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掌編小説集7 (301話~350話)

専用

作者: 蹴沢缶九郎

電車の四人掛けボックス席に、父と母、子供が二人の四人家族が座っている。まだ幼い子供達は流れる車窓の景色を楽しそうに眺め、両親はそんな子供達を微笑ましく見つめていた。

そこへ、杖をついた一人の老人が現れ家族に声を掛けた。


「どうもこんにちは。家族でどこかへお出かけですかな?」


しかし父は怪訝な様子で答えた。


「…ええ、まあ」


「それは良いですね」


「……」


「あ、お母さん!! 見て見て、スーパータワーだよ!!」


子供達は遠く、ビルの合間に高くそびえるタワーを見つけ、無邪気に母に報告した。

老人は子供達を余所に、両親に申し出た。


「私は歳で、この通り足が悪く、電車内で立っているのがやっとです。どうか、席を譲って貰えませんか?」


断るわけにもいかない父は仕方なく、


「…わかりました、私の席に座ってください。ただし、次の駅に着いたら降りてくださいね。この電車は我々家族の専用なのですから」


と、自動で目的駅まで進む、家族専用四人乗り電車に間違えて乗り込んでしまった老人に言った。

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― 新着の感想 ―
[一言] 楽しい家族旅行に水を差されて怪訝な表情をするのもわかるけど、このお父さん、少し心が狭くないですか? ・・・と思ったら、そういう理由だったのですね! 納得です(^^;) これがおとぎ話だった…
2016/11/14 12:52 退会済み
管理
[一言] 家族の人数といって、4人もしくは3人というのが普通になりましたね。祖父母は家族の枠内に入らなくなりました。婆も爺も孤独だ。
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