表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
あああ悪魔様  作者: 落田プリン
 第1章 はじめまして悪魔様
12/30

11.名無し

 終わった。

彼のベットの上でテルを抱き寄せてそう思った。

今度こそほんとに。

そう思った時。


 「ぎゃあぎゃあうるさい」

ハルが彼の声を聞いたのは初めてかもしれない。

こんな男の人の声で。

声だけで、空気が変わるなんて。


「ディドーーーー!!」

テルが歓喜した。

ハルの手元からすぐに彼のそばに来て言った。

「お前!どこにいたんだあ!俺もうダメかと!」

テルが涙ぐんでしまう。

猫の手で自分の目をごしごししながら。

彼はお風呂にでも入ってきたのだろうか。

ざんばらの黒髪が濡れていて、黒シャツが濡れ髪のせいで少し濡れていた。

タオルを肩にかけ、涙ぐんでいたテルを撫でていた。

彼の手は大きくきれいで、ごつごつしてなくて、テルを撫でる手つきは優しい。

テルは嬉しそうにゴロゴロと鳴いていた。

私が撫でてもゴロゴロまで鳴かなかったのに。


 そんなつかの間、ディドの登場で忘れていた存在がいた。

男がディドに向かって手を伸ばす。

ハルはとっさに叫んだ。

「あぶない!」

ディドは、その手を片手で振り払った。

振り払っただけで男は後ろの方に飛んでしまった。

「なんだこいつは」

ディドが聞くと。

「名無しだよ!ねーちゃんが招いたんだ!」

すると、ディドはハルを見た。

ハルはひぃと息を止めた。

私はこの人にとってはよそ者だった。

飛んで行った男と私は一緒かもしれない。

ハルは死の予感をした、そして、テルの言い方に恨んだ。

ハルは顔をそらした。


 突然、男の叫びが聞こえた。

「ハクシャク!ハクシャク!ハクシャク!ハハクシャククク!!ダダダダダアアアアアアアアアア!!」

とっさに、ハルは耳を塞ぐ。

男は人間の口を開いた、大きく、大きく、口を割いて。

「ミツケタ、ミツケタミツケタミツケタミツケタミツケタミツケタタタタタタタタタタタアアア!!」

男は大きく体をくねらせねじった。

ゴムみたいにねじって。

「なんだお前、俺を食いに来たか」

ディドは少しおかしそうに男に言った。

「俺を食ってもまずいだけだ。」

「おっおいディド!何考えてー!?」

ディドの言葉にテルは戸惑う。

「食わせてやるよ、好きに食え」

「なっ」

「食えたらの話だがな。」

すかさず男は、大きく口を広げ変形させる、カエルみたいに口を開きディドを一飲みした。

「うそっ」

ハルもテルも唖然とした。

一飲みしたあと、消化のためかグネグネ揺らしていたが動きが止まった。

「えっなんなの?」

ハルはただただ見ることしかできない。

男は動きが止まったままだが、突然、青い光が出てきた。

青い光はメラメラと動き、まるで炎ようだった。

燃えている。

燃えた灰が飛ぶ。

青い炎が男を包み込んだ。

炎の中から黒いシャツの男が出てきた。

ディドは座ったまま、先ほどと変わらずの格好だった。


 


 男は名無しは燃え尽きた。

青い炎とともに。

残ったのは灰だけだった。

灰だけでも存在したことになるのだろうか。

それをわかるのは、名無しかもしれないし、この場に居る私たちかもしれない。


 ハルは、声が出なかった。

今度は、私の番。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