157 対バンパイア兵器?
日向子は取り敢えずギョシャを背負ってキメ達の下へ戻って来た
『お?何だ?その草は?』
《…ギャンッ!?》
シルグは何とも無さそうだが嗅覚の鋭いキメは奇声を挙げて鼻をつまんでいる
「これ、ニンニクと同じ成分ご入ってそうだから貰ってきたの」
日向子が篭を降ろすとキメが余計しかめっ面をした
『で、これをどうバンパイアに使うのだ?』
「えーっと…確か窓際とかに置いておくと近寄れない…とか?」
『…随分消極的な攻撃だな…それじゃ弱る事はあっても死なんだろ…』
シルグは半ば呆れている
《おではこのにぼびばあめだ》
(意訳/俺はこの匂いはダメだ)
キメは堪らず別室に逃げ出して行った
「キメちゃんには悪い事したなぁ…でも効くか効かないかは試してみないと分からないモンね」
日向子は気を取り直して明るく言う
『で、結局このギョシャという草をどう使うのだ?近付けるにしても匂いでバレるだろ?』
「そうね…何か良い案を考えないと…ないよりはあった方がマシ程度かも知れないけどね」
日向子とシルグは色々と案を出しあって漸く1つの考えに纏まった
「ギョシャをすりおろして小瓶に詰めて投げる」
方法は微妙だがこれしか考えつかなかった
「このギョシャに含まれるアリシンってね、向こうでは血液をサラサラにしてくれるって有名だったんだよ」
『ほぉ、異邦では様々な角度から治療の研究がなされていたのだな?』
「うん。私もオペ看…看護師だったしね」
『その看護師と言うのはこちらの世界で言うとウシャ爺の助手みたいなモノなのだろう?』
「そうね、主に患者さん…怪我人や病気の人のお世話をするのが役目かな?」
『…そんな娘が此方に来てテイマーになり今は人智を越えた力を有するとはな…世の中はこれだから面白い‼ワハハハ‼』
「私だってまさかこんな風になるとは思わなかったわよ、ドラゴンを家族にするとかね。アハハ‼」
そんな世間話をしつつ二人はせっせと火炎瓶ならぬギョシャ瓶を作り上げた
『よし、これで全部だな。キメよ、入って来ても良いぞ?』
キメは鼻をヒクつかせながら部屋に入って来た
《う~…この匂いはバンパイアだなくても参るぞ…》
「あはは…ゴメンね」
日向子はキメに両手を合わせて謝る
「あ‼あともう1つ、キメちゃんにしか出来ない策があるんだけど…お願い出来るかな?」
《あぁ。ギョシャでは全く役に立てなかったからな。何でも言ってくれ》
「じゃあねぇ。。。」
日向子はキメにある作戦を耳打ちした
《…まぁ集めるのはそれほど苦労はしないが引っ掛かるのか?本当に》
「それは分からないけど実行するとしたら私かキメちゃんしか出来ないわね
でもやれる事は全てやっておきたいの。」
《分かった、素材は準備しておこう。でもこれは使わない事を祈るしかないな…》
「まぁ念には念を、の心構えですよ、師匠」
《…誰が師匠だ?誰が。》
「あはは、じゃあ宜しくね」
キメは日向子のオーダーに応えるべく城から飛び立っていった
「じゃあシルちゃん、私と一緒に工作しましょ?」
『工作?何だそれは?』
説明が面倒になった日向子は嫌がるシルグを強引に引き摺って行ったのだった
。。。
「さーて、これで考えつく事は全てやったかな?」
《そうだな、致命傷にならずとも弱られる事が出来るならこの苦労も報われそうだ》
『逆に全く効かない可能性もあるがな』
シルグは意外とネガティブ思考なのだった
「もう‼そんな事言わないの‼全く歯が立たない状況なら何でもやってみた方が良いのよ?」
日向子はネガティブシルグを窘める
「さ、後は向こうが来やすい様に隙がある様に見せないとね。他に被害が及ばない様に誘導はしておいてね」
『《了解》』
シルグとキメはある程度警戒を緩めた様に見せかける為哨戒の配置を変えて待ち受ける
。。。
〈ガントスはどうした‼〉
((は、未だ連絡が取れません))
〈まさか…敵に捕まったとかはないだろうな?〉
ドラクは不安を募らせて苛ついている
((そ、それはガントスに限ってあり得ないとは思いますが…))
〈ええい!もう待っておられぬ‼出るぞ!〉
ドラクは焦って自ら討って出ようと支度をし始めた
((お、お待ち下さい‼流石に旦那様が直接お出になられては…))
〈煩いっ‼これ以上手をこまねいていてはラクルどころか元老院の信用も失うわ‼〉
何とか引き留めようとする侍従を突き飛ばしてドラクは私邸を出発した
((…ラクル王、ドラク様が私邸より出撃されました))
〈む…そうか。放った間者から連絡は?〉
((それが…ありません…))
〈…敵を甘く見すぎたな。兄者の短慮は誉めるべきではないがこの期に及んでは策を巡らすより直接叩いた方が良いのかも知れん〉
((では…))
〈ワーウルフを千体先行させゴルドを包囲せよ。兄者の動向次第で我も動く〉
((…は。))
ラクルは飲みかけの酒をテーブルに置いて黙考し始めた




