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ゾンビーナ!  作者: とれさん
160/378

160 ドラク、陥落?


…コンコン、ガチャ。


「どう?」


『どうもこうもずっとこの調子だ』


「意外と意気地無しなのね…」


日向子はのたうち回っているドラクの側まで進むと手甲剣で残った腕を肩口から切り落とした


〈ぎゃあぁぁあっ⁉な、何を⁉〉


死を恐れたドラクが問うと日向子は懐から液体を出して切断面に振り掛けた


…モコモコモコモコ…


〈…はっ?う、腕が元通りに?〉


元々バンパイアは超人的な治癒能力を持っている

例え真っ二つにされたとしても即座に治癒してしまうだろう


だが欠損となるとそうは行かない


切り落とされて部位が欠けると欠損の修復より傷の治癒スピードの方が早く傷が先に塞がってしまうからであった


〈こ、この秘薬はお前の薬師が作ったのか?〉


ドラクは目覚ましい効果をもたらした薬に今の立場を忘れて訊ねている


「…あのね、貴方の欲望だか何だか知らないけどそのお戯れの為にこの国の殆どの人が滅亡したのよ?忘れないでくれる?」


〈…はっ‼そ、そうであった…俺は今捕虜も同然だったな…〉


そんなドラクを日向子は赤い瞳で観察していた


「ところで…貴方には色々聞きたい事があるの。協力して貰えるかしら?」


日向子は穏やかな口調でドラクに頼んでいる


〈はっ、何をふざけた事を。仮にも俺はバンパイア族でも優秀なエリートなのだぞ?下賎の者にペラペラと喋る訳がなかろうが‼〉


ドラクは死を覚悟していると言わんばかりに日向子の願いを突っぱねた


「…そう。残念ね、出来れば貴方の口から素直に話してくれると助かったんだけどな…」


そう言いながら日向子はドラクのこめかみに人差し指を近付ける


〈こ、殺すのかっ⁉俺を殺せば実弟のラクルが黙ってはいないぞ‼お前、前に弟に殺されたのだろう?良いのか?い、良いのか⁉〉


「えー?ヤバくなったら強い人の名前を出すなんてダサくない?バンパイアってそんなショボい人達なの?幻滅だわ~」


日向子は別にドラクが自白しようがしなかろうがどうでも良かった


さっき赤い瞳で見たドラクの性分をポキリと折るためだけに焦らしていただけだったのだ


…シュルシュルシュル…


〈ひっ⁉な、何だ?その指から出て来た紐は⁉〉


「うふふ…これはね、今から貴方のこめかみから脳内に潜って記憶を根こそぎ拾う為の触手なの。

痛くないからねぇ~、直ぐに慣れるから大丈夫よ、多分。」


〈や、やめてくれぇ‼バ、バンパイアのプライドを持たせて殺してくれぇっ‼〉


「あら?ダメよ?何で無慈悲にこの国の人を殺した人に慈悲を掛けてあげなくちゃならないの?

おかしいでしょ?おかしいわよねぇ?貴方は別に特別じゃないわよ?」


『…主殿…いたぶり方がえげつないぞ?』


いつの間にか後ろにシルグが立っていて呆れていた


『ドラクとやら。命が惜しければ自ら話した方が良いぞ?主殿は貴様の行いに憤っておるからな』


シルグの言葉をドラクは脅しと勘違いした


〈はっ、そんな脅しに屈する俺ではないわ‼何だかんだ言っても弟やバンパイア族の報復が怖いのであろう?

今放せば赦してやるからとっととこの拘束を解くのだ‼さあっ‼〉


ドラクの予想外の言動に日向子とシルグはビックリした


「はぁ~…だから貴方は此処で死ぬのよ。個としてね…」


〈こ、個として死ぬと…ぴゃっ⁉〉


『しかしワシが折角渡し船を出したのに見事に裏切ったな、馬鹿なのか?コイツは』


シルグは日向子の触手に脳内を探られてカクカクしているドラクをガッカリした顔で一瞥した


「そうねぇ…多分強い弟へのコンプレックスとかあったんじゃないのかな?

あ、薬師の奪還が必要な理由が分かったわ。もう少し探って全て吐き出させましょっと」


日向子の人差し指がちょっと動く度に目を白黒させているドラクを見てシルグは思わず洩らした


『…主殿、ワシには絶対やらんでくれよ?』


「あはは、当たり前じゃない?」


…最後の「?」が気になったがやぶ蛇は避けたかったのでシルグは目を反らした


。。。


《どうだ?分かったか?》


身の危険を感じてゾッと退室したシルグの後にキメが入室して来た


「ん…ちょっと待ってね。今情報を整理してるから…」


日向子はドラクから流れ込んでくる記憶を目を瞑って整理していた


「ねぇ、キメちゃんは同じ能力持ってるんだからリンク出来ないかな?」


《リンク?リンクとは何だ?》


「えっと…抜き出した情報を触手同士で共有するって言うか…ちょっとこの人の情報量が多過ぎるのよね…」


ドラクは不死のバンパイアだけあって千年以上の記憶や情報が蓄積していた為日向子だけでは情報の精査が難しいのだ


《それを早く言え、共有など当たり前に出来るぞ?どれ、手伝ってやる》


キメは日向子と反対側のこめかみに指を当て触手を潜らせた


〈あばばばば…〉


「…あっ、流石キメちゃん。なるほど…こうして情報を整理していくのね…」


日向子はキメの手法を見て感心している


(こうして主と共有する時間は良いものだな…)


キメにとって幸せな時間は暫く続くのであった

年末から三が日迄の予約投稿が完了しました。

これで大丈夫かな?


それでは行ってきます!

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