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とアる廃ビょウ院で起コる奇怪

作者: 黒豆100%パン


ケイは使われてない廃病院の前にいた。ケイはyautobeという動画投稿サイトで動画を行っていて主にホラースポットを回るという動画を撮っている。そして次の動画を撮るにあたって、この病院に白羽の矢が立ったというわけだ。



「おお、雰囲気出てるなあ」



使われてないということもあり、内装はぼろぼろで、周りの塗装も所々はげている。夜だったこともありホラーという雰囲気にはバッチリの場所だった。



「怖いなあ...」



恐る恐るドアを開き懐中電灯を照らしてみる。中もボロボロで動画にするにはいい感じの場所だ。

目の前にある古びた茶色いカウンターにカルテが散らばっている。その横に案内図があるようだがほとんど掠れていて読めない。



「確か、狂った医者が人体実験をしてたんだっけ...?」



人体実験とかをやっていたとかで、その犠牲になった女性の魂が具現化し、ここに住み着いたのだとか。その女性の魂は時々、「もっと生きたかった、もっと生きたかった」と嘆いているんだとか。まあ噂なので実際にあって見ないと分からないが。




「なんか寒いなあ..確か今日は25度ぐらいあったあったはずなのになあ」



なんだか肌寒いような感覚に陥る。今までいろいろな所を回ってきたがここはダントツでやばいというのはすぐにわかった。足が震えている。

その時、真横に何かが通った。ケイの髪の毛がふわっと浮かぶ。横を向くがなにもいない。そして前を向くと.....




いた。そいつが。



✳︎


目を開いた。だが目の前にはなにもいなかった。ケイは手をグーパーグーパーさせてみる。異常はない。問題ないようだ。



「さて」



そう呟きケイは歩き出す。すると電話が突然なり始めた。プルルルルルという大きな音を鳴らしてランプが赤に点灯したり消えたりを繰り返す。受話器を取り耳の当ててみる。



「タス...ケテ...タス...ケテ...」



苦しそうな声でそうなんども繰り返す。そこからドンドンドン!!!という窓を音が聞こえてくる。窓を見ると半透明の男がこちらを恨めしそうに見ている。



「返せ!!!俺の体!!」



その中の一人がこちらにそういいながら向かってくる。



「返すものか!この体は既に、私のものだ!」



「返せ!!返せ!!!」



奥の方に走り出す。この体を取られるわけにはいかないのだ。夢中で走り、目の前にある扉を開け、中に入るとすぐ締め家具をかけた。ドンドンドンと扉を叩く音がするが少ししてそれはやんだ。

はぁはぁ...と息を切らし恐る恐る外を確認する。どうやらもうおってはきてないようだ。



「...早く脱出しよう」



扉を開け先ほどのやつがきてないことを確認する。左右を見ていない事を確認すると歩き出した。



のだが、開かない。



先ほどまで開いたはずなのだが、扉をいくら動かしてもビクともしない。



「開かなくなったか。なら他のところから出るしか...」



窓を見つけなにか台になるものを探す。

どうやらここは手術室のようで、あるのは手術台のみだ。白いシーツにべったりと赤いなにかがこびりついている。鉄のような匂いが鼻に着くところを見ると、血で間違いないようだ



手術台に乗り窓を乗り越えようとする。すると後ろでメスがカランカランという音を立てて落ちた。そちらの方を見るとなにもいない。

すぐに目線を窓の方に戻し、なんとか乗り越えて下についた。



「あいつはいないか...」



周りを見渡す。いつ先ほどのやつが襲ってくるか分からないので、警戒はしておかなければ。



「出口は...あそこか」



出口を見つけると小走りで走り出す。すると後ろの方でまた、あの声が聞こえる。



「返せ!!!返せ!!!」



「くっ!また!!」



向こうの方から先ほどの半透明の男が迫ってくる。急いで扉の方に行き、扉が開いた。



外まだまだ薄暗く出ると月がこちらを照らしてくる。

どうやら外には出れないようで、外にまで逃げてきたこちらを追っては来なかった。



「やっと...やっとだ!!」



ケイがそう嬉しい表情を浮かべて歩き出した。もうここに来ることはないだろう。ここに縛られることも...。




病院では、時々「俺の体を返して...返して...」というような声が聞こえたが、ケイは全く気にすることなく、歩き出した。







「で、そんなことがあって」



「へーお前も大変だな」



「いやいや、全然大したことなかったよ」



友人にあったケイはそう、昨日の話を始めた。友人は「そーか」と頷きながらストローで飲み物をすすった。



「お前、なんか雰囲気変わったか?なんていうか?前のお前とちょっと違うような気がするんだが」



「そうか?変わってないと思うけど」



「そっか...」



そういいながらまた、友人は飲みものをすする。



「新しい生活を手に入れられたんだ」



「新しい生活って??」



唐突なケイのその言葉にケイの方を向く。



「それは教えられない」



友人はそう嬉しそうに言うケイを見ながら、どこか違和感のようなものを感じたが「まあいいや」と小さく呟き飲み物に入っていた氷を口に入れ噛み砕いた。


とそれを噛み砕いた。




おそらくケイという主人公の視点で読んだことだろう。



だが、この主人公は途中からケイではない。

✳︎のところから女性の幽霊の視点で描かれていたのだ。

✳︎から、ケイではなく幽霊の視点で見ると解釈が異なる。


●「ケイは手をグーパーグーパーさせてみる。異常はない。問題ないようだ。」というシーン


今までケイ視点で読んでいた場合、特に幽霊になにかされたわけじゃない。となるが、幽霊視点ならば、異常はない、問題なく体を乗っ取れた。という解釈になる。


●「返すものか!この体は既に、私のものだ!」というセリフ


ケイの視点ならばこのセリフは少しおかしい。だが幽霊の視点だったと解釈すれば「既に(この体を乗っ取った)私のものだ」となり自然になる。

つまり、現れたのはケイで、幽霊に乗っ取られた体を取り返しにきた。


●脱出した時のやっと...やっとだ!!」



これもケイが脱出できた!と言っているわけではなく、ケイの体を奪った幽霊が「やっと新しい体を手に入れた」と喜ぶ事に...。


そして最後の「新しい生活」というのもケイの体を手に入れ、新しい生活を送ったという事に...。

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― 新着の感想 ―
[良い点] よく出来ています。 かなり練られた、なろうでは見かけないホラーでよかったです。 [気になる点] しかしながら、後書きは野暮ったく感じました。 親切心からなのでしょうけど、ヒントくらいでよか…
[良い点]  色々工夫されているのが素晴らしい。 [気になる点]  後書きじゃ無くて、本編側で入れ替わりをもっと表現して欲しいなと思いました。   [一言]  後書きを読むとセリフに違和感がないですね…
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