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ようこそ!終焉世界の歩き方!  作者: アサリキライ
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第4話

間が空いて申し訳ないです。

ヒロイン登場です。

「それで、お前は誰なんだ?」


講堂を後にして、どこから外に出るか雨竜に話を振ろうとした衣弦が、自分達に付いてきた見慣れない女子生徒を一瞥し、彼女に問いかけた。

背は衣弦の肩よりちょっと低く、髪は肩にかかるぐらいのセミロングだ。すらりとした肢体に反して胸は大きく膨らんでいる。目は少し眠たそうにトロンとしているが、それがなんとも言えない色気を感じさせている。容姿だけならスクールカーストにおいて上位にいることは間違いない。

そんな女子生徒が何故あの場(講堂)ではなく、自分達と一緒に居るのだろう。衣弦は少し考えたが、すぐに「あぁ、そうか」と納得した。付いて来たのは自分にではなく、雨竜の方にということを。

先にも述べたが、雨竜はそこらになかなか居ないほどのイケメンで、学校内にファンクラブがあるぐらい人気なのだ。いくらあの場が騒然とした雰囲気だったとしても、熱狂的ファンであるこの女子生徒は大好きな雨竜が出ていくのを目敏く見つけて、付いて来たのだろう。

そう結論付けて、改めて衣弦はその女子生徒を見た。彼女は衣弦と目が合うと焦ったように顔を伏せ、ぎゅっとスカートを握っている。


「あ、あの・・・わ、私・・・」


言いよどみながら何とか言葉を紡ごうとしているが焦りのためか、なかなか言葉が出ない。すると、雨竜が助け舟のつもりなのか横から彼女に言葉を投げかけた。


「同じクラスの上野(うえの)さんだよね?」


すると上野と呼ばれた女子生徒は顔を上げ安心したかのように微笑んだ。


「うん。えと、私、上野(うえの)恵理奈(えりな)っていうの。いづ、阿形君、勝手に付いてきてごめんなさいっ。」


そう自己紹介をしながら恵理奈はぶんっと音がしそうなぐらい勢いよく頭を下げた。ついでに胸についている二つの山も勢いよく揺れた。眠たそうな目の割に素早い動きである。っていうか今こいつ下の名前で呼ばなかったか?と衣弦は訝しげに思いながらも彼女に言葉をかけた。


「別に謝らなくてもいいんだが・・・。俺の名前は・・・」


「阿形衣弦君・・・だよね?」


衣弦の言葉に恵理奈が食い気味に被せてきた。


「・・・あ、あぁ。何で俺の名前知ってるんだ?同じクラスらしいが話したことないよな?」


「何でって・・・クラスメイトなんだから当然だよ!」


「仲良くもないクラスメイトの名前なんてよく覚えられるな・・・」


「そ、それは・・・これから仲良く(ぼそぼそ)」


顔を赤らめながらぼそぼそ呟く恵理奈はとても可愛いらしいのだが、そんなことを気にもせず衣弦は続けた。


「まぁ、謝らなくてもいいと言ったが、俺達に付いてこなくても良かったんじゃないか?いくら(雨竜の)ファンだからって、友達とかもあそこに居ただろう?」


「私友達居ないし・・・って、どうして私が(衣弦の)ファンって分かったの!?」


恵理奈が可哀想な事実を暴露してしまった気がするがスルーでいいだろう。


「そりゃ、ファンクラブもあるって噂だしな?」


「おいおい・・・。阿形、俺にその話を振らないでくれ。」


雨竜がげっそりしたように言った。本人もファンクラブについては嬉しさよりも気恥しさの方が大きいようだ。困ったように頬を指でかく雨竜を衣弦はニヤニヤと見つめる。ニヤニヤ笑う衣弦に気付いた雨竜は途端に嬉しそうな顔になり、今度は衣弦がげっそりとしていた。そんな2人の様子も目に入っていないのか恵理奈はブツブツと下を向いて何か呟いている。


「うそ・・・。まさか衣弦君のファンクラブがあったっていうの!?24時間、おはようからおやすみまで衣弦君のことを見守(かんし)っている私がその事実に気付けないなんて・・・。設立者は誰なの?・・・はっ、まさか先週衣弦君に落とした消しゴムを拾ってもらった花見さん!?確か渡す時に手が当たってちょっと顔を赤くしていたし、ありえるわね、あの泥棒猫・・・。だめよ、衣弦君は私のものなの。絶対に渡さない、絶対絶対絶対絶対絶対ゼッタイゼッタイゼッタイ・・・」


「おい、大丈夫か?」


変なオーラを漂わせながら、ブツブツと何事か呟いている恵理奈に衣弦が声をかけた。正直、あまり話しかけたくなかったが状況も状況なので、やむを得なかった。


「うん?いづ、阿形君どうしたの?」


「いや、上野が下を向いて何かブツブツ言ってたから・・・」


「心配してくれてありがとう。大丈夫!ちょっと考え事してただけ。(はなみ)をどう処理しようかってね・・・」


「おいおい、こんな時にゴミの心配か。」


「うん!私にとっては大事なことだからね。それより私のことは恵理奈って呼んで欲しいな?これから(一生)一緒にいるのに苗字だったら(結婚してから)困るでしょ?」


「お、おう。」


どことなく含みがある言い方にちょっと引きながら衣弦は同意した。


「あ、あと・・・」


恵理奈はまだ何かあるのか、上目遣いでもじもじしながら衣弦を見つめた。


「阿形君のこと、衣弦君って呼んでいい・・・?」


そのあまりに儚げで可愛らしい恵理奈の姿に一瞬言葉を詰まらせた衣弦だったが、すぐいつもの調子を取り戻して応える。


「・・・っ、あぁ。好きに呼べばいい。」


「ありがとう!(よし、これであとは既成事実をつくれば衣弦君は私のもの・・・)」


「あの〜、俺のこと忘れてない?放置プレイは耐えられないんだけど・・・」


「あっ、岩田君も宜しくね。」


「俺の扱い酷くね!?」


というわけで二人と一人はめでたく三人になったのだった。

超清純派ヒロインです。

ここまで読んでいただきありがとうございました。

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