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自己紹介の後は自由時間というのか、アミちゃんとミナさんとミハル君と雑談をした。
身の上話にまつわるあれこれーって感じで。
リタさんは鍛錬しに行った。こういう所が真面目というか、そういう日頃の行いによって村人の信頼を得たんじゃないかと思う。
皆の話によると、ここに十日くらい滞在してるんだって。アミちゃんの国の巫女さんの予言を信じて。
山神様にお目通りするとかなんとか、そういった類いのことらしいから、恐らくラス君、つまり私と出会うための予言だったんだろうってことらしい。
この世界の神様はなかなかのアジなことをしてくださる。よっぽどこいつらの間に介入したくて仕方なかったんだろう。どんだけの手ぐすね引いて待ってんのよ。
という事で目的は果たしたから明日準備が整い次第、拠点に帰るらしい。
普段こいつら何してんだって思ったら、予言に出た依頼をこなしたり、魔物退治したり、おつかいしたりと雑用をこなしているんだと。魔王もいないし、冒険っつったら秘境探索が主だそうだ。新発見一つで億万長者も夢じゃないってさ。関係ないけども。
駄弁ってたら夕飯の時間になったとかで、アミちゃんとミナさんを部屋から追い出す現代っ子。
そいじゃ私達も行きますか、と思ったら、ミハル君が部屋に鍵をかけ音もなく近付いてきた。そういう所でスキルを使うのは良くないと思います。
「さて……ラス君。ちょっと男同士の大事な話だ」
うるせぇ私は女だよ。
「ラス君のステータスがパイ測定スライムってなってたんだが……触っただけでパイ値がわかるって本当か……?」
初めて聞いた。なにその値。
それおおよそサンテンイチヨンとかいう数字じゃなくて? 円周率ならお前も知ってるだろ。わざわざ聞いてくるんじゃない。
「それにラス君は転生者じゃないのか? スライムってことにすれば触り放題見放題なのか?!」
落ち着け青少年。
私はエロ目的で少女の弾ける麗しき裸体を見つめているんじゃない。単なるフェチだ!
エロスとは生の神秘だよ、それを余すところなく表現しているのがうら若き乙女であると思っているだけだ。ちょっとよだれくらいは出るけど。
「うん? ステータスが……ノータッチスライム。あくまで女性に対しては紳士的であろうとするスライム。触れる状態でも触らない」
このステータス表示させてるの誰だよ。
さっきからニアミスかましてるんだけど。
「まさか……ラス君、師匠とは……」
誰ですか師匠って。知らんよ。
それに第一、中身は女性なんだってば! お前と同じ目線で物事を見ていると思うなよ!
そっちは抜きたいかもしれんがこっちは別目的だわ。どういう目的かは聞かないでほしい。言い逃れができなくなる。
「ミハル様? どうなさったんですの、夕飯ですわよ」
「あ、ああごめん! すぐ行く!」
扉がノックされ、イェルミナさんの声が聞こえた。
慌てて私を鷲掴み廊下へと駆けていく青少年。っつーかこういう話はもっと落ち着いた時間が取れるときにすべきじゃないのか。どんだけ性急に事を運ぼうとしているか。つまり童貞ということか……。
全く関係ないけど、昔女友達に童貞を捨てる方法を教えてほしいとメールで聞かれたことがある。答えられなくて謝罪のため派手派手なデコメを送ったらそれ以来音信不通になった。アイツは今も生きて変態しているんだろうか。
そんな思い出に浸っていたら、食堂まで運ばれていたらしい。
机の上、並んだ木皿の前に置かれた。目の前の食器からは湯気が立ち上る野菜のスープがなみなみと注がれている。深めの皿だから、食事付きの宿にしては良心的と言って良い。
それと中央に固パンが盛られた大皿が一つ。数として一人二つとは贅沢なもんである。
「今日はヌゥルが狩れたからねぇ、スープと、ほら、肉の塊だよ!」
「おおっ!」
「これは良い!」
歓声を上げる男の子とリタさん。
アミちゃんも目を輝かせてよだれを垂らしているし、ミナさんは少ししかめ面をしているけれど嫌いだって事はなさそうだ。
