6.黒の痕跡
静かになった、そう暗闇の中で思った。
あの、いやないやな声が聞こえなくなった。
耳から手をゆっくりずらし、はずす。
耳の中がまだキーンとして痛みを感じた。
強く咳き込む音が聞こえ、あっと思い、毛布を床に落とす。
急な、光になれず最初はぼやけて見えた、けれど目が慣れると息をのんだ。
寝室はあたり一面、血が飛び散っていて、何かが窓から逃げたような血の跡があり勢いよく逃げたのか窓ガラスが割れていた。
まるでひどい殺人があったようだった。
すると、ぬっと人影が出てきた。
彼が、起き上がったのである。
彼の格好はひどかった、目をそらしてしまうほど。
ざんばらの黒髪に血がこびりついていて、口元には血を吐いていたんだろう。
背中は言わないでおこう。
彼は、ベットの下になっていた白シャツと黒コートを一気に取り出し、雑に着込んでどこかに行こうとしていた。
でも、流しすぎたのかすぐ膝をつき倒れた。
ハルは、どうしょうもできなかった。
何をしたらいいのかわからない。
「そんな状態で狩りにいけると思う?ディド。」
ハルがえっと言う前に、彼のそばに青年がいた。
ぼさぼさの薄茶の髪で、肌は白く、瞳は金色。
何回も着込んでよれよれになったシャツに緑のベストと緑のチェックのズボンに泥だらけのグーツ履いていた。
「だまれ」
苦痛で、顔を歪めさせながら彼はそう言った。
「あいつ不完全で出たから当分は動けないよ!」青年は言うが。
「お前には、ぐっ関係ない」
「ああもう!!関係あるまくりだからここにいるんだっつの!血反吐まで出して!時には俺の身になってよ!」強く彼に言うと「あっ落ちやがった!おまっお前!重いんだよ!まったく!世話かけるなあもう!」
彼の腕を抱えた。
「それはそうと、ねーちゃん手伝ってよ!苦しんでいるやつ放置するの?あんた本当に人間?」
じろりとハルをにらんだ。
「わっわたしは、わたしは…。」
ふと、毛布を見た、真っ黒い血がたくさんこびりついていて、でも、これがなかったら私は。
「てっ手伝う!」
足に力を入れるふらふらだけど、ゆっくり彼らに近づく。
そして、はっきり口にした。
「私何をしたらいい?」
「……じゃあさ俺さディドを風呂につっこんでくるからさ、ベットのシーツ替えとして!ああー外に干しているからそれ使って!あと、暖炉!焚いといて!」
「わかった!」
急いで寝室を出た。
数分後…。
言われた通りに、新しいシーツに取り替え、暖炉も焚いた。
屋敷内は真っ暗だったし焦って結構時間かかってしまった。
ついでにちょっとカビ臭いけど毛布を見つけたのでそれも持ってきた。
裂けたままのを使わせるをどうかと思ったし。
少年は、よくあったなといい、彼に掛けた。
「とりあえず落ち着いたな、寝とけば大丈夫だろ。」
寝室のベットで眠る彼。
「本当に大丈夫なの?だって!いっぱい血が!」
ハルは、起きた出来事を鮮明に覚えている、だからこそ安心出来ないし、青年が医術的なことをするのかと思っていたのである。それに肝心の医者をまだ呼んでないこと。
私、何やっているのだろう。
ハルの心の中で冷たいものが流れた。
あの人死んじゃうかもしれない。
青年が何か言っていたようだけど、わかんない。
視界がだんだん暗く。
あ
また、真っ暗だ。