていく間者達を見て呆れていたのだ


(フッ…とんだ取り越し苦労だったな、こんなザル検問なら扮装も必要ないのではないのか?)


監視していた間者達は一応全ての潜入が終わる迄監視を続け各々の主に報告する為にその場を立ち去って行った


「はーい、こっちに1列で並んでー‼名前と所属を書いたら此処に入って待っていてねー‼」


監視役はあまりのザル検問に潜入したザザ達の行方を追わずに帰ってしまったが

検問の向こうではある意味驚愕の行動が行われていた


検問を抜けた間者達がまるで夢遊病者の様にトコトコと列を作り言われるがままに記帳を済ませ設置された小屋に入って行く


「キメちゃーん、これで全員?」


《ああ。94人、全員だ》


ザザに扮したキメは日向子に全ての間者が小屋に入った事を伝える


「良し。じゃあキメちゃん全員の意識を断ち切って」


《了解。》


…ガクンッ‼


小屋の中に整然と着席していた間者達はキメの合図と共にまるでスイッチが切れた様に項垂れる


「シルちゃん、この小屋を例の場所に運んでー」


『分かった』


シルグはドラゴン形態になり小屋を持ち上げると小屋ごと運び去って行った


「キメちゃんのお陰で一網打尽ね、ありがと♪」


小屋の中にいた間者全員のうなじにはキメの放った蜘蛛がついていた


《これが反乱分子達の名簿や金銭の授受の証拠だ》


キメは一抱えもありそうな箱を日向子の前に取り出した


「これで証拠は出揃ったわね、後は犯人達を追い詰める段取り組まないとね」


《何か作戦はあるのか?》


「うん、王様に報告ついでに犯人達に揺さぶりを掛けて貰って…出てきた所をまた一網打尽よ」


《また随分ザックリしているが日向子の事だ、きっと上手く行くだろう》


キメは作戦の精度はともかく日向子が携わる成功率に信頼を置いていた


(最悪俺達で殲滅してしまえば良い事だしな…)


キメは日向子の意図を正確に汲んでいたのである


ーヨウム領某所ー


「そうか!無事潜入したかっ!」


アービスをはじめその場に集った反乱勢力は監視していた間者の報告に一気に活気づいた


「後は破壊工作の成否を待って全てを取り込めば…我々の権勢は再び取り戻せるのだ‼」


どこかの秘密結社の様にマントを深く被った同席者達も静かに拍手を送って賛同している


「さぁ各々方‼次は誰がどの分野を受け持つか、協議を始めようではないか‼」


アービスはゴルド領が再び崩壊した後の利益分配を話し合おうとする


取らぬ狸の皮算用


ここが日本であれば奥ゆかしい人間もいただろうが残念ながら此処には肉食系しかいないらしい


我が我がと己の利益分配を少しでも多くぶん獲ろうと協議は白熱していくのであった


ーゴルド領ー


「よーし、これで準備オッケー‼後は犯人達がノコノコと罠に掛かるのを待つだけね」


日向子はまるでゲームを楽しむ様に明るい声でキメ達に話す


《…しかし人間とは愚かなモノだな。国王と主が緊密な間柄なのを忘れて欲に駈られるとは》


キメは今後起こるであろう事態を想像してため息をついていた

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