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ゾンビーナ!  作者: とれさん
16/378

16 摘んで来たモノpart1


ー翌日ー


「幾らシロ達が懐いているからと言って森の中で爆睡する奴がいるかっ!」


ゴメリは方言設定も忘れて日向子を説教中だ


「ごめんなさい…」


涙目になって謝る日向子にゴメリも叱りきれない


「…今後は気をつけるんだべさっ‼」


微妙な言葉遣いになったゴメリが釘を刺す


「それにしても…こりゃ何の草じゃ?」


カント婆さんは日向子が採取してきた草を摘まんで首を傾げる


「うーん、あまりにも暇だったんで薬草っぽいのを適当に摘んで来たんですよ」


「にしてもワシらじゃ何の草かすら分からぬな」


「ウシャ爺のトゴに持って行け、ヒナちゃん」


「はぁい」


日向子は籠を抱えて玄関を出た


コンコン、


「ウシャさんいます?」


「ん?おぉ、ヒナちゃん。どうしたんじゃ?」


「これ、森で生えてたのを摘んで来たんですけど薬草に使えないかな?って…」


「ふむ、では選別してみるかの」


ウシャ爺は籠の中をテーブルの上に拡げて選別を始めた


「ふむ、これはただの雑草じゃ」


「あら…」


「これは切り傷に効く薬草じゃな」


「良かった♪」


「…ん?これは…?」


ウシャ爺は底にあった一株の草を取り出して難しい顔をしている


「?どうしたんですか?」


「うーむ、この草は初めて見た」


「え?ウシャさんでも知らない草があるんだ?」


「そりゃワシにも知らぬ事はあるわい。にしても…この草は…」


「な、何でしょう?」


「…少し預からせてくれんかの?調べてみたい」


「勿論良いですよ、分かったら教えて下さいね‼」


「うむ、分かった」


日向子は草を預けて帰宅した


「ただいまー」


「お?どうだった?」


「うん、分からない草があるから預からせてくれって。」


「ほぅ、ウシャ爺さんが分からぬモノがあるのか…」


ゴメリは感心した様に呟く


「ウシャ爺も人の子じゃと言う事だんべなぁ…」


カント婆さんはしみじみ言う


この草が後で波乱を巻き起こす事など誰も予測はしていなかった


ー2日後ー


「ヒナちゃんっ!」


日向子とカント婆さんは突然転がり込んで来たウシャ爺に驚く


「何じゃウシャ爺‼ボケたかっ⁉」


「それどころじゃないわいっ!ヒナちゃんこの草を何処で摘んで来たんじゃっ⁉」


「えっ?シロ達の散歩で西の森に行った時に…ってどうしたんてますか?」


「この草…ワシの万能薬よりも強い効能があるんじゃ!」


「…えっ?」


日向子はウシャ爺の作るあの軟膏の効果を知っているだけにビックリする


「あれ以上って…」


「ワシの軟膏は主に外傷に効く薬じゃがこの草で作った軟膏は内傷にも効くんじゃよ!」


「内傷って…」


日向子は元オペ看が故にその言葉の意味を即座に理解した


西洋医学では「内傷」という言葉はなく主に東洋医学に於て使われる言葉だ


その内容は外的に力を受けて傷ついた、所謂怪我等に対して精神的なニュアンスも含めて「五臓六腑」が傷む事を指す


単なる内蔵疾患だけに留まらず精神的な意味合いや血液の病気等も含まれるのが「内傷」なのだ


「え?じゃあ…慢性的な病変とかも治せちゃうって事ですか?」


「うむ、ワシの体で実験したが…ほれっ!」


ウシャ爺はそう言うと腰を回したり背伸びしたりジャンプしたりしている


この行動に飛び付いたのがカント婆さんだ


「な、どういう事だべ⁉ウシャ爺の長年患っていた腰や膝の痛みが治ったってか⁉」


「そうじゃ!数十年ぶりに走ったわい!」


カント婆さんはウシャ爺の変わり様に目を白黒させている


「それが本当ならエラい事じゃ‼ヒナちゃん、ウシャ爺に教えてやっておくれ‼」


「はい。じゃあちょっと待って下さいね」


日向子はシロ達がいる檻まで向かうとシロと田中に鞍を載せた


この鞍は大工のゲンガさんが特注で作ってくれたのだ


鞍を着け終わるとウシャ爺に田中の鞍を勧める


「ウシャ爺⁉」


カント婆さんが驚いているのは当然である

何せちょっと前迄野生?だった魔物に何の躊躇いもなく乗れる人などそうはいない


だがウシャ爺は自らの研究欲でその恐怖を消し去って見せたのだ


「じゃあ皆、お散歩だよー」


トテトテトテ…


ブルピット達は日向子の号令で静かに出発した

因みに村の周辺では「徐行」命令が日向子より出されている。


ブルピットが急な動きを見せたら折角認めて貰った飼育許可が取り消されてしまうかも知れない


「クロもポチもペスも良い子ね」


「「「ワンッ‼」」」


この5頭のブルピットはリーダー格のシロによって統率されそのシロは日向子の忠実な僕だ


よってこのヒエラルキーは崩れる事はあり得ない


日向子はシロに躾を、シロは部下?の4匹に伝える事で見事な統率が可能になっているのだ


「…よし、そろそろ良いかな?シロ、お願いね」


「ワフッ!」


ーダダッ‼ダダダッ‼ダダダッ‼ー


シロはひと吠えすると徐々に速度を上げていく


「うひょ、うひょひょ⁉うひょひょひょひょ~~~っ⁉」


田中の背でウシャ爺が変な声をあげている


「…大丈夫ですか?」


「うひょひょっ⁉大丈夫じゃよ‼」


日向子が心配して声を掛けると意外と元気そうだ


「揺れるけど速度上げないと日が暮れる迄に戻れないから…ごめんね、ウシャさん」


「うひょ⁉構わん。ハイヨーッ‼シルバーッ⁉」


ウシャ爺が壊れていく様に日向子は罪悪感を覚えたが謎の掛け声によってフザケているのが分かったので放置する事にした


「ウォン‼」


シロがひと吠えして速度を落としやがて一本の木の前で停止した


「ウシャさん、着いたみたいですよ?ってウシャさぁ~ん‼」


ウシャ爺はいつの間にか泡を吹いて失神していたのだった

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