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ゾンビーナ!  作者: とれさん
172/378

172 ♪瓦解、和解、そして誓い yeah♪


日向子とラクルはバンパイア領の荒野で舌戦を繰り広げ(?)ていた


〈貴様…兄者を洗脳したのか?〉


常にラクルを目の敵にし、尊大な態度で辺りに唸り散らしていた実兄ドラクが

「改心」等する筈もない。しかも霊能力などなかった筈だ


「あはは…そう言われると思ってドラちゃんからお手紙を頂いて来ました」


〈…手紙…だと?〉


筆無精で書類のサインでさえ人任せだった愚兄が「手紙」を寄越すなど何の天変地異だ?


ラクルは震える手で手紙を受け取る


封筒に押された蝋印は確かに兄、ドラクの紋章だ


訝しみながらソッと手紙を開く


~我が弟、ラクルへ~


こんにちは、お元気ですか?


兄のドラク…今はドラと名乗っています


貴方の事だから今この手紙を読んでさぞかし驚いている事と思います


私ドラは新しい生き甲斐を得て殺してしまった遺族達の心のケアをしています。

充実した日々を送っているのでご心配なく。ってしてないか☆


兎に角ソコにいる日向子様は貴方との和解を望んでいます。

元々ゴルド侵略等歯牙にもかけていなかった貴方にとっても良い話だと思います。


是非話を聞いてあげて下さいね


因みに薬師とは未だ会えておりません。ごめんなさい…


ではご自愛下さい


~敬具~


…カサリ…


ラクルは手紙を畳むと全身から禍々しいオーラを噴出させた


〈…貴様、こんな紛い物で俺を愚弄するつもりか?〉


周囲の空気が凍りつき触れれば切り裂かれそうだ


「だよねぇ…と思ってこれも預かってきたよ」


日向子はラクルに小瓶を投げる


…パシッ


〈…これは?〉


「ドラちゃんが渡せって。渡したら全てが分かるからってさ」


小瓶の中身はドラクの血液だ、匂いで分かる


…キュッ…ペロッ…


〈!?〉


ラクルの脳にドラクの記憶が流れ込む


元老院に煽られゴルドに薬師を救出に出た事、日向子に捕まり尋問を受けた事

その中で霊能力を見出だされ処断されずに霊能者として死者の声を遺族に届ける充実した日々を送っている事


ラクルは今度こそ立っていられない程の動揺をし、地面に膝をついた


〈まさか…あの兄者が人間の為に…本当の事だったのか…〉


戦闘中に膝をつくなど死を意味する事も忘れてラクルは呆然と天を仰いだ


「…分かってくれたかな?」


日向子はラクルに静かに訊ねる


〈…敗けだ、殺すが良い〉


母を手にかけて以来血生臭い半生を駆け抜けたラクル


正直王という立場でなかったら種族を守る為に元老院と対峙する理由もないのだ


(疲れた)


これが彼の偽らざる心の声である


ラクルは日向子に討たれるのを覚悟して目を瞑る


。。。


〈?〉


「あのー、そんなつもりで来たんじゃないんだってば…」


ラクルはスッと目を見開き日向子を見つめる


バンパイアアイ同士、血を介さなくとも相手の心とやり取りが出来る様だ


〈…元老院を?〉


「そう。元凶はソコなんだから貴方と戦った所で相手は喜ぶだけでしょ?」


〈それはそうだが…俺はお前を一度は屠った相手だぞ?憎くはないのか?〉


「私だって魔物が領地に侵入してきたら討伐するわ。それと変わりないじゃない?」


〈。。。〉


日向子の瞳は嘘偽りがない事を物語っていた


〈それで…どうするつもりだ?〉


「今日は話し合いに来たの。言わば停戦協定と和平交渉ね」


〈…成る程。俺には異論はない。だが協定を結べば元老院に届かぬぞ?〉


不可侵条約を締結させてしまえばお互いの国に対する内政干渉は違約になる


「だから停戦と和平は貴方と私だけの取り決めよ?じゃなきゃ使節団遣わせてやるでしょ?こんなの」


〈…だから単身乗り込んで来たのか…〉


ラクルは無謀とも言える突入劇に漸く合点がいった


「ドラちゃんも今は貴方に何の怨嗟もないわ。許して欲しいって」


ラクルの心に生まれて初めて暖かいモノが流れ込んでくるのを感じた


〈…分かった。お前と和平を誓おう。で、ここからどうするつもりだ?元老院の間者がそちこちで監視しているぞ?〉


当然日向子にも気配は察する事が出来ていた


「知ってる…全部で7人かな?」


〈あぁ。7人だ〉


「ラクルさんの立場もあるだろうから幻惑掛けちゃうね」


…ギンッッ‼ …((!?))


日向子は元老院の間者達に幻を投影した


激しい戦闘の後、ラクルが日向子を再び返り討ちにし、勝利を収めた幻影を


「まぁこれで暫くは持つでしょ?後はラクルさんが適当に弄ってよ」


〈お前…幻惑まで使いこなせるのか?〉


「そりゃ貴方との再戦に備えて必死に特訓したもん、当然よね」


たった数ヶ月で自分と対等…いやもしかするとそれ以上に進化を遂げた日向子にラクルは驚きの目を向けていた


〈…日向子、兄者を宜しく頼む〉


ラクルは日向子を一瞥すると居城へ向かって飛び去った


日向子は一応こそこそ姿を隠しながらバンパイア領を後にしたのであった

具合が悪いです…更新が滞って申し訳ありません

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