しかしてこれ、中までちゃんと火は通っているんだろうか。臭みはなさそうなので血抜きはちゃんとできていそうだし、新鮮さは問題ないだろうけど。肉を美味くする調理の心得は温度管理、ブロック肉を焼いたらアルミホイルで包んで全体に熱を浸透させるのはよくやる技法だ。
こっちだったら魔法でできるのか? 焼けてないと雑菌や寄生虫も怖いんですけども。
「ほら、ラスちゃんもどうぞ」
などと、肉の塊をくれるおかみさん。
ありがとうございます。
「ほんじゃ、いただきます!」
「今日の恵みに感謝を」
「わぁーい、イタダキマスー」
「いただきます」
みんな挨拶をしているので、数回ばよばよと跳ねてから肉にかぶりついた。
うん、うん……じんわりと広がる肉汁、噛むというか飲むというか溶かすというか、そうするほどに広がる肉の旨味。どこまで行ってもこれぞ肉! 柔らかく、かつ噛み応えもあり、それでいて咀嚼するに苦しくない。かみ切ろうと思えばすぐに切断できる良い肉だ。外側がちょっとパサパサしてたけど、中身は随分と肉々していておおよそ満足だ。
どこだろ、ロース? サーロイン? というかそんなにいろんな部位食べ比べたことないからわかんないや。イチボのユッケとか食べてみたい。牛肉の刺身ってなんなんだろう。
はっ、というか、材料があるならできるんじゃないのか!?
次に野菜スープを取り込んだが、塩が足りないことと煮込まれすぎて野菜がくたくたになっていることが気になった。こんなんじゃビタミン類もダダ漏れだ。あと旨味も足りない。
パンは見た目通りに固くて噛み切るのが難しい。カルビやモモ肉の方がまだ柔らかいな。
量としては文句ないし、リタさんやミハル君の食べっぷりからするにこの世界基準ではだいぶ美味しい部類なんだろう。だが足りん。
一宿一飯の恩義もあるし、残飯もとい試食の任務もある。ここは一肌脱ぎますか。ミハルさん、通訳頼んだぜ。
「ん? どうしたラス……と、ステータスがまた……えっと、料理スライム? 料理に目覚めたスライム。火耐性を極値にしてまで恩義に報いようとしている。……どういうこと?」
通訳うぅぅ!
ちゃんと伝えて! この思い!
「料理スライム? なんだい、手伝ってくれるのかい? 新作もできてるんだけどねぇ、誰も食べちゃくれないんだよ」
それって不味いって事なのでは。
食材からできているなら死ぬこたぁないと思うが、あんまりひどいもんは取り込みたくないぞ。生死の危険というか、衛生観念的な意味で。
「ラスちゃん料理するのー? それより先にアミとお風呂入ろーよ!」
………。
ほほう、こちらの宿には風呂などという近代的なものが設置されているのか。
これは是非とも堪能しないとね! 何かってヌゥルの群れにもみくちゃにされて結構埃っぽいし!
「ん……入浴意欲スライム、っおまブホッ!」
余計なことは言わない方身のためだよミハル君。
顔面に体当たりをかまして言葉を遮る。反動でのけ反り、背後の壁に頭をぶつける青少年。痛みに悶えている彼を横目に、アミちゃんの腕の中へと飛び乗った。
「わー、ラスちゃんこっちきたぁ! じゃあいってくるねぇー」
「ちょっと、ま……」
「ミハル様! 鼻血が出ていますわ、なんてお労しい! 私がすすって差し上げますわぁ!!」
「え、ぎゃあああ! やめろイェルミナああぁぁぁ!!」
あのお嬢さんは吸血鬼か何かか?
なんにせよ、行く手を阻んでくれて助かった。
「えっへへー、ラスちゃんとおっふろぉー!」
すごく楽しそうなアミちゃん。
私も楽しみです。やましい意味じゃなくて、ただ純粋に。
本当です!
パイ語りしたら思いっきり数字が伸びました。
が、これ以上語ることはありません。これ以降はパイの話は出ません。
ご期待している方々がいらっしゃったら申し訳ないですが、出ませんからね!
二ページ前のフェチ語りにて言いたいことの半分は終わったので後半分出したらこの章も終わります。
下半身と上半身ではないのであしからず。
あと、いまさらですがお読みくださりありがとうございます。




