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ゾンビーナ!  作者: とれさん
100/378

100 怒涛の建築ラッシュ


「ソコは鉄筋をもっと密にして下さーい‼」


「監督ー、木枠はこんな感じで良いんだべか?」


「オッケーでーす‼」


日向子達はエレモス国王の要請に従い鉄筋コンクリートによるサンプル住宅を建築中だ


初めはパネル工法の様にコンクリートパネルを組み合わせ様としたが接続部分の強度が怪しいので型枠工法としたのだ


肝心の石灰岩は日向子達が集めた量だけでは当然足りずエレモス国王の指示で採掘が始まっている


「いやぁ、日向子社長のお陰で俺達ゃ仕事が貰えて万々歳ですわ」


そう、今回の鉄筋コンクリート工法による町作りで新たにかなりの雇用が生まれそれに伴う生活需要も発生した為

エレモス国内では経済活動が活性化していたのだ


国外から人員が流入し商店が建ち税収も上がった事により既に十分な効果は上がっていた


今まで農具や武器など不定期な仕事しかなかった鍛冶屋も定期的かつ恒久的に依頼が舞い込みそうな仕事に

今までの店を畳んでやって来る職人も数多くいたのだ


この急激な人口増加のお陰で日向子達のプランは予定していた一年間という期間を大幅に割り込み

5ヶ月弱という期間で鉄筋コンクリート造りの居住区は完成する事となった


「日向子よ、そち達の功績は我が国に富をもたらした。深く感謝するぞ」


「いえいえ、これも皆さんのご助力があればこそです」


「ワハハ、奥ゆかしいな。だがいずれこの功績は称えねばならぬ」


国王は日向子に叙勲を匂わせた


「あはは…それはまた後で考えさせて貰いまーす‼じゃあ私達はこれで!」


日向子は責任者としての責務を果たしピレネー村へと帰って行った


ーピレネー村ー


「おーい、ヒナちゃん達が帰って来たぞー‼」


身張り番が遠くから飛来する日向子達を発見し村人達に伝える


バァサッ、バァサッ、


「ただいまー♪」


シルグの背から飛び降りた日向子に村人達が群がった


「ヒナちゃんお帰り‼ヒナちゃんはオラ達の救世主だんべ!」

「んだ!」「んだべっ!」


村人達は口々に日向子に感謝の言葉をかける


ピレネー村は元々生産性の低い寒村だったが神獣運輸で関連雇用が生まれ

更に今回の鉄筋コンクリート建築でかなりの雇用者を生んで村が生き返ったのだった


「私はただ仲間の食費を賄おうと必死だっただけですよ。でも皆さんに喜んで貰えたなら良かったです」


ソコにウシャ爺が現れた


「何を謙遜しとるんじゃ。ヒナちゃんが来てからこの村は良い事だらけじゃよ、素直に受け止めるが良いぞ‼」


日向子は少し照れながらウシャ爺や村人達の言葉を受け取った


「よーし、今日はヒナちゃんの帰りを祝して宴会じゃーっ!」


ウシャ爺は何故か無茶苦茶張り切っている


「…ゴメリさん、ウシャさんは一体どうしちゃったんですか?」


日向子ははしゃぐウシャ爺を怪しんでゴメリに訊ねる


「あはは、ヒナちゃんがあちこちでウシャ爺の薬を宣伝してくれてたろ?

それで一気に人気が出て今ウハウハ状態なんだよ。」


「あぁ、なるほどね」


「弟子も沢山抱えて今は新薬の開発だけに集中出来て青春を謳歌しているよ」


「…青春、ですか?」


「あぁ、ウシャ爺の目を見てみろ、キラキラしているぞ?」


ウシャ爺だけではなかった


村人達全員が生き甲斐を見つけてキラキラしていたのだ


「ヒナちゃん、ありがとう」


ゴメリの言葉に日向子は頷いた


「何の役にも立ててないけど皆が喜んでくれてるなら嬉しいわ」


「ゴメリさーん!討伐依頼が入りましたよー!」


テロンが事務所の窓からゴメリを呼んだ


「分かった‼リースは何処だ?」


「もう出ました」


「何っ⁉じゃあ俺も行くからな‼」


ゴメリは指笛でシロを呼び出し慌ててリースの後を追って行った


「何か…皆幸せそうで良かった」


日向子の胸には達成感と共に僅かな空しさが去来していた


「次は何しようかな?」


性分と言えばそれまでだが日向子は無意識に次の目標を必死に探していた

立ち止まれば喪失感に苛まれるのを恐れているかの様に。


。。。


「じゃあ行ってきまーす‼」


日向子は神獣運輸の事務所を元気良く飛び出して行った


「あ、何かあったら呼び出しかけますからねー‼」


実は日向子には村に戻っても担当する仕事が無くなっていた


討伐はゴメリとリース、シロ達が

輸送は女性社員と男性社員、ハク達が

郵便物はキメ達が滞りなく進めていたのだ


…コンコン


「こんにちはー」


『おお、主殿。今日は如何致したのだ?』


日向子は次の目標を探すヒントをシルグ達ドラゴンと相談しながら見つけていた


「あはは…コンクリ造りで村を空けている間に私の仕事が無くなっちゃったんですよ…」


日向子は少し寂しそうに、また少し誇らしげな表情でシルグに話す


『そうか。ならばワシと共に西の土地に行ってみるか?』


「えっ?あの未開の土地に?」


『うむ、どうやら彼方で何か異変があった様なのだ。ワシとバハムートは確認に戻る所だ』


「うーん…暇だしお付き合いしようかな?」


『ワハハ、主殿が一緒ならワシも心強いな‼』


こうして日向子の杞憂は即座に晴れる事となった

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