118 ゴルド王国の滅亡 part5
ズバンッ‼ドガッ‼バシュッ‼
ゴルァッ‼ゴウッ‼
日向子達は生存者捜索の為にゾンビで溢れかえった街中を討伐しつつ進んでいる
《主よ、斜め前の建物の二階に3名だ》
「了解!」
ダンッ‼…スタッ。
「生きてる方、救援に来ました‼」
日向子は生存者を効率良く回収する為に簡潔に意図が分かる様な物言いにしていた
「ほ、本当か?」
「はい、今からポルカ商会の講堂にお連れしますので荷物をまとめておいて下さい。
それと何処かに生存者がいるとかの情報はありますか?」
「いや…向かいの家族はさっき襲われて…知ってるのはそれだけだ。」
「そうですか…では用意が出来たらソコの窓から声を掛けて下さい。それまでは他を助けて来ます‼」
そう言うと日向子は外に飛び出して行った
ー30分後ー
《良し、このブロックの生存者はこれで終わりだ》
「了解。じゃあ拾ってポルカ商会に送りましょう」
日向子達は途中で拾った馬車を2台用意して生存者達を乗せた
「馬もいないのにどうやって運ぶんだ?」
「こうやってですよっと‼」
日向子は馬車を片手で持ち上げキメは本来の姿に戻って口に咥えるて持ち上げた
!?
「ま、魔物か⁉」
「ちょっとお静かに。今からポルカさんの所に運びますが暴れて落ちても助けられません。
じっとしていて下さいね‼」
日向子達はそれぞれ馬車を持ち上げて運び出した
バサッ、バサッ、バサッ、
「お、おい‼魔物が馬車を持ってこっちに来るぞ⁉」
「下を見ろ!さっきの姉ちゃんが馬車片手で担いで来てるぞ?人間か?ありゃあ‼」
ダダダッ、ダンッ‼…ズダッ!
「はい、皆さん着きました‼後は商会の皆さんの指示に従って下さいね」
「あ、あんた‼あの魔物は?」
「さっきのキメちゃん、神獣ですよ」
「…あれが神獣か…」
「今キメちゃんの馬車も降ろしますから生存者の誘導をお願いします」
「わ、分かった!」
日向子は元来た道を馬車を抱えて戻って行く
《早く降りてくれ‼他の生存者も救いたいのだ‼》
キメは珍しくキツい言葉遣いで馬車の中の生存者達を急ぎ降ろした
バサッ、バサッ、
《直ぐに戻ってくるから受け入れを頼む‼》
「はいっ!」
馬車が往復する事三時間弱、生存者は200名程救出出来た
「怪我人は治療と共に万が一を考え別室で隔離しておけ‼」
「噛まれた人はこちらで待機していて下さーい‼」
ポルカ商会の従業員達が効率的に指示してくれているお陰で救助者達も大分冷静さを取り戻していた
日向子とキメは粗方生存者を救助し終えた事で次の段階への移行を救助者達と相談し始めていた
「これで王城を除くほぼ全ての居住エリアの捜索は終わりました。
探知出来た生存者は全員救助しましたが…」
日向子は救えた人数の少なさに悲しさを滲ませる
「日向子さん、あなた方が来なければここにいる人達も死んでいたのです。
たったこれだけ、ではなくこれだけの人数を救えたと考えましょう」
落ち込む日向子に1人の女性がそう言って慰めてくれている
《俺の探知能力ではこれで全員だが更に念を入れて捜索を続けるか、
それとも諦めて殲滅行動に移るか…皆で相談して決めてくれ》
「勿論捜索は平行して続けますが殲滅行動で巻き込んでしまう可能性があります。
良く考えて決断して下さいね」
日向子とキメは非情な決断を救助者達に突き付けた
「まだ生きている人がいるかも知れないんだろ?ならもう一度捜索をして貰った方が良いんじゃないか?」
「それまで此処が持つかどうか分からないだろ⁉早く殲滅して貰って生存者の安全を優先するべきだ‼」
「私の娘が…娘がまだ此処に来てません‼どうか捜索を‼」
避難所となった講堂内は様々な意見や怒号が飛び交い一時騒然となった
「…やっぱり当事者に決断を迫るのは良くなかったわね…でも仕方がないわ…」
日向子はこうなる事は分かってはいたものの議論をさせるしか方法がなかった
これから行うのは救助ではなく討伐メインの行動になる
S&R(サーチ&レスキュー)とS&D(サーチ&デストロイ)では行動原理が全く違うのだ
「救助も同時に行えないだろうか?」
「俺の家も一度見て来てくれ!」
「俺達も捜索に加わるからまだ殲滅行動に移らないでくれ‼」
住民達は日向子に訴えるがそれをポルカが制した
「馬鹿者!救助と討伐を同時にさせて万が一日向子さん達がやられたらどうするんだ!」
「…だから俺達も一緒に…」
「何故日向子さんが最初に俺達を救助したか分かるか?これ以上被害を出さない為にだ!
なのにお前達が再び外に出たら襲われて死ぬのがオチだ。それを分かって言ってるのか?」
ポルカの言葉に意気込んでいた住民達も黙ってしまった
太刀打ちが出来ず籠城するしか手がなかった人間が捜索や救助に約
役に立つとは思えない
逆にゾンビ達に襲われ変態し、日向子達の足手まといになるのは容易に想像が出来たのだ




