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ゾンビーナ!  作者: とれさん
17/378

17 摘んで来たモノpart2


「…さぁ~ん、ウシャさぁ~ん‼」


「…ん、ワシは…?」


「失神してたんですよ、大丈夫ですか?」


「そうか…何やら興奮し過ぎた様じゃ…」


「とにかく着きましたよ」


「おぉ、何処じゃ?」


「えっと…確かこっちです‼」


日向子はウシャ爺の手を引いて案内する


「この辺ですね、多分」


日向子は木立の間にある小さな土地を指差した


「ここか…」


ウシャ爺は腰程の草を掻き分け中に進む


「む、群生しとる訳ではなさそうだの…」


ウシャ爺は辺りを見回して少し落胆する

それでも数株は見つけたらしく丁寧に根を掘って採取していた


「良し、先ずはこんなモンで良かろう」


ウシャ爺は10株程を採取すると手を止めた

採りきってしまった時の影響を考えているのだろう


「ウシャさん、この草は何て言う草なんですか?」


「いや、初めて見る草で図鑑にも載っておらん。生態も全く不明なんじゃ」


そういうウシャ爺は採取した株を大事そうに抱えている


「これを栽培して薬を量産化出来ればかなりの人が救えるじゃろう」


「期待してますね、ウシャさん」


こうして二人は再びブルピットに乗って帰路についたのである


ーカント婆の家ー


「ただいまー」


「どうじゃった?」


「うん、思ったより生えてなくて数株を栽培して増やすんだって」


「では…」


「量産化はまだまだ先ですね…」


「そうか、なら暫く待つ他ないだな…」


カントは酷く落ち込んだ


「私、ウシャさんにお願いしてカントさんの分だけ先に貰って来ます‼」


日向子はそう言うと家を飛び出して行った


「ヒナちゃん‼魔物だ!」


ゴメリは丁度家を飛び出してきた日向子に叫ぶ


「何処ですか⁉」


「南の森の先だそうだ、先に行くぞ‼」


ゴメリはそう言うと日向子とは反対方向に走り去って行った


「ウシャさんの所は後回しね」


日向子も向かうべくシロ達の檻に駆ける


ーガチャンー


「シロ、出たよ‼行こう‼」


「ウォン‼」


今日はシロ達の実戦投入するつもりだ


日向子は素早く鞍を着けるとシロに跨がった


「ハイッ‼」


日向子の掛け声でシロ達は南の森に急行したのである


「ほっほっほっ‼」


ゴメリは南の森に向かって走っている


ーダダダッ、ダダダッ‼ー


「ゴメリさぁ~ん‼」


「ほっほっ…?ヒナちゃんか?」


「ペスに乗って下さい‼」


「お、おう‼」


ゴメリはおっかなびっくりブルピットに跨がる


ーダダッ、ダダダッ‼ー


二人は森の先を目指して爆走した


「ギチュー‼」「シャー‼」


「うわわっ⁉あっちいけっ‼」


日向子達が森を抜けると直ぐに魔物に襲われている商隊を見つける


「皆さん離れて下さい‼」


日向子は飛び降りざまに商隊の人達に避難を呼び掛ける


「とうっ‼」…ドテッ‼


「痛ててて…」


ゴメリもペスから格好良く飛び降りようとしたが着地でコケた


「ヒナちゃん、これからどうするんだ?」


「今回はシロ達に任せます‼やっちゃって‼」


「ウォン‼」


シロ達は魔物を取り囲む様に散開する


「ギチューッ‼」


魔物はシロ達に向かって威嚇する


灰色の体毛に細い尻尾、口元には2本の「げっ歯」が生えている


大型犬並みの体格をしてはいるがまんま「ネズミ」だった


「グルルルル…ガウッ‼」


シロは仲間に指示を出す唸り声をあげると一気にけしかけた


「ギェッ⁉」「チューッ‼」


魔物達は格上のブルピットに襲われ恐慌状態に陥った


数分も経たない内に蹂躙の土埃が収まりソコにはネズミ達の残骸が転がっていたのだ


「こりゃ凄いな…」


商隊の主であろう恰幅の良い中年男性がシロ達の活躍を見て驚嘆する


「お怪我はありませんでしたか?」


日向子は商隊の人達に安否を確認する


「え、えぇ。お陰様で無事に。ところで…あの魔物達は貴方の?」


「はい、ペットです」


「魔物をペットにするなど…「テイマー」様なのですか?」


「え?テイマー?」


ゴメリも首を傾げている


「あ、申し遅れました。私はこの商隊の主、ドルネと申します」


「私は日向子、あの人はゴメリさんです。ところでその「テイマー」と言うのは?」


「あぁ、ご存知ではなかったのですね?詳しいお話をしたいのはやまやまなのですが

先を急ぐのでお礼は後程で宜しいですかな?」


「そんなに急いで何処に?」


「ピレネー村のウシャ様より薬品のご依頼がありまして火急のお申し付けでこうして急いでいたのです」


「え?ウシャさんが?なら丁度帰り道ですしお送りしますよ」


「何と、ではピレネー村の方でしたか。それはこちらからお願いしたい位です」


「じゃあ帰りましょ、ゴメリさん」


「そだな、でも商隊の馬が数頭喰われて馬車はもう牽けなさそうだべ」


「…じゃあシロ達にお願いしてみるね‼」


「え?魔物に⁉」


「大丈夫ですよ、お利口さんですから。ねー、シロ♪」


「ワフンッ‼」


こうしてシロ達に繋がれた馬車は一路ピレネー村を目指すのであった

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