152 お試し拷問?
ゴメリが国王にキメの来訪を告げた翌日、日向子を伴ってエレモス城へとやって来た
「お邪魔しまーす」
「ひ、日向子‼聞いたぞっ⁉お主一度死んだそうじゃないかっ⁉」
国王は日向子を見るや否や玉座から跳ね起きて抱きつこうとした
「ちょっ⁉王様?」
日向子が慌てて手で抑えて制止する
「我の側室になる前に命を落としてはならぬ‼即座に領主の下知を撤回し…痛たたっ⁉」
「全く…何とち狂ってんですか?大丈夫ですよ、もう元気になりましたし。
…それより「側室」って何勢いで勝手な流れ作ってるんですか‼」
日向子は思いっきり振ったのに国王はまだ諦めていなかった様だ
《今日は薬師の尋問に来たのだ、弁えよ。人間の王よ》
キメはいつも以上に冷たく言い放った
「おぉ、そうだったそうだった‼してその尋問は如何なる手を使って行うつもりなのだ?
直属の査問間でも咲かせられなかったのだぞ?」
国王の疑問に日向子が代わって答える
「あはは、キメちゃんの能力にかかれば一発ですよ。まぁ今日は見習いの私が尋問するんですけどね」
「ん?見習い?」
「はい、新しい能力をどんどん開発していかないとラクルに敵いませんからね」
日向子の明るさに国王は本当に日向子は死んで生き返ったのか?と疑問を抱く
「ま、まぁともかく宜しく頼む」
国王は様々な疑問をぎこちなく押さえ込んで日向子に全てを任せたのだった
ー地下牢獄ー
「おい‼今日の取り調べ時間だ、出ろ‼」
薬師は番兵に小突かれながら取調室に歩いて行く
「フフン、お前達の生温い尋問では俺の口を割るには一万年は掛かるな」
「…その態度がいつまで保つかな?さ、入れ!」
ギィィィィ~…バタン。
薄暗い取調室の中、一対の椅子がテーブルを挟んで置かれている
「…お久しぶりね、薬師さん」
「?…お、お前は⁉」
目が暗がりに慣れるとテーブルの向こうに人影が2つ見えた
1人は薬師を捕まえたキメ、もう1人は日向子である
「どうぞ。ソコに掛けて」
薬師は収監されてから初めて動揺した
自分を捕まえた魔獣とその主が今、テーブルを挟んで座っていたのだ
「き、貴様らが来ても俺は何も吐かんぞ‼」
「うふふ、まぁ力を抜いて。別に無理して吐かせようなんて思ってないわよ?」
日向子はテーブルの上に置いた手を薬師に向ける
「な、何をするつもりだ⁉」
「…今日は私のお試しに付き合って貰うわね、初めてだから痛かったらゴメン」
日向子は人差し指を薬師のこめかみに当てる
「!?ま、また押し潰す真似事をして脅すつもりか!?」
「…えへへ、それは今からのお楽しみ☆」
…ざわ…ざわざわざわ…
「ひっ⁉」
日向子の人差し指から以前キメが出した様な触手がワサワサと出て来てこめかみに触れていく
「やっ⁉やめろぉぉぉ~っ‼」
「あ、ほら‼力抜かないと痛くなるかも知れないんだから…リラックスリラックス♪」
薬師は脳内に何かが侵入する様な感触を感じて意識を手放した
。。。
「…ふ~ん、ラクルのお兄ちゃんがね…で、何で貴方をそこまで取り返そうとしてるのかしら?」
日向子は指伝いに次々と質問を薬師の脳に問い掛けていく
一方で日向子とキメはこれまた触手によって繋がれ情報を共有していた
《…主、それ以上深く潜るとこいつの精神が持たんぞ?》
「あ…そうなの?じゃあもう少し浅く潜って背後関係とか吐かせちゃうね」
「あ…あひゃっ⁉」
《…こらこら、初めてだから気持ちは分かるが余り弄り過ぎるなよ?》
「はーい♪」
こうして日向子のお試し拷問はサクサクと進み今回のゴルド襲撃の全容が知られる事となった
。。。
「…成る程、バンパイアの王の実兄が独断で行ったのか…」
国王とシジルは日向子からの報告を受けて神妙な面持ちになる
「えぇ、それもどうやら退屈しのぎと自分の力を元老院とかいう反対勢力に知らしめるパフォーマンスとして起こしたみたいです」
「…バンパイア族は一枚板ではない、と言う事ですか?」
シジルは要点をかいつまんで質問する
「うん、どうやら現王のラクルは史上最も力を有していて元老院の発言力が失われつつあるみたい
力も能力も劣るラクルのお兄ちゃんは実力を元老院に見せつけて味方につけようとしているみたい」
「…で、成功していたら実弟を追い落として自分が玉座に、か」
国王も世襲問題は経験があったらしく愚兄に同情もしていた
「だからと言って今回の事件は仕方なかったじゃ済まされないんだけどね」
日向子はやれやれ、と言った面持ちで尋問の結果を締め括る
「して日向子はこれからどうするつもりなのだ?」
国王は日向子がまた危険な事をしないか心配な様であった
「んー、取り敢えず薬師は私が引き取って預かります。
どうやら彼はバンパイア達にとって重大な研究を担っていたみたいで…それで取り返す必要があるみたいですからね」
この発言にある「重大な研究」の内容は未だ解明されていない
どうやら何かの精神操作が行われているらしくそのロックを外そうとすれば薬師の精神が崩壊してしまうという厄介な技術だった
「うーむ…バンパイア族がそれほど秘匿にしたい研究とは何であろうの?」
国王も推敲してみるがやはり答えは出なかった
こうして舞台はゴルド領に移っていく




