25.最後の警告
ハルたちは階段を上っていた。
一段一段と上る。
途中、踏み外してしまった。転げ落ちる事はなかったが腕や足を強く打ってちょっともん絶した。
痛みをこらえながら再び階段を上る。
階段は鐘がある方へとつながっていた、近づくにつれさっきまでの景色はがらりと変わる。
壁中に木の幹のように黒いものが張り巡らされていた。
黒いものは心音のように音がなり、不気味な音を響きかせていた。
ハルは気になって黒いものを靴底で潰してみた。
赤黒い液体が出てきた。
これは、血?
今まで血のにおいを散々浴びるほど嗅いで来た、時計塔に入った時からずっと臭っていたし慣れたつもりだった…だけど長時間血生臭かったせいなのか分らないけど、気持ち悪い。
黒いドロドロよりは最も血生臭いと感じた。
張り巡らされた黒いものは血管だった。
ハルはあまりにも気持ち悪さに口を抑えた。
ぐるぐるするやばい!
そんなハルの様子にテルは気づいたようだった。
「ハル!気持ち悪いのか!ここは奴の浸食に近いから!わああごめん!どうしょうもできない!」
テルよ…解決策はあるのよ、ただし、女の子的にちょっとマズいことだけど…ごめんね!
ハルは隅の方へ行って座り込んで下を向いた。
テルはハルの背中を猫の手で撫でてくれた。
テルはあることに気づいた。
「お前、熱あるんじゃね?」
「はい?この状況で?」
テルはすりすりとハルの手首や首などをさすったり肉球でぷにぷにとしたりして熱を測っているようだった。
ハルは笑ってしまった、こそばゆいのと猫が熱を測るなんて。
「何笑っているんだよ!あるぞ!絶対ある!」
そう言って、ハルのおでこをピタと肉球で触った。
「ぶふっ!あはははは!!!」
やばい!やばすぎる!かわいい!すごくかわいい!
「なんだよ!笑うなって!」
テルはぷくうっと猫のまま、ほほを膨らませた。
だめだ!かわいすぎる!
ハルはまた笑い出した、さっきまでの気持ち悪さはどこかにいってしまった。
少し落ち着くとハルは立ち上がる。
「大丈夫だよ!テル!」
行こう!ハルは再び階段を上り始めた。
テルはその時ハルがまぶしく見えた。
ハルにとって最後の立ち止りだった。もしくは、最後の警告だったと思う。




