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ゾンビーナ!  作者: とれさん
101/378

101 GO WEST part1


「えっ?西の土地にですか?相変わらず唐突ですねぇ~…」


受付にいたテロンが呆れている


「だって…今村にいても私やる事ないんだもん…」


「…確かに。日向子さんがエレモスに行ってた間皆さんでカバーしあって埋めてましたからね」


日向子の寂しそうな顔にテロンは同情する


「で、シルちゃんに誘われたからちょっと西に行って来るわね」


「ソコが唐突過ぎるんですよ?」


テロンにツッコまれても日向子は意見を曲げないのはテロン自身が良く分かっている


「はぁ~…仕方ないですね、ゴメリさん達には伝えておきます。キメちゃんはどうします?」


テロンはここ最近重用していたキメへの対応を訊ねる


「そうねぇ…来たいなら後から来てって言っておいて。シルちゃん達もう出掛けるみたいだから」


じゃ、と言わんばかりに日向子は事務所を出て行った


「…キメちゃんきっと慌てるわね…」


テロンはスタッフの動揺を予感してため息をついた


。。。


《何っ⁉主はシルグ様達と西に行ってしまっただと⁉》


案の定依頼から帰ってきたキメは動揺してテロンに詰め寄った


「私のせいじゃないですよ…」


《はっ⁉す、すまん…》


キメは泣きそうな顔になったテロンに気付き謝る


「日向子さんから伝言です。「来たかったら後から来て」だそうです」


《…随分ぞんざいな扱いだな…だが俺が行かねば困る事もあるだろう、良し‼では早速後を追うので後は宜しく‼》


何だかんだ言ってキメも今のポジションを気に入っていたのだ


日向子のお気に入りがシルグに移ってはたまらん、と言った慌てっぷりで人型を解き西の空に飛翔した


夕方依頼を終え帰ってきたスタッフ全員は日向子の突発的行動にビックリしたが


「いつもの事だ」


というゴメリの言葉に皆賛同し留守をしっかり守る事を誓い合ったのだった


…バァサッ、バァサッ、


「そろそろ西の未開の地ね」


上空から前に見た渓谷を伴う飛び地に気付き呟く


『ここはワシ等と人間達を分ける境界線として竜神が大地を裂いたと言われておる』


「へぇ~、竜族にもそんな言い伝えがあるんだ」


『まぁ人間と違い口伝だしそもそも長寿が故に本人が生きていたりするがな』


「あ、じゃあシルちゃんは竜神と会った事があるの?」


『いや、ワシが生まれる千年前に同族の争いで死んだらしい』


「そう…残念だったわね」


日向子が同じ立場なら伝説になる存在に是非とも会いたいと思った


『さぁ、ここからが人間が立ち入れぬ「ドラゴンキングダム」だ』


「えっ⁉ドラゴンキングダム?」


日向子は未開の土地に名前があった驚きよりそのネーミングに驚いていた

彼女は生粋のジャッキーファンだったのだ


「はぁぁ~、蛇拳とかまた見たいなぁ…」


『…それは何だ?』


「あっ、いやいや。前の世界で見た映画…うーん、説明が難しいわ…」


この世界には映画どころか演劇もなさそうだったので日向子は説明を諦めた


『どうせまだ中心には着かぬ、良かったら説明してくれ』


日向子は前の世界にあった劇や写真、映画やテレビ等をシルグに話して聞かせた


『…成る程、異邦では平和な世を享受しておったのだな』


シルグは日向子の話を聞いて感銘を受ける

人の心に余裕がなければそういう文化は育ちにくいのだ


『さぁ、中心地に着いたぞ。此処が人間で言う所の王都、ドラコニアだ』


日向子は眼下にそびえる険しい山々を見下ろす


シルグはその中の一角に進路を向けると降下を始めた


《シルグ様が帰還されたぞ!》


山の中腹にポッカリ空いた洞穴から数十体のバハムートが飛び出し入り口にある岩で出来た棚に整列する


「あ、あの子達鎧を着てるわね」


整列したバハムート達は兜や鎧で武装していた


『彼等はワイトの親衛隊だ』


「ん?じゃあ…?」


『そう、ワイトはさっき話した伝説の竜神の末裔とされていて此処ドラコニアを治めている』


「シルちゃんとか他の四竜達は同じ様に領地とかあるの?」


『いや、ワシも含め他の四竜は領地等に興味がなくてな。それぞれ気に入った場所にねぐらを構えているだけだよ』


「へぇ~、同じ竜族でも考え方が違うんだね」


『ワイトは竜神の末裔と言う事に誇りを持っているからな。その部分は下手に刺激するなよ?』


シルグは奔放な日向子に念の為釘を差した


「はーい♪」


『…大丈夫かの…』


シルグは日向子の生返事に一挙に不安になっていた


バァサッ、バァサッ、ズズン


《シルグ様、ようこそお出で下さいました。先刻より我が君がお待ちです‼》


親衛隊のバハムートがシルグに声を掛けた


『うむ』


《…ところでソコの人間は…?》


親衛隊が訝しげに日向子を見やる


『彼女はワシの主殿だ。』


《ブフォッ⁉…ゴ、ゴホン‼あ、主…ですか??》


親衛隊はまさか、と言った表情で日向子を二度見する


『そうだ、失礼のなき様に扱ってくれ』


《は、ははっ!》


親衛隊達は驚愕の表情で日向子を迎え入れたが未だに信じられない様子だった

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