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ゴリラの襲撃

「きゃああああ! きょーや助けてええええ!」

「いや、んなこと言われたってどうすれば……」

「早くしてうわあああああああああああ!!!」

 アークの叫び声と同時に、俺はゴリラの元へと走り出した。

 もうコイツには「もどき」すら付けない。だってトゲトゲしてるってこと以外は完全にゴリラだもん。

「なあ、コイツトゲってるから剣が通らないんだけど!」

「うわああああああ!! 『妖弓滅龍斬』!!」

「ちょ、お前も落ち着け!」

 迫ってくる矢をかわしながら、俺はコハクに訴えた。

 なんでそこで目を瞑るんだよ。絶対当たんねえじゃん。

 俺は腹部の攻撃を諦めると、狙いを変えてみることにした。

 尻尾。そう、さっき俺が掴んでしまった細長い尻尾。アレを狙えばいいかもしれん。

「ライア! 剣で尻尾を攻撃するぞ!」

「いやあああああああああああ!! 無理ですよ、相性が悪すぎます! 私の剣は炎王ブレイドの剣で、あのクソゴリラは水の王で……」

「いいから早くしろおおおおおおおおおお!!」

 俺が強引に叫ぶと、ライアは仕方なさそうに鞘の剣に手を伸ばした。

 なんか罠とか仕掛ければいいんだろうか。いや、でももうそんな精根も時間もない。

「うおおおおおお!!」

 多分スパエメちゃんソードは木属性だ。だから水には強いハズ。

 いや、待て。水かな? なんか青い部分があるんだけど。木属性なんだか水属性なんだか分かんなくなってきた。

 最初に見たときは青だと思ったんだけど。でも名前に「エメラルド」って付いてるしなあ……。

「京夜さん! 何ボーっとしてるんですか! 離れてください!」

 そのライアの声で、自分の動きが停止していたことに初めて気づいた。

 ライアの剣は赤く光り、どう考えても危険だという事は俺にも分かる。

「『インフェルノ・ブレイド』!!」

「ちょ、待ておま……ぎゃああああああああああああああああああ!!」

 俺の服にライアの炎が燃え移り、一瞬で俺の体は炎に包まれた。

 熱い熱い死ぬ死ぬヤバいヤバいどうしよう。

「あちゃああああああああああ!! おちょああああああああああああ!!」

「『ウォーター・ヒール』」

 奇妙なダンスを踊り続ける俺に、アークが魔法で水をかけてくれた。

「ありがとなアーク……助かったぜ……」

「もー、気を付けてね? ……あ、来たよ!」

 アークの視線の先には、のっしのっしと近づいてくるゴリラの姿があった。

 さて、俺はめんどくさいことを嫌う男。できれば戦いたくはない。

「アーク、魔法で倒せるー?」

「倒せることには倒せるけど、止まってくれないとムリ」

「マジか……仕方ねえ」

 俺は渋々スパエメちゃんソードを構えると、ゴリラの元へと走り出した。

 うん、この時の俺をカメラで撮影していてほしいよ。そして両親に見せびらかす、「俺こんなカッコよかったんだよ! 知ってた!?」ってな。もちろん一眼レフで。


「うおらあああああああああああ!」 


 京夜の剣が、ゴリラの尻尾へと炸裂した!

 ……尻尾は切れ……た……?

「……京夜、なんかあの尻尾再生してないか?」

「は、ははっ。気のせいだろ」

 俺は震え声でコハクに返した。

 言っておくが、あれは今の俺に放てる渾身の一撃。もうあれ以上の攻撃手段は……。

「グオオオオオオオオオオオオオオ!!」

「いやああああああ!! 再生しちゃったじゃああああああああああああん!!!」

 ああもう、フラグとしか思えないことをコハクが言うから。いや、アレは多分言わなくても再生してただろうけど。


 ……あれ。

 走るのはこれっきりであってほしいって願ったのは、いつだっけ。

 

 



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