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ゾンビーナ!  作者: とれさん
163/378

163 訓練のお時間です


ドラクが霊能者ドラとしてデビューし海のオーシュが来訪した翌日、日向子はオーシュと共に中庭で訓練を行っていた


『先ずは時空操作というモノがどういう事なのか、目で見て理解して貰おう』


オーシュはテーブルとリンゴを用意させてその前に立つ


『今から行うのは簡単な操作で出来るトリックみたいなモノだ。じゃあこのリンゴを良く見ておいてくれよ?』


…パカッ


「あ、触れてないのに割れた⁉」


テーブルに置いたリンゴは何の前触れもなく真っ二つになったのだ


『さて…これは過去と未来、どちらに跳んで作用させたモノか分かるかな?』


オーシュは日向子にトンチの様な質問を繰り出した


「えっ⁉未来と過去のどっち⁉うーん…分かりません」


『ワハハ、正解だ』


「えっ⁉正解なの?」


『ああ。それが時空操作においての正解なのだよ』


そう言うとオーシュは地面にリンゴを描きその横に矢印等を書き加えた


『本来時には「制止」はない。どんな時もどこにいても時間は絶えず流れるモノなのだ。此処までは理解出来るな?』


「うん」


『では…例えばリンゴを割る為に過去に跳んだとすると…』


オーシュは棒で線を書き足す


『リンゴを割る為にはこうして…少し前に戻って割る。相手に気付かれない様にするには割ってから戻る事も必要だな』


「戻ったまま時間が過ぎるのを待つと気付かれちゃうの?」


『まぁ気付かれても防ぎ様がないのだが…試しに実演し…』


「あ‼えっ⁉」


『日向子、こっちだ』


「えっ⁉」


日向子はオーシュが目の前から消えて驚き声のする方向に振り向いてまた驚いた


「…いないじゃん…」


『と、いう訳だ‼』


「きゃっ⁉」


声の先にオーシュがいなかった為に視線を戻した日向子は目の前にオーシュが再び現れ大声で驚かされて悲鳴をあげた


「えっ⁉えっ⁉どういう事⁉」


『ハッハッハッ、日向子の目には俺が突然あちこちに出現した様に見えただろうが実際はこうだ』


オーシュはテーブルのリンゴを自分に見立ててさっきの現象の説明をする


『これが俺、これが日向子。俺は数秒過去に跳んで此処に移動すると日向子の目の前から消えた様に見える。

で、此処で日向子を呼んでまた数秒跳んで元の場所に移動した。という訳だ』


「????」


日向子の頭の上にはクエスチョンマークが沢山浮かんでぐるぐる回っているのが目視出来る位混乱していた


「幾ら過去に跳んでも移動の痕跡って残るモノじゃないの?」


『うーん、この原理は俺もちゃんと理解している訳ではないが…そうだな、跳んでる時の俺の視覚を説明した方が分かりやすいか?』


オーシュは日向子の手を掴み能力を発動する


…グニュン…


「あ⁉えっ⁉」


日向子はオーシュと共にさっきいた場所から数メートル移動していた


『どうだ?分かったか?』


「全っ然分かりません‼」


『む…そうか、感覚だけでも理解して貰おうと思ったのだがな…』


オーシュの追加説明によると能力発動した瞬間周りの全ての物や人は静止状態に見えるそうだ


その間に任意の場所に移動している。蓋を開ければ単純なトリックだがどうやら能力がないと静止状態を認識出来ないらしい


「えー?もうこれお手上げじゃない?」


日向子は実践でも理論でも全く理解出来ず半ば諦めモードになってしまった


『お?そう言えば…日向子は千里眼を持っていると聞いたぞ?』


「ん?あぁ、何か良く使い方が分からないんだけどね…」


『千里眼というのは遠視だけでなく未来視や過去視が出来ると聞いたが…それを使えないのか?』


「うーん…練習すれば出来るかもだけど…今の所何が出来るのか良く分かってないのよね…」


日向子はショボンとしている


「あ。」


『ん?』


そんな中、日向子は何かを思い付いた様だ


「あー、でもなぁ…頼み辛いなぁ…」


『ん?俺に頼み事か?余程の事じゃない限り協力は惜しまないぞ?』


「でも…やっぱり頼み辛いよぉ」


『ハッハッハッ‼俺と日向子はもう友ではないか、何なりと言ってみろ?』


「…引かない?」


『勿論だ』


「本当に?」


『…随分しつこいな?何か恐ろしい気もするがどーんと来いっ‼』


「じゃあ言うね、その…ちょっと血を頂戴☆」


『。。。は?』


日向子はオーシュのリアクションに速攻で顔を覆い足をジタバタさせた


「ほらーーーっ‼やっぱりドン引きしたじゃーーーんっ‼言わなきゃ良かったーー‼」


『そ、そりゃいきなり血が欲しいと言われれば誰でも引くだろ…ちゃんと筋道を立てて説明してみろ?』


「うん…オーシュさんの説明聞いてもサッパリ分からなかったから…ちょっと細胞を貰って取り込めば私も出来るかな?って…」


『…何っ⁉日向子はキマイラの能力も持っているのか!?』


「うん、この間ラクルに殺されちゃって…キメちゃんが細胞くれて生き返ったの」


オーシュはテーブルをガンッ‼と叩き潰した


『何故それを早く言わない‼俺の渾身の説明努力はムダになったじゃないか‼』


「え?じゃあ…」


『能力を取り込めるなら血くらい即座にやるわっ‼…全く…早く言ってくれればこれほど苦労をしなかったモノを…』


こうして日向子はオーシュから血を貰い無事(?)時空操作能力を手に入れたのであった

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