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ゾンビーナ!  作者: とれさん
129/378

129 ゴルド王国の滅亡 part16


城の秘密通路を辿って城下町にある教会に出た日向子達は更なる秘密を探るべく教会内を丹念に調べた


「…ねぇキメちゃん、此処っておかしいわよね?」


日向子は中央に祀られている御神体?に着目していた


当然前の世界では十字架やキリスト像がある場所に鎧を着た人物像があったのだが

その像の片足がやけに黒光りしていたのだ


この世界の人間ならあって当然の像が故におそらく気付かなかったであろう違和感を日向子は発見したのだ


《確かに手垢にまみれているな、此処を動かすと何かが起こるのか?》


日向子はその像の足をチョイと捻ってみる


…カタン…ゴゴゴゴ…


どうやら像の足はスイッチだったらしく教壇の後ろの床が徐々に開き階段が表れた


「…うーん、何で教会を経由してるのかは分からないけど多分こっちに行くのが正解よね?」


《あぁ、この階段の先からさっきの血の匂いが漂って来ている》


キメの嗅覚を信じて教壇の裏に出現した地下への階段を進む事にした


「…血の匂いが濃いわね…」


その階下は血の匂いでむせかえっていて日向子でも分かる程だった


《‼誰か生きてるぞ⁉》


「えっ?何処?」


《ここから五百歩位先だ》


日向子達は急いで駆けつける


「…う…うぅ…」


大量の血溜まりの中に倒れている男を発見し日向子は近付いた


「!?」


その男は下半身が無かった

まるで何者かに食い千切られたかの様に


「うぅ…た、助けて…くれ…」


「私が来たからには大丈夫ですよ‼一体何があったんですか?」


「う…お、王様が…ゲブッ‼」


男は何かを言いかけてこと切れた


「…間に合わなかったわ…でもこの状況から考えると犯人はまだ近くにいるわね」


《…あぁ、今探知に引っ掛かった。この先に生物反応だ》


「うーん?バンパイアでもゾンビでもなく「生物」なんだ?」


《魔物でもないな》


日向子は生物という言葉に引っ掛かりを覚えたがとにかく先に進む事にした


通路は何処に向かっているのかずっと続いている


《いた‼》


キメは探知した生物を目視し日向子に伝える


《ここは俺が‼》


ダダッ!…ゴアゥッッッ!


ギャッッ!?


日向子が一拍遅れて到着するとキメは探知した生物を仕留めていた


「これは…ワニ?」


息絶えたその生物は日向子が前の世界でも見知った動物、ワニとソックリだった


《ワニと言うのか?初めて見た》


「え?そうなの?」


《ああ、さっきの…アレもあんなに大きいのを見た事がない》


「!!そ、それは私もよ…」


日向子は「アレ」という言葉に敏感になっていた


《いずれにしても此処の生物はおかしいぞ》


「…キメちゃんが言うならそうなのね…だとしたら…」


《?》


「まぁ可能性の1つだけど城で何らかの実験が行われてた、とかね?アハハ、マンガの見すぎね」


《マンガ?》


「あ、ごめんごめん。元の世界の絵で綴ってある書物、かな」


《異邦には様々な叡智が集結しているのだな…》


「あはは…」


キメが感慨深げにしている状況でまさか空想世界の作り話でーす⭐とも言えず笑って誤魔化した


「まぁそれは置いておくとしても何か異常が起こっているのは事実よね」


《王達を捕まえてみないと本当の所は分からないだろうな》


日向子達は通路を猛スピードで駆け抜けて先にいるであろう王を捕縛する事にした


。。。


《主、前方に人間が複数いるぞ》


「やっと追い付いたのかな?」


キメは先行して探知を行っていたがとうとう人間の反応を捉えたらしい


《俺が出て弱らせるか?》


「いぇ、今回は私に任せて‼」


日向子はキメにおおよその位置を聞くと更に加速した


ダダタッ‼


「!?」

「誰だっ‼」


日向子は一瞬で間合いを詰めるとそのまま追い越した


そして直ぐ様踵を返すと軽く手打ちする


ッパァァンッ‼…ドシッ‼


「ぐわっ⁉」

「なっ⁉」


10名程いた人間達は日向子の手打ちから生じた衝撃波によって後方に吹っ飛ばされた


「がはっ⁉」

「…」

「…痛っ…」


衝撃波をモロに食らった一行は1人を除いてほぼ戦闘不能に陥っていた


「貴様‼何者だっ⁉」


衝撃波を不意討ちで食らって尚吠えたその人物

重装備の甲冑を着込み巨大な戦鎚を持ったおそらく王の側近に近い兵だと思われた


「私は日向子。ゴルド王国の窮状を救いに来た者よ」


「…チッ‼余計な事を…」


推理が得意な日向子にはその一言で十分だった


「あなた達は魔物や凶暴な生き物を集めて一体何をするつめりなの?」


日向子は目の前で屹立している男に訊ねた


「我が国は他国を攻め滅ぼし安寧の地を作り上げるのを至上としておる

その為なら民の犠牲は勿論の事あらゆる方策を模索するのは至極当然の摂理なのだ!」


(…え?この人何言っちゃってんの??)


日向子は狂った思想を高らかに唱えた男に目眩を覚えた


「えっと…貴方はもしかしてゴルド王国の…」


「我は第14代ゴルド王国国王、ヤンバである。跪け、下郎かっ!」


…どうりで豪華な装飾が施された甲冑を着込んでると思った…


目の前に立つ狂った思想をぶちまけているこの男こそがゴルド王国国王だったのだ

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