136 ゴルド王国の滅亡 part23
「あーっ⁉キメちゃんのソレ、何か便利じゃない?ズルいなー‼」
キメがアシッドアントを操り殲滅する姿を城内の掃討を終え表に出て来た日向子が見て羨ましがっている
ビュゥゥゥッ‼ジャッ、ズバッ‼
日向子とキメが合流して直ぐにシルグも風を操りゾンビを切り刻みながら歩いてきた
『ほぅ、アシッドアントか。ワシも昔痛い目にあったな…』
シルグはトラウマを抱えていた様だ
「へぇ、シルちゃんもこの蟻さんにやられそうになったの?」
『うむ、潰しても燃やしても一向に怯まないからな…結構な痛手を被ったモノだ』
シルグは昔を思い出す様に遠い目をしている
「それでどう?お掃除の状況は?」
《城下町の中、右半分は殆ど終わったな》
『左半分もほぼ終了だ。そういえば一体だけバンパイア兵に出会ったぞ?』
「えっ?本当に?」
『あぁ、あまりにも手応えが無かったがな』
「そっか、倒しちゃったよね?」
『?』
「途中で思ったんだけど検分用にサンプルがあった方が良いかなーって思って…ほらこれ。」
日向子が先程まで引き摺っていた物体を見せる
『…主殿…可愛らしいのに中々に残虐な性格なのが惜しいな…』
「えー?何よぅ?前半は嬉しいけど聞き捨てならない言葉も混じってるわよ?」
キメも四肢を切り落とされたゾンビを見て呆れている
《主、引き摺って運ぶのは良いが損傷が激し過ぎて引き渡す前に死ぬぞ?》
「え?ゾンビだから多少手荒く扱っても大丈夫じゃないの?」
《まぁそうだが…顔面が削り取られてる状態では俺も言質が取り辛いな…》
「…あれっ?」
日向子が捕獲したゾンビを見直すと確かに何処で擦れたか分からないが顔面が削れ顎が取れて無くなっていた
「…あはは、じゃあこの子は諦めて別のゾンビを捕まえましょうか」
日向子は無かった事にしようとしている様だ
『まぁ検体を幾つか確保するのであればゾンビとバンパイア、せめて一体ずつ用意すべきであろうな』
シルグは日向子を気遣って見て見ぬふりをしようと努めている
「あ、でもね?確かバンパイアは数がいないのよね…ヤンバ王の話だと」
日向子はヤンバの証言を思い出してシルグに伝える
『多少は感染してると考えてもそれほど数がいないのか…では次に遭遇した時は丁寧に扱わなくてはな』
「そうね、じゃあサンプル集めをして…残ったのはキメちゃんの蟻さんに溶かして貰いましょ」
《分かった。だが他に残っているのがどれだけいるのかな…?》
日向子はあからさまに(しまった)と言った表情を浮かべるが直ぐに立ち直った
「まぁ…いなければいないで仕方ないって事で。あ、テイマーの使い魔が地下通路に残ってるかも?」
『…流石主殿、立ち直りが早いな』
シルグは日向子の切り替えの早さに感嘆している
「じゃあそういう事でサンプル収集にレッツゴー‼」
『《…レッツ?》』
「あー、もう‼細かい事は気にしないの‼行くよっ‼」
こうして日向子達は再び散開して残党狩りに向かうのであった
。。。
…ドサッ、ドサッ、
「えーっと…通路にはワニとゾンビ…しかいなかったワ?」
『こっちはバンパイア兵がいたから確保しておいたぞ』
《近くの村迄足を伸ばしたが殆どゾンビだけだったから一体捕まえて来た》
日向子達が再び集合した時、各々見つけた獲物を持ち寄っていた
《…ところで主、通路には確か…》
「エッ?ナニモイマセンデシタヨ?」
《…主?》
日向子は完全に挙動不審になっている
『…キメよ、主殿は何故動揺しているのだ?』
《シルグ様、実は…》
「!?あーあーあーあーあーあーっ!聞こえない聞こえないよー!?」
日向子は例のアレの名前すら聞きたくなくてぶっ壊れていた
《実は…主は《G》が苦手な様です…》
キメは日向子に聞こえない様にシルグに耳打ちした
『何と?主殿にも天敵がいるとはな、ワハハハッ…ゲブゥッッ⁉』
日向子の意外な弱点を知ったシルグは不用意にも笑い飛ばしたのだが…
日向子の逆鱗パンチを鳩尾に食らって血反吐を吐く大ダメージを負ってしまった
《シ、シルグ様!?》
『うぐぐ…だ、大丈夫だ…す、少し横にならせて…くれ…(ガクッ⁉)』
《シ、シルグ様ぁ~っ‼》
「大丈夫よぉ、ちゃんと息してるじゃないの。全く大袈裟なんだから‼」
日向子は自分で殴り倒しておいて平然としている
《主…仮にもシルグ様はドラゴン族の頂点におられるお方で…》
「だって‼アレの事で私をバカにしようとしてたんだもん‼」
(…子供かっ⁉)
キメは思いっきりツッコミたかったがシルグの二の舞になるのだけら是が非でも避けたかった為に心の中だけで留めたのだった
今日はこの辺で…すんません




