117 ゴルド王国の滅亡 part4
ドシュッ‼ザシュッ‼
《ゴバァッ‼》…ゴウッ!
日向子とキメは襲いかかるゾンビ達を倒しつつポルカ商会に向かっていた
「…流石城下町ね、倒しても倒してもウジャウジャ湧いてくるわ…」
《あぁ、しかしバンパイアに変態した街人はいなさそうだ》
「私の世界ではバンパイアは日の光を浴びると火傷したり燃えて死んだりしていたわよ」
《…もしかするとそれが正解なのかも知れないな…》
キメは目の前のゾンビの群れに火球を放ち消し炭にしながら同意した
「あ、あれかな?かなり大きい建物だけど…」
日向子達の目の前にこの辺りの建物に比べると遥かに巨大な建物が見えた
《主、彼処に数十人の生存者がいそうだぞ》
「本当?じゃあ急ごう!」
日向子達は建物の前に群がるゾンビを一掃すべくダッシュした
ゴリッ‼メキメキ…
「だ、旦那様‼もう扉が持ちません‼」
「押さえ続けるんだ‼いずれ救援は来る筈だ‼」
ドシュッ‼ゴウッ‼
(ギャァァァァッ!)
。。。
「な、何か表が静かになりましたよ?」
「気を緩めるな‼また来たら持たないぞ‼」
…コンコン…
!?
「あのー、ポルカさんはいますか?」
「だ、誰だ?貴様!」
「私、日向子って言います。弟さんのドルネさんから救援依頼を受けて助けに来ました」
「何?ドルネだと⁉」
「だ、旦那様‼もしバンパイア共の狂言だとしたら…」
「そ、そうか‼バンパイア共め、騙されんぞ‼ドルネの使いと言うなら証拠を見せろ‼」
「証拠って言ったって…何を提示したら信じて貰えるんですか?」
「う…そ、そうだな…弟が最近推している運輸会社の名前は何と言うか答えてみろ‼」
「ん?それって神獣運輸の事ですか?」
「そ、それだ‼」
「私、そこの代表ですよ」
「何?…じゃああの噂の女傑か?」
「…「女傑」って言葉に引っ掛かりますけど多分それです」
「た、助かった!皆の者、早く瓦礫をどけるんだ!」
「「「はい!」」」
ガララ…
「どうも。えっと…どなたがポルカさんですか?」
「私だ。本当に弟が救援に寄越したのか?何人で来たのだ?」
「あ、私とこのキメちゃんと二人だけですよ」
「…何と…たった二人で何が出来るんだ?…弟め、一体何を考えているのだ…」
「あの‼ドルネさんは救護隊を派遣したんです。全滅しちゃったけど」
「なら何故君達は無事に…」
《俺達は一騎当千だからだ》
「…」
ポルカはキメの言葉に戸惑った
「そんな事より先ずは生存者を此処に集めたいんですが良いですか?」
「えっ?まだ生き延びている者達がいるのか?」
「えぇ、さっきもアルさんに会って話を聞いて此処に来ました」
「アルが…生きていたのか?…良かった…」
「あの‼そんな事より此処に生存者を集めたいんです‼複数箇所だと守り切る自信がないので‼」
日向子はちょくちょく脱線するポルカに少しキレ気味にお願いした
「それは構わないが…集めてどうするつもりだ?」
「生存者の皆さんを此処に集め終わったらゾンビとバンパイアに変態した人達を殲滅します」
「!?殲滅と言っても…たった二人でか?」
「はい、任せて下さい。とにかく集めて良いですか?」
「…分かった、この店の奥は講堂があるからそこに集めてくれ」
「あと質問なんですがこの建物の二階より上に中に入れる場所とかあります?」
「?…それなら三階にバルコニーがあるが…」
「そうですか、じゃあソコから救出した人達を入れますから一階の出入口と窓は全部塞いじゃって下さい」
「…そんな事が…」
「あー、もう‼悩んでる暇はないんですよ?チャッチャと指示に従って下さい!」
「わ、分かった‼皆‼動ける者は窓やドアを瓦礫や家具で塞ぐんだ‼」
「だ、旦那様…動ける者がそれほどいないのでは…」
「むぅ…」
「むぅ、じゃないですよ‼私達が手伝いますから早く!」
「わ、分かった‼」
グズグズしているポルカを急かして日向子とキメはバリケードを強化した
「キメちゃん、此処に火をお願い‼」
《了解》ゴウッ‼
日向子はバリケードの補強として鉄屑を置きそれをキメの炎で溶解させ固定した
「これで少しは持つでしょう、じゃあ今から生存者を助けて来ますから後はお願いします‼」
「わ、分かった‼」
日向子とキメは三階のバルコニーから飛び降りて生存者を探し始めた
「…旦那様…彼女達は一体…?」
「…もし弟の話が本当なら彼女は力でドラゴンを説き伏せた女傑だ…」
「え?ほ、本当ですか?」
「…眉唾物だと思っていたが…どうやら本当の事だったらしいな」
ポルカ達は襲い来るゾンビの群れを事も無げに蹴散らして進んで行く日向子達を呆然と見送っていた
「キメちゃん、どう?」
《…多分アレが教会だと思うが…ダメだ。全滅している》
日向子達の前には立派な石造りの教会が建っているが入り口が突破されてしまっていた
「…そう、じゃあ他を探しましょう」
日向子達は教会を諦め他の生存者がいないか捜索を再開したのであった




