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ゾンビーナ!  作者: とれさん
120/378

120 ゴルド王国の滅亡 part7


ブヒー‼ビキィー‼


四方に散ったキメの分身豚がゾンビ達を誘い出しゆっくりと広場に近づいて来る


《…そろそろか?》


…ゴウゥゥゥ~…


キメは全身から炎を吹き出し灼熱化する


ザシュッ‼ズガッ‼ドスッ‼


「キメちゃん、良いよ‼」


日向子は広場に近付くとゾンビ達をギリギリ迄惹き付け一気に離脱した


ピギィー、ブヒー‼グニュ‼


分身豚達はそのままキメの体に吸い込まれゾンビ達がキメの目前まで迫った時、火柱が立ち上がった


…ゴウッッッ!


ギャァァァァッ‼グワァァァ‼


広場をほぼ埋め尽くす程の太い火柱に直撃したゾンビはその場で蒸発、

直撃を辛うじて避けられたゾンビ達もその後巻き起こった上昇気流に包まれ上空に投げ出される


。。。「ハッ!!」


ドンドンドンドンッ‼


空中に投げ出されたゾンビ達は日向子が放つ衝撃波により四散していく


ゴウッ‼ドドドドドッ‼


火柱と衝撃波の轟音が1分近く続き静寂を取り戻した時、ゾンビの姿は全て消え去っていた


「す、凄ぇ…」

「ま、魔法か?ありゃあ…」


バルコニーで事の成り行きを見守っていた住民達が日向子とキメの攻撃を驚嘆していた


「キメちゃん、残りも狩るわよ‼」


《分かった‼》


日向子とキメは別方向に散り残ったゾンビを駆逐し始める


こうしてゾンビ達は日没を待たずに殲滅されたのであった


バサッ、バサッ、スタン


「…ふぅ。キメちゃんお疲れ様」


《主も怪我はないか?》


「んー、汚れててお風呂に入りたいだけね」


《俺は腹が減った位だな》


日向子達はそんな会話を交わしながらバルコニーに降り立った


「日向子さん‼ご無事でしたか?」


ポルカ達住民が日向子の下に駆けつけると日向子は手で制した


「皆さん、もうすぐ日没です。次はきっとバンパイア化した住民達が襲って来ます

念には念を入れてこの建物の防御を補強して下さい‼」


「お、おう。そうだな…」

「確か空を飛んでた奴もいたな」


「え?空を飛んでたんですか?」


日向子はビックリして問い詰める


「あぁ、多分住民ではないと思うが…変な格好をしたバンパイアが空を飛んでいたのを見かけたぞ」


「…不味いわね…空を飛べるとなると此処の防御じゃ弱いかも…」


日向子は腕を組んで考え込む


「参考になるかは分かりませんが…」


ポルカが口を開く


「この商会の地下に緊急時の脱出路があります」


「…え?何でそんなモノが?」


「このゴルド王国は軍事国家でいつ戦争になるか分かりません

なので大きな商店、教会、城等には脱出路が用意されているのです」


「それって住民なら誰でも知ってるの?」


「あ、はい。避難路として周知してありますので」


「…完全にミスったわね…」


日向子は口惜しそうな顔になる


「え?それが何故不味いのでしょうか?」


ポルカは疑問を投げ掛ける


「…住民周知の事実ならバンパイア側にも筒抜けって事。下手をするとその通路を使って攻め込んできちゃうわね…」


「…あ‼そ、そうかっ‼」


ポルカは思わず膝をついた


講堂に集められた生存者達をいざとなればその通路を使って脱出させようと思っていたポルカは

その通路の危険性に全く気付いていなかったのだった


「避難路を使えないとなるとどうやって街から脱出したら良いんだ?」


「…彼処からバンパイア達が…に、逃げましょ!」


「お、落ち着け‼きっとあの娘達が何か良い案を出してくれるぞ!」


その言葉を皮切りに住民達が日向子とキメに跪く


「あ?ちょっ、ちょっと⁉皆さん何をされてるんですか⁉」


日向子が慌てて住民達に問い質す


「どうか…どうか我々をお救い下さい…」


住民達は日向子達を神の様に崇め始めたのだ


「…困ったなぁ…完全に任せっきりみたい…」


キメも住民達の態度に苦笑いをしていた


初めて会った日向子とキメに自身の命運を丸投げしているのだ

魔物や魔獣、動物ですらそんな行動は起こさない。自分の命は自分で責任を持つのは当然の事だ


キメにはその当然を丸投げする人間が分からなくなっていた


「キメちゃん、どうしようか?」


《そうだな…逃げ道を確保するのは大切だ。先ずはその避難路を探索して安全か確かめては?》


「そうね、それとバンパイア達の侵入経路を塞いでおく必要はありそうね…」


日向子はその程度の事は相談しなくても分かっている

だが住民達の余りにも他力本願な願いを1人で受け止めるには責任が重すぎたのだ


キメはそんな日向子の気持ちを察して同意の意味を込めて提案していたのだった


「じゃあ今から避難路の確認と確保に行って来ます。外からの侵入を防ぐ為に三階のバルコニーは閉鎖しておいて下さいね」


「分かった。それと上の階から順にバリケードを設置して更に塞いでおくよ」


「お願いします」


日向子とキメは避難路の入り口である階段のドアを開け地下に降り立った


「…あ…やっぱり…」


日向子とキメの目の前には赤く濁った瞳が手に持った蝋燭の明かりに反射して無数に光っていた

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