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ゾンビーナ!  作者: とれさん
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119 ゴルド王国の滅亡 part6


ゾンビ達がポルカ商会の前に集結し破壊を繰り返す最中、住民達は望みの薄い生存者捜索をするべきか否かで紛糾していた


日向子はその状況を煙草すべく1つの提案をした


「…皆さんのお辛い気持ちは良く分かります。

ではもう一度捜索を行い見つけられなかったら殲滅行動に移ります。それで宜しいでしょうか?」


「…あぁ、仕方ねぇな…」

「これ以上此処に籠っていても先が見えてるぜ?」

「あぁ、でも…でも…まだ生きている人が…」


一応諭してはみたもののやはり未練は残っている様なので日向子は更に一計を講じた


「ではこれではどうでしょう?今から希望者を募り安全な高い場所に降ろします。

その方々は私達の捜索状況を監視して下さい。それで皆さんの同意が得られた段階で殲滅行動に移る、と言う事では?」


「ま、まぁそれなら…」

「俺が行く!目が良いから上からでも探せるぜ‼」


「…日向子さん、宜しいのですか?」


ポルカは思い詰めた表情で訊ねる


「はい、手間とリスクは増えますが皆さんが納得する形で終結した方が良いと思いますので」


「…それでは宜しくお願い致します。ですが決してご無理はなさらぬ様に。」


「お気遣いありがとうございます。じゃあ希望者は此方に並んで下さい」


日向子の言葉に10名程の男女が立ち上がった


「これで全員ですか?では今から1人ずつ高所に運びますので自衛の武器をお持ち下さい」


希望者達は鎌や斧、包丁や棍棒等を手に持ち頷いた


「キメちゃん、宜しく」


《…分かった》


キメは日向子の指示に従い希望者達を教会や商会の屋根や木の上等に運んで行った


《主、皆を高所に運び終えたぞ》


「じゃあ今から捜索主体の全員行動に移ります。

残った皆さんはゾンビ達が突破しない様に注意を怠らないで下さいね」


「日向子さん、我々の身勝手をお許し下さい…」


ポルカは住民を代表して土下座をした


「親しい人には生きていて欲しい、その気持ちは十分に分かりますから。じゃあ行ってきます‼」


日向子達は三階のバルコニーから表に飛び出した


「キメちゃん、宜しく!」


《《生存者がいたら何か合図をしてくれ!!》》


キメの背中から生えたコカトリスの頭から拡声器を使った様な音量の声が発せられた


探知能力でも探し切れなかった生存者を探す最後の手段だった


《《生存者がいたら何か…》》

《《誰か生きている者はいないか?いたら返事をしてくれ》》


住民監視の下キメの声に反応するのは住民の変わり果てた姿とカラスだけだった


ー1時間後ー


キメと日向子は可能な限り広範囲の呼び掛けを行ったが反応する者はいなかった


キメは日向子に指示され希望者達をバルコニーに連れ戻す


「…探しましたが反応はゼロでした。これよりゾンビの殲滅に移ります」


「あぁ、頼む」

「…あなたぁ‼」

「…くっ‼」


希望者達も絶望的な状況を見せられた事で漸く納得した様だ


「日向子さん、お手間を取らせて申し訳ありませんでした、この街をお救い下さい」


「分かりました。恐らくですが日没後にはバンパイアに変態した者達が襲ってくるでしょう。

それまでにゾンビ達は殲滅しむすのでご安心下さい」


「あぁっ‼ソレを忘れていた‼…何て愚かだったんだ俺達は…」


希望者の一言が住民達の心に刺さった


「とにかく急ぎますのでこれで‼」


日向子達はバルコニーから再び飛び出した


「一気に殲滅するとなるとキメちゃんの炎か私の衝撃波なんだけど…

火災や建物の破壊は避けたいわね…」


《1つ聞いて良いか?》


「え?うん、良いよ」


《主は何故そこまで住民達の身勝手な望みを許すのだ?

二度目の捜索をする前に生存者がいない事は分かっていただろう?》


日向子はキメの説明に悲しげな表情で答えた


「さっきのはね、謂わば諦めさせる為のパフォーマンスよ」


《パフォーマンス?必要だったのか?》


「…そうね…逆恨みされてもつまらないし…人は喉元過ぎれば都合の悪い部分は忘れるモノなのよ」


《…人間は何かと面倒だな…》


「そうね…」


日向子はキメと話しながらも効率的な殲滅方法を模索していた


「…やっぱり広場とかに集めて一気に倒した方が効率は良いわね」


《…ではどちらが囮に?》


「キメちゃん、分身体出せない?ゾンビ達が食い付きそうなの」


《そうだな、さっきゾンビ達が家畜を襲っているのを見かけた。豚程度であれば20体程出せると思う》


「じゃあその分身体と私が囮になるわ。キメちゃんは広場で炎の準備をして待機。これで行きましょう」


《…分かった、では出すぞ》


ドチャッ‼モコモコモコモコモコ…


キメは地面に肉塊を落とすとそこから豚の様な魔物が20体現れた


《お前達はゾンビを誘導して俺の前に連れて来い‼分かったな?》


ブヒー、ブヒー‼


キメ製豚達は鳴きながら四方に散って行った


「じゃあ私も誘い込んでくるわね‼」


日向子も豚達が向かわなかった方向に駆け出した

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