チートって自動制御だからチートっていうんじゃなかったの?
ネーム:白鶯明 種族:人間 職業:ハッカー LV:999
HP:8000 MP:7500 SP:2000
PW:12500 DEⅩ:3500 ⅤIT:9800 AGI:6500 INT:0
MND:2000
固有スキル:ハッキング・博識者
エクストラスキル:無し
スキル:多言語理解 (一時的スキル:思考混乱無効)
武器:無し
装備品:無し
うわ、えげつないな。
レベルが上がると基本ステータスも上がるっていうのはゲームでよくあるけど、ここまで行くとやばい。
だが、INTが全く上がってないのはなぜ?
《INTは賢さを表します。魔法の知識があればあるほど上がりますが、今のマスターにはありませんので、上がることはありません。》
つまり、完全に努力しないとこれは上がらないのか。
これはいくらMPが高くても意味がないってことね。
レベルも上限になったことだし、ちょっとステータスによる変化がどんなんか試さないとな。
AGIは素早さだと思うが、6500ってなってるけど、それがどれくらいかがわからない。
移動速度とか跳躍力とかが上がってるんだろうけど、実感があんまりない。
でも、移動速度が上がっているなら、どのくらいかわかってないのにこんな森林でやみくもに動くのは危険な気がする。
となると、垂直飛びかな。
上なら特に何もないだろう。飛行機とか飛んでないわけだし。
一応保険は欲しいな。試しにもなるし。
「新規項目を作成、スキルに浮遊と空中移動を追加」
《了。マスターに『浮遊』効果と、『空中移動』効果を付与。スキルとして反映》
そう脳内で流れると、スキルの欄に新しいスキルが追加された。
そして、体が少し地面から離れて浮く。
「おお~」
とつぶやきつつ、オフにする。
これを常時発動はさすがに不便だ。
というか、こんな風に一回一回エフェクトが付くとなると、スキル一個が貴重な世界なのかな?
《スキルは努力をすれば会得できますが、エクストラスキルは偉業を成し遂げた者のみが得ることができます。固有スキルはその名の通り、この世界に二つとないスキルであり、その者しか使えないスキルです。》
となると、俺のスキルはかなりえげつないってことか。
増やしたいだけスキルが増やせるなら、最強もいいところじゃないだろうか。
《いくつか規制はあります。例としては、相性が対の関係にあるスキル同士は持てません。このように、この世の断りに反してスキルを持つことはできません。》
そういうことね。まあ、便利で強いことに変わりはないな。
よし。そろそろ実際に試すか。
俺の想像では浮遊はただ浮くだけで、空中移動はその状態で移動できるイメージだ。
さあ、実践の時!
軽くかがみこんで勢いをため、それを一気に地面に向かって突き出す。
やっていることはただの垂直飛びだ。そして、脳内のイメージも軽く動いただけ。
だが次の瞬間、あまりの風圧に目を開けられなくなり、次に目を開けると、そこは地上から遠く離れた空の上だった。
雲が少し下に見えるぐらいに高い。
というか、体全体がはちきれそうだし、喉が苦しい。
空気圧が足りないし、まずこれ酸素大丈夫なの?
《生命の危機を感知。新規項目『魔力原子変換』と『圧力耐性』を付与。》
ナイス博識者さん!
脳内でそう思っていると、さっきまでの体の痛みや喉の苦しみが消える。
そしてそんなことを考えていると、上がってきた上への推進力で今まで何とか浮いていたが、そんな推進力も永遠には続かない。
「あ。」
そうつぶやいた時には、落下していた。
「浮遊をオン!」
《スキル:浮遊をオンラインにします》
と脳内で流れ、さっきまでの下への推進力が徐々に失われ、少しすると完全に空中にとまった。
しかし、恐ろしく高いな。
《高度約七千二百六十二メートルです》
そんな細かいこともわかるのか。
しかし、上から見てわかったこともある。
森林は結構広いが、俺が出てきたところはかなり端っこだった。
森林の外はしばらく荒野が広がっており、その先の遠くのほうに高い塀で囲まれた街が見える。
結構距離が離れているが、歩けば一日ぐらいでつきそうだ。
まあ、街に入るのはもう少し後かな。
さっきのでかなり大きな問題が発覚したからな。
で、博識者さん?なんでこんな吹っ飛んだんでしょうか?
《答えは、脳内の『イメージ』と、実際のステータスが合っていなかったがために、脳内での『軽く飛んだ』が、筋力や俊敏効果によって感覚が崩れ、ここまでの意識の違いが起こったと思われます。》
なるほどね。
じゃあ、俺がこの999のステータス値を扱えるようになるには、体の動きを脳内のイメージと連動させる必要があるのか。
ちなみにこれは博識者の力では解決しないの?
《固有スキル:博識者の能力で制御することは可能ですが、完全に体の主導権をスキルにゆだねるため、それにかかる処理を博識者で処理します。その状態では博識者は固有スキル:ハッキングを処理するのに専念する際、博識者は自らを処理できないため、それを処理するのにマスターの脳を溶媒として使うことになります。そうなった場合、処理のためにかかる痛みによってマスターは気絶してしまう可能性が高いです。》
じゃあ、レベル上限は使えないな。
ゆっくりと降下しながら地面へと向かう。
今現在俺が扱える最高レベルはどのくらいなんだろうか?
《マスターが扱える上限はLV:25だと思われます。》
結構低いな。
まあ、仕方ないといえばそうか。
戦闘なんか未経験の日本男子には厳しいだろう。
そんなことを考えているうちに、地面が近づいてきた。
しかし、そこには小さい人影があった。