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ゾンビーナ!  作者: とれさん
190/378

190 技術革命

昨日先に191話を投稿してしまっていたので修正しました


ーゴルド交易特区ー


〈これが私達が作った工芸品です〉


ミーチャは住民代表となったミグルに持参した工芸品を見せる


「…これは凄い、細工が細やかだし彫金技術も素晴らしいモノですね」


〈そう言って頂けると職人達も喜びますわ。これらの品々はバンパイアの職人達が半世紀を掛けて作った美術品です〉


「…半世紀、ですか?人間では不可能な程の時間を費やされて出来ているのですね…」


ミーチャは出されたお茶を一口啜ると更に続けた


〈バンパイア族は生産加工で利益を得る必要がないのでこれらも全て職人達の手慰み程度なのです

人間達の様に依頼を受け作り、それによって対価を得ると言うよりも領主や貴族、王族に献上される為に作られます〉


ミーチャの説明にミグルは成る程、と頷いた


「それでは此方が農業における土作り等をまとめた書物になります。お納め下さい」


…パラッ、パラッ…


〈…素晴らしい、図解でも記載されているのですね?〉


「はい、領主様から読めない者の為に図解を詳しく書き記せとの厳命がありましたので」


〈成る程。私達バンパイア族ではなくワーウルフ達に…ご厚情感謝致しますと領主様にお伝え下さい〉


「はい、承りました。それで今後の件ですが…」


〈今この特区に5名の職人が向かっております。数日後には到着致しましょう〉


「折り返しで私達が農業指導者をそちらの領地にお伺いする、で宜しいのですね?」


〈そうです、文献だけでは作物作りの全ては学べませんからね〉


「交流中はミーチャ様は此方に?」


〈はい、期間は分かりませんが次の大使が決まる迄は〉


「…次、ですか?随分暫定的なのですね?」


〈あ、これは失礼。私達の時間の感覚でつい…恐らく次の大使が決まるのは500年は先ですよ〉


「…500年ですか?それはまた…」


〈フフッ、私達にとっては「暫定的」な時間ですよ〉


ミーチャの微笑みにミグルは目眩を覚えていたのだった


数日後、バンパイアの職人達が特区に到着した。


彼等の卓越した技術と知識は兵器生産というこの世界の最先端を行く技術を持っていたゴルド領民にも考えつかない程高度なモノであった


職人達はミグル達に機械の仕組みと工学の知識を教えそれに付随する錬成術等を伝授した


これらの知識はバンパイアの王の名を頂き「ラクル工学」と名付けられ後の世に機械化文面として花開く事となる


一方ゴメリの元にナクル達が派遣されワーウルフ達に農業を指導していった


効率的な農耕知識とバンパイア族の土地に適した作物の選別により食料事情は劇的に改善

支配下にあるワーウルフ達から飢えは取り除かれたのであった


「へぇ、バンパイアっつうのは直接血を吸うんじゃなくてオド(生気)を吸うんかぃ?」


ピレネー村出身のドンバはバンパイア達とも仲良くなって世間話をしていた


〈血を飲むのは…そうですね、人間の感覚で言うと酒を嗜む感じに似ているでしょうか?〉


「んじゃ別に飲まなくても良い訳だ⁉何で世間ずれでおかしな事になっとるだべか??」


〈大昔…始祖の頃には人間族との戦いがありその時代には捕らえた人間を血祭りに上げていたそうですのでその名残かも知れませんね〉


「はえ~、聞いてみねぇと分かんねぇモンだなぁ…」


〈貴方達の認識ではバンパイアは頸動脈、つまり首筋に噛みついて血を吸うイメージだと思いますがそれも殆どしません〉


「ん?んだばどうすっだか?」


〈どうしても血を欲する場合は対象者の指先とかを少し切って血を貰うのです〉


「そっだら面倒な事すんだべか?」


〈直接噛むと唾液から感染して所謂「擬き」が生まれてしまうのです。

ですから普通は直接噛む事はしないんですよ〉


「なぁるほどなぁ…何か思ってたんと全然違うっぺ…怖くねぇし親切だしよぉ」


〈それは此方も同じです〉


「ん?やっぱり人間も悪く思われてるだか?」


〈まぁ…私達は誤解されて討伐対象にされ易いので人間は怖い、と教えられて来ました〉


「そっがぁ、なら俺たちが仲良くすりゃそう言う勘違いも減っていくだぁな」


〈そうですね、双方の誤解が解ければより親しくなれると思います〉


「バンパイアの人達は皆美男美女だぁに求婚されまくんじゃねぇだかな?」


〈あはは、でも私達は此処にいる人員の最年少は460歳ですけどね〉


バンパイアと人間、お互いがこんな冗談を言い合える迄に近寄れていた


ゴルド領内の特区でも同じ様に両者の交流が進み「親しい隣人」というイメージが生まれつつあったのだった


ーエレモス領ヨウム某所ー


「…化け物共と交易を結ぶとは…人類を危機に陥れるつもりか⁉」


ヨウム領領主、アービスは拳を握り締めて弾劾する


「流石に国王のご寵愛を受けている日向子殿とは言えやり過ぎは否めませんな…」


「一刻も早くあの売国奴を排し国王の目を醒まさせなければこの国は飲み込まれてしまうぞ!」


アービスの元に集う人物達はその言葉に深く頷き策を練るのであった

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