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ゾンビーナ!  作者: とれさん
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167 悪い夢見


〈…じゃあまた会おう。さらばだ‼〉


「あなたぁ~‼」

「お父ちゃ~ん‼」


〈はい、こんなん出ましたけど〉


「「ドラ様、ありがとうございました‼」」


〈いえいえ、また旦那さんに逢いたくなったらいつでもお越し下さい〉


「はい、次の方~‼」


ドラク改め霊能者ドラが死者を呼び出せると噂が広まり此処「ドラの館」は連日大盛況だった


「あっ⁉りょ、領主様‼順番をお待ち下さい‼」


「違うのよ、ちょっとドラク…じゃなくてドラちゃんに話があって来たの。すぐ終わるからゴメンね」


日向子は長蛇の列を掻き分けてカーテンを潜った


〈これはこれは日向子様、本日は何用でお越しに?〉


キメと日向子の脳内改変によりドラクは別人に生まれ変わって物腰も柔らかくなっていた


「ちょっとバンパイアアイについて聞きたい事があってね。今は忙しいだろうから休憩時間か終わったら少し時間を取ってくれる?」


〈成る程、バンパイアアイですか。では後一時間程で休憩に入りますのでお待ち下さい〉


「うん、忙しいのにゴメンね」


〈いえ、私にこんな充実した生活を与えて下さった日向子様の頼みです、喜んでお手伝いさせて頂きますよ〉


ドラの快諾を聞いて日向子は立ち去った


「あ、皆さんごめんなさいね。もう終わりましたからどうぞ。」


並んだ列の最後尾には「二時間待ち」と札があったので日向子は時間を中庭で潰す事にした


「うーん、そう言えばゴルドに来てからのんびり日向ぼっこなんてした事ないなぁ~…」


中庭に置いてあるベンチに腰掛け軽く伸びをすると暖かい日差しのせいか眠気が襲って来る


「…まだ時間があるから昼寝も悪く…ない…かな…」


日向子はベンチに寝そべってうたた寝をした


。。。


「…向子‼…日向子‼起きろっ‼」


「…う~ん…もう少し寝かせて…」


「…やく、早く起きるんだ‼」


「…ん…なぁに?ゴメリさぁん…」


日向子はゴメリに呼び起こされて仕方なく目を開ける


「国王が‼国王が殺されたんだ‼」


「えぇ?此処何処?」


日向子はいつの間にかピレネー村にある神獣運輸の事務所の仮眠室で寝ていた


「国王が殺されたって…誰に?」


「○×にだ‼」


「えっ?誰に?」


「○×にだ‼」


「ちょっと、ちゃんと言って‼」


「だから‼○×に…」


。。。はっ!


日向子はゴルド城の中庭にあるベンチから飛び起きた


「…はぁ…夢かぁ~、嫌な夢だったなぁ…」


日向子はエレモス国王が何者かに暗殺されるという嫌な夢を見て気分が沈んでしまった


(何で国王が…?こんな夢なんて見た事ないのに…)


もしや正夢か?と思ったが現在エレモス国内はバンパイアの侵略も視野に入れて厳戒体制で国王にも厳重な護衛が付いている筈だ


「まさか…ね?」


日向子はただの悪夢と割り切って気分転換に空を飛ぶ事を思い付く


…ファサッ、


背中から出る1対の白い翼、日向子の容姿だとまるで絵画にある天使の様だ


(気分転換に空中散歩なんて…ファンタジー過ぎて現実味がなかったのになぁ…)


元の世界では憧れても叶う筈もなかった事が今は現実に出来る不思議さを日向子は面白いと思いつつ空へと舞い上がった


。。。


〈日向子様~‼どちらにおられるんですかぁ~⁉〉


暫く空中散歩を楽しんでいると中庭からドラの声が聞こえて来る


「あ、もう休憩時間になったのかな?」


日向子は中庭に向かって降下を始める


…キラッ…


「ん?」


降下中の日向子は城下町にある元教会(廃墟)の鐘塔に光るモノを見つけた


…バサッ、バサッ、バサッ、


〈あぁ、日向子様‼空においででしたか。〉


「ドラちゃんちょっと待ってて。気になるモノを見たから‼」


日向子は時空操作能力を使って元教会の鐘塔に跳んだ


((…!?))


バキィッ‼…((グハッ⁉))


突如背後に現れた日向子に抵抗する事も出来ず鐘塔にいた人物は気絶させられた


バサッ、バサッ、バサッ、


「ゴメンね、何か間者みたいなのを見つけたから…」


日向子は捕らえた者を先に中庭に降ろすと着地した


〈これは…弟ラクルの間者ですね〉


ドラとはどうやら顔見知りの様で身元が直ぐに判明した


「へぇ~、弟さんの間者ねぇ…もしかしてドラちゃんの事が心配で探りに来たのかな?」


〈ハハハ、まさか。弟が私情で私の様子見などあり得ませんよ。

大方私の生死確認と生きているならば機密漏洩の心配はないか確認したかったのでしょう〉


「へぇ~…弟さんとは情が薄かったのかしら?」


〈まぁ私は由緒ある貴族の出の母から生まれた継承者、弟は父が妾に生ませた傍流でしてね

出来の良すぎる弟に私も大分酷い仕打ちをしましたから…〉


「バンパイアも血脈とかでいざこざがあるんだ?」


〈はい、逆に血脈重視は古からのしきたりみたいな風潮でしたから…

弟はそれを嫌って今の実力主義の王政を文字通り力で勝ち取ったのです〉


日向子は縛られ転がしてある間者を眺めながらため息をつく


「どこの世界でも家柄第一主義の人間はいるものなのね…」


〈まぁ私達はバンパイアですけどね〉


ドラは冗談とも本気ともつかぬツッコミを入れたが日向子には気付く余裕がなかったのである

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