108 GO WEST part7
ドドンッ‼ズバッ‼ブンッ‼
ギャッ⁉ギィィッ‼
逃げたオロチを追い日向子は洞穴深部に向かっている
「それにしても面倒臭いわね…こんなに穴があったら隠れ放題じゃないのよ…」
日向子は洞穴の壁に無数に開いている穴から飛び出てくる伏兵を一体ずつ屠っていた
「流石に壁を壊したらマズイわよね…生き埋めとか怖いし」
黒竜の下に辿りつくにはまだまだ時間が掛かりそうだ
。。。
「ふぅ、全くどこまで続くのよ…」
キメと別れてから小一時間が経過したが日向子は未だ伏兵退治に手こずっていた
「もう…面倒だから壁壊しちゃおうかな?」
日向子はチマチマ伏兵を倒しながら進むのにいい加減ウンザリして崩壊のリスクを承知で壁面を破壊しようと身構えた
《主よ、それをやれば俺達は確実に生き埋めになるぞ?》
「あ、キメちゃん?もう平気なの?」
あと一歩で自爆しそうだった日向子を止めたのは休憩して体力を戻したキメだった
《あぁ、彼処には沢山の「養分」があったからな。取り込んで同調するのに少し時間を食った》
「…「養分」ね、成る程…」
キメは倒したワイバーン達を吸収し回復していたのだ
「で、これどうにかならないかな?」
《そうだな…音波攻撃して巣穴から追い出してみよう》
「え?出来るの?」
日向子の目はまるで青くて丸い未来からやってきた猫型ロボットを見るかの如くキラキラしていた
《主、耳を塞いで口を少し開けておいてくれ》
「分かった」
…メキメキメキメキッ‼
キメの背中から山羊の頭が出現する
(あ‼あれって出会った頃にあったヤツよね?)
…ンメェェエェェエェ~ッ!
キィィィィィィーーーーン!!
背中の山羊頭が雄叫びを上げると日向子の視界がグワンと揺れる程の高周波となって周囲に拡散した
!?
ギャギャッ⁉
ピィィッ‼
耳をつんざく高周波に耐えきれず隠れていた伏兵達が一斉に壁の穴から飛び出した
「…今だっ!」
日向子は瞬時に反応して手を叩いた
パァァァンッ‼
ギッ?
グギャッ⁉
日向子のフルパワーの手打ちは衝撃波を生み出し伏兵達を一気に飛行不能にさせた
「キメちゃんお願い!」
日向子はキメと共に地面に堕ちた伏兵を一気に片付けていく
「ふー、助かったわ。キメちゃんありがと☆」
もしキメが応援に来てくれなかったらあと数時間は伏兵をチマチマ倒さなくてはならない所だった
「さ、奥に進むわよ‼」
日向子達は伏兵の潜む横穴エリアを抜け奥にあった扉を開けたのであった
。。。
「…えぇ~、此処ダンジョンみたいじゃん…」
日向子は目の前に広がる光景にウンザリしていた
煮えたぎる溶岩、今にも焼け落ちそうな吊り橋、飛び地にはサラマンダー達が日向子達を待ち受けていた
「キメちゃん、聞いて良い?」
《何だ?主よ》
「火竜やサラマンダーって火に強いイメージだけど溶岩にも耐えられるの?」
《多少の時間ならノーダメージだろうが…長く浴びれば耐えられないだろうな》
「うーん、落として一気に殲滅って訳には行かないかぁ~」
日向子は既に忍耐の欠片も残っていなかった
「。。。あ、これならイケるかな?」
日向子は何かを思いつきキメに相談して早速実行に移した
…フヒュッ、フヒュッ、フビュッ‼ビュッ‼ビビュッ!ブンッ!
日向子は両手を団扇をあおぐ要領で少しずつ速度を上げて振りだした
…ゴォォォオオオオオッ‼
日向子の狙い通り地表から旋風が巻き起こった
グギャァァァァッ‼ギャッ⁉
火竜達に旋風で巻き上げられた溶岩が降り注ぐ
ジュッ‼ジュジュゥゥ~…
「キメちゃん、今よ‼」
バサッ、バサッ、バササササッ‼
…ビュゥゥゥ~‼
!?
ギッ⁉
「やった‼成功よっ‼」
日向子達が思い付いた策とは上昇気流に回転を加え旋風にして溶岩を巻き上げ
それを火竜達が被った段階で風によって冷やして固めるというごくシンプルな作戦だった
たまたま成功して火竜達は冷えて固まった溶岩によって身動きが取れなくなっている
「じゃあ先を急ぎましょう‼」
日向子はキメの背に乗って火竜達の上を飛び越えて進んで行った
ーゴゴン、ゴゴゴゴゴゴ…
空間の終わりにあった扉を再び開けるとソコにはバハムートやドラゴン、先程倒したオロチ、そしてその奥に黒竜が座していた
((フッ、まさかここまでやって来るとはな。だがここまでだ!))
オロチが叫ぶとバハムートやドラゴン達が一斉に戦闘体勢になる
「ちょとぉ、あなた死んでなかったの?」
日向子はオロチに疑問を投げ掛ける
((フハハ、黒竜様の加護があればあの程度の傷などなきに等しいわ‼皆の者、かかれっ‼))
ゴァァッ‼ウゴォッ‼
ドドドドドドドドッ‼
地響きを鳴らしながら突進してくるバハムートとドラゴン達を前にして日向子は新兵器を出した




