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ゾンビーナ!  作者: とれさん
177/378

177 お土産?


ゴルド滅亡の真犯人、元老院の最古老達が日向子に引き渡されたその日、

バンパイア族とゴルド領の停戦和平条約が正式に締結された


真実を知ったバンパイア族は始祖を弑逆したドグラ達を極刑にとラクルの居城に詰め掛けたが

それよりも最古老達に長年加担した貴族達の粛清が先だ、とラクルに突っぱねられた


最古老を除く元老院達だけでは国外逃亡しようとする貴族達を一網打尽にする事が不可能だった為


ラクルは市民に懸賞金をかけて貴族達を捕縛する様に命じたのだった


その数凡そ全貴族の3分の2、家族や親類を合わせるとバンパイア族の半数近くにも及んだ


罪状の加減はあれど貴族達は皆己の私欲を満たす為だけに平民の利を貪っていたので

市民は嬉々として貴族狩りに参加したのである


粗方逃亡しようとした貴族一党が捕縛された段階でラクルは改革を宣言

これまでの血統第一主義を実力主義にする事に改めた


元老院は存続はするが所有していた権限は剥奪、

残ったのは精々生き字引として市民の相談や教育に利用される程度に規模を縮小された


収監された貴族達は関与や罪状の重さにより厳罰~死刑という重い罪に問われ

最高刑は現在ゴルド領に収監されている薬師に保存してある始祖の肉を供給していた貴族に与えられた


「二千年拷問刑」


という市民の前に晒されたまま二千年拷問を与えられる生き地獄的な極刑だった


粛清も一段落した段階でラクルはゴルド領主として日向子をバンパイア族の市民に紹介し

今後は可能であれば相互交流を、難しいのであれば相互不干渉を国民に説いた


人間とバンパイア、獲物と捕食者の垣根を越えた瞬間でもある


まぁ勿論ラクル王の決断に不満を持つ輩がいなかった訳ではなかったが

現時点では反旗を翻す体力も権力も持ち合わせていない


改革とは痛みも伴い進むモノなのだ


「じゃあ最古老達は一旦ゴルドで預りますね」


日向子は拘束されたドグラ達を馬車に乗せながらラクルに言った


〈既に国民の総意は得ている。煮るなと焼くなと好きにするが良い〉


ラクルはもうドグラ達には興味がないのか手をヒラヒラと振りながら日向子に応えた


「いえいえ、ちょっとボロボロになるだろうけど必ずお返ししますよ。

変にそちらの国民に恨みを買ってもつまらないですもんね」


日向子は今後の市民(バンパイア)感情を考えて返す事を選択したのだ


〈…分かった。では再び会おう〉


「えぇ、いずれまた。」


ニル(スレイプニル)に牽かれた護送車がゆっくりとラクルの居城から発ったのは

結局最古老達が捕縛されてから1週間後の事だった


ーゴルド城内ー


「人殺しぃーーーっ‼」

「獣めー‼」

「家族を返してぇっ!」


日向子達護送車が城下町に到着すると被害者遺族が口々に護送車のドグラ達を罵った


それだけでなく投石等も始まり収拾がつかなくなってきたので日向子は街の広場に一時ドグラ達を晒した


石や泥、棒やゴミが飛び交う中ドグラ達は恨みの捌け口として屈辱を受けていた


この騒動が収まるのに丸1日を要したが少しは遺族達の感情も収まったであろう


ドグラ達は文字通りポロ雑巾の様になり翌日城に連行された


「さて、貴方達が犯した罪の痛みは少しは理解出来たかしら?」


日向子は立つ事も出来ない程衰弱したドグラ達を見下げて話し掛けた


〈…この屈辱、死しても忘れんぞ、人間風情が…〉


スッ、スタスタスタ…ザシュッ‼


〈ぎゃあぁぁぁっ⁉〉


ドグラの暴言に日向子は無言で近寄り腕を斬り飛ばした


「…生きてるからってナメないでね。私、甘くないわよ?」


表情も変えずに腕を斬り飛ばした日向子を見て漸くドグラ達は気付く


(この人間はラクルよりも危険だ)


そもそも人間、しかも女性だからと軽く見ていた


よくよく考えれば2度目の国境侵犯時にラクルと互角の戦いが出来なければこの娘はここにこうして立っていないのだ


実力はラクルと同等かそれ以上なのだと認識を改めなければ最古老達の命は瞬時に潰えるのだ


《で、これからどうする?》


キメが日向子に最古老達の処遇を訊ねる


「一応遺族達の意見を聞いて…それから殺さない範囲で罰を受けて貰うわ。

そう言えばこの世界の拷問ってどんなのがあるか、まだ聞いてなかったし色々試しましょ」


『…色々って…主殿はこやつらを拷問三昧にするつもりなのだな?』


「あったり前じゃない‼こいつらのせいで何人が犠牲になったと思ってんのよ?

直ぐに殺したら勿体ないわよ」


そう語る日向子の表情は満面の笑みを湛えていた


ドグラ達は改めて戦慄を覚えたが抵抗どころか指一本動かせては貰えなかったのである


【告】真犯人に対する処遇アンケート


日向子の発案により遺族に意見調査が行われた


冒頭に「殺す以外の方法で」と「領主直々に拷問をします」という文言が並んでいたが基本匿名の自由回答にしてあった


「やっぱり遺族達で八つ裂きに」

「許せない」

「殺しても憎しみは消えない」


など極刑を求める声が案の定全ての遺族の総意であった


「やっぱりデモンストレーションは必要かもね♪」


日向子の笑顔にキメとシルグは悪寒がしていたのだった

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