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逃走

「はあ……もうヤダ疲れたあ……」

「これで今日の分は終わりですね! お疲れさまでした!」

 アルゼ村へと戻る途中。

 俺は疲れた疲れたと呟きながら、森の中を歩いていた。

 そもそも俺は、あまり木を伐れていない。最初の3本は余裕で伐れたのだが、調子に乗ってる内に大量のモンスターに囲まれちゃったワケで。てへっ☆

 中には最初のウサギみたいな奴じゃなく、ガチでヤバいモンスターが居たりもした。

 当然のごとく、俺は全力疾走を開始したが、そいつらは鬼の形相で俺を追いかけてきた。ホント、油断してるとロクな事ないよね。

 スパエメちゃんソードの威力が幸い功を奏したが、メタルソードなんかのクソ装備で挑んでたらヤバかったのかもしれない。いや、絶対ヤバかった。


「腰が痛い……」

「京夜。痛い痛いと言ったところで痛いのは治まらないぞ?」

「分かってる。それを分かった上で言ってるんだ」

 痛いと言わないと俺の気が休まらない。不思議なことに。

 なんかさあ、こういうところ強化されてないよね。力とか身体能力は今日かされてんだけど、頭痛とか体の問題は強化されない。ひでえ能力だ、ちきしょうめ。

「……今日どうする? 今日はティールの家泊めてもらう?」

「今日疲れたから宿嫌だ……」

 俺と同じく疲労の表情で、アークが宿に泊まるのを拒否してきた。

 最近はティールの家にずっと泊めてもらうのも悪いので、村にある宿に泊っていたりしたのだが……今日はちょっと疲れた。

「そうですね……。時間も時間ですし。私も腰痛いです~」

「嘘つけ。ピンピンしてんじゃねえか」

「あ、バレました?」

 そう言ってライアは、てへっと舌を出した。

 悪いがこの状況でボケを言われても俺の腰の痛みが治まることはない。むしろちょっと悪化したわ。


「なあ、毎日こんなのが続くのお? 正直言って俺は出来る気がしない」

「……流石に4人もいるんですから、そう遠くない時期に完成するんじゃないんですか? 私たちの努力次第だとは思いますけど」

「…………」

 俺は笑顔で沈黙するも、内心絶望していた。

 早くも無理と感じ始めている俺に、一体どのような希望を持てと言うのだ。

 そりゃあ4人もいるから作業ペースは順調に進むかもしれない。しれないが、労働力が半端じゃない気がする。

 コイツらのことだから絶対俺に仕事を押し付けてくるだろうし、このままじゃ俺の体が危険だ。

 よし、中止。ここはやっぱり金を貯めて……。


「きゃああああああああ!! ファイアドラゴンだああ!!」


 ……えっ。

 ファイアドラゴン?

「京夜さん! 逃げて!」

「おわっ!?」

 俺の前に現れた影に、思わず俺は後ずさった。

 しかし後ずさったせいで、ドンと何かにぶつかる。

「……?」

「グギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァ!!」

「ぴゃああああああああああああああああああああああああっつ!?」

 久しぶりの叫びハモリ。そしてすぐさま、俺は逃げ出した。

 その逃げ出すまでの速さは0.1秒。やったね、前よりタイムが向上してるよ。

 俺にぶつかったのは、もちろんファイアドラゴン。ヘビーファイアドラゴンをまるまる巨大化したみたいな見た目だ。


「わああああああああああああああああああああああっ!!!」

 

 人間、自分でも信じられない力を発揮する時があるというな。

 俺は今、まさにその状態だと思うよ。ウサ✕ン・ボルトの何倍も速くなっているんじゃないだろうか。


 ……その後、俺が一番にアルゼ村に着いたという事は言うまでもない。



 



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