悪い目覚め方 その3
テルとケンカしてしまった、あれから、テルと会っていない。
あの人も、いなくなっていた。
屋敷から出られないことをあの人に言おうと…頑張って!頑張って!勇気をありったけ出して部屋に行ったんだけど、いなかった。
あの時の脱力感は半端なかった。
ので、どうしょうもないので屋敷いるしかない。
出ていけ宣言されてから、2日は経つ。
ここ1か月、テルと一緒に食事をしているせいか、ついついテルの分まで作ってしまう。
もしかしたら、テルが帰ってくるかもと思ってしまうからだ。
こんな時に金具の音が響いてきた。
玄関からだった。
魔族の一人と一匹がいない時に!
また、魔物が現れたら今度こそハルは食べられる。
正直、ハルは限界だった。
床に座り込んでしまう、そしてまた泣き出してしまう。
テルがいないとダメだな……。
それにしてもずっと鳴りっぱなしだ。
…はいはい、居ませんよ……居ませんってば!
それでも鳴り響く。
………ああもう!!
「お留守だって言っているでしょう!」
勢いよく開けたのはいいんだが、用があっても今、会いたくない人と変わらず無表情の人が立っていた。
ハルは再び勢いよく扉を閉めた。
が。
「どうして閉めるんだい?」
シリウスは、見事に足を挟んで閉めるのを阻止したのである。
ハルは思いっきり舌打ちをする。
「ちっ」
シリウスたちはハルが嫌そうな顔を知ってるのか知らずか、ずかずかと屋敷の中に入ってきた。
「1か月でずいぶんと様変わりしたね、まるでボロ屋だ。」
以前と変わらず銀色の髪をなびかせて、白の紳士服を着こなしている。
イケメン面にはキラキラと星が飛ぶ。
ハルは、なんて鬱陶しいと手で払った。
「ちょっと、魔物を招いてしまって……。」
ハルは顔を背けながらぽっかり空いた床を見つめた。
魔物である名無しは散々ハルたちを追い回したあげく、屋敷内をここぞとばかりに破壊尽くした。
走り回った廊下は壁と床が穴だらけである。
シリウスはだろうねと言い、胸元からあるものを出した。
そして、それをハルに手渡した。
「怖い思いさせてしまってごめんね。」
とてもすべすべしたハンカチだった。
今のハルはとてもひどい顔だった。
泣いてばかりか目をはらして、鼻水もすすり過ぎて鼻が痛かった。
シリウスのささやかな気遣いがちょっと悔しかった。
「ほんとですよ!エセ紳士!」
「うわ、君って根を持つタイプなのね。」
「それを雇ったのはあなたです。」
「それを言われると困るな、でも君が元気そうで良かった。」
シリウスはふと笑う。
それを見たハルは少しだけほころんだ。
そんな彼らを放置していたリリスは。
屋敷内で焚火をしょうとしていた。
「ちょっリリス!!何してんの!!」
「見ればわかります、今からこのお芋さんを焼こうと思って、、」
「やーーめーーてーー!!」
すかさずハルが止める。
リリスは屋敷内の割れた板を使って芋を焼こうとしたのである。
もちろん、無表情なのだが逆に怖かった。
「寒いのはわかるけど、焚火だけはやめてええええ!!!」
季節は冬真っ只中。




