149 ゴルド新体制
後に語られる「ゴルドの奇跡」か149 ゴルド新体制ら2週間が過ぎた
元ゴルド国王ヤンバはエレモス国内にて裁判にかけられ国家滅亡の犯人として処刑されたそうだ
他の配下達もそれぞれの関与具合によって終身刑から流罪迄刑が確定した
バンパイア族から送られた例の薬師は引き続き取り調べているそうだが口を割らないとの事だった
日向子は神獣運輸の代表権をゴメリに譲渡しようとしたが断られたので「代理」を頼んだ
使い魔の内業務に直接関与していないスレイプニルのニルとシルグと一緒に神獣運輸入りした
ドラゴネットの幼体4体は成体となったが現時点で業務に就いていなかった為ゴルドに来て貰った
ゴルド領内の哨戒には人員は多い方が良いのだ
日向子がゴルド領主に就任した事をシルグから聞き付けたドラコニアの王、炎のワイトが祝いと称してバハムートの小隊を派遣してくれた
地のラルドは前回のお詫びを兼ねて何とゴルドまで来て固有能力の1つを使い領地の一角を耕して帰って行った
ラルドが作った農地はその後ゴルド国内だけでなく輸出も可能な程の穀倉地帯となりゴルドの国益になっていく
「おやまぁ、日向子ちゃん。毎日手伝って貰って悪いねぇ」
領主となり復興を約束した日向子だが実際やる事と言えば残留を決めた住民達が自活する為の支援位で
連日シルグやキメを連れて畑を耕す手伝いや支援物資の運搬をしていたのだ
「じゃあお婆ちゃんまた何かかったら呼んでね‼」
日向子は領主就任後はのんびりとスローライフを満喫していたのである
午前中領内を回って手伝いをし、午後は哨戒をさせているバハムートやドラゴネット達と共に巡回したり
キメやシルグ達と新能力の開発に勤しんだりしている
就任2か月目に入るとエレモス領に移住を決意した元ゴルド国民が戻って来たり
新天地で一発当てようとする人間がゴルド領地に居を構えようと居住許可を求めて城に集まって来た
日向子は領主として許可証をバンバン発行し最初数十人しかいなかった城下町も数百人規模に膨らんで来ていた
『主殿、ドルネ殿が面会を求めて来ているが?』
「あ、来てくれたんだ?入って貰って‼」
実は日向子、領主に就任してすぐにドルネに打診をして視察に来てくれる様に頼んでいたのだ
「日向子新領主様、お久しぶりでございます!」
ドルネはわざとらしく恭しく日向子に挨拶した
「やーねぇ、ドルネさん。からかわないでよー‼」
日向子は苦笑いしてドルネの挨拶に応えた
「中々都合がつかず遅れてしまって申し訳ありませんでした」
「こっちが無理強いしたんだから謝らないで下さいよ。で、どうですか?」
「はい、一応復興プランを3つ程ご用意しました。
これをベースにして以前の軍事国家ではなく商業都市としてのゴルドを必ずや実現させてみましょう!」
そう、日向子は此処ゴルドを以前の様な軍事国家に戻す事をせず商業をベースとした都市に生まれ変わらせ様としていたのだ
その為にドルネに無理を言って商業部門の顧問を頼んでいた
「じゃあ今日からドルネさんを商業部門の責任者に任命します。肩書きは何が良いかしら…」
「あはは、まだ必要な人員もいないのに肩書きがあっても困りますよ」
「うーん…でも一応役職名は必要よ?他国との交渉もお願いしたいからね…「宰相」はどうかしら?」
「えっ?そんな大役を?」
「うん。だって今この城にいる人間はドルネさんだけよ?役職つける人いないもん」
「…では慎んでお受け致します。私の商会の従業員を何人か連れて来ましたので配下に加えても?」
「勿論大歓迎よ。この国を皆で盛り上げましょうね」
「あはは、日向子様といると楽しくて仕方ないですな‼」
ドルネは本心で楽しんでいる
ドルネだけでなく日向子を慕う人間・魔獣達は日向子が巻き起こすハプニングが楽しくて仕方ないのだ
ドルネが宰相に就任すると他国から早速目敏い商人達がゴルドに訪れた
あのドルネ商会が目を付けた地ならば何らかのビジネスチャンスが転がっているのだろうと噂が広まったのだ
かくして1ヶ月も立たない内にゴルドの城下町は市が立つ程の盛況を見せそれに伴って全国から移住希望者が殺到する事となる
「ゴルド領に更に何か目玉が欲しいわね…」
日向子の呟いたこの一言にウシャ爺が反応した
前々から規模拡大を模索していたウシャ爺がピレネー村から引っ越して来たのだ
「ヒナちゃん、ワシは此処で新薬を世間に広めたいんじゃ!」
ウシャ爺は大いなる野望を持って意気込んできただけあって城下町の外れに大きな工場を構え
体に毒じゃね?と思う程精力的に活動した
元々ゴルドは流通網の要として好立地にあった為に材料も広く集める事が出来
豊富な薬剤を元に新薬開発に勤しんだ結果とうとう回復と欠損修復を同時にこなす新薬を開発した
日向子はウシャ爺を認定薬剤師に任命し更なる活躍を期待して援助も惜しまなかった
こうして新生ゴルドは一大経済都市としての礎を築いていくのであった




