表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
87/299

(´・ω・)(家造り作戦)(*´ω`*)

 アルゼ村に来て数日が経った、ある日のこと。

 俺たちはカフェのテーブルに突っ伏しながら、ボーっと窓の外を眺めていた。

 …………。

「……金欲しくない?」

 唐突に、俺はそんな話を持ち掛けていた。

 最近、高難度のクエストすらもあまり依頼されず、金稼ぎができていないのだ。

 前に魔物モンスターを俺が倒した時の報酬金があるとはいえ、流石にそろそろクエストをこなしていかないとマズイ。

「いや、私だってクエスト行きまくってお金稼ぎたいですよ? らくしたいですよ? ……ただ、何で村まで来たっていうのにクエスト依頼がないんんですかああああ!」

「そう! それな! ホントそれ思うわ! 酷いよね!」

 そんな俺たちの様子を見てか、周りに居たハンター達もうんうんと頷いている。

 いや、もうホントとことんツイてない。なんか理由があるのだろうか。

「うむ、そういう事もある。仕方ない仕方ない」

 コハクがそう言ってくるが、コイツが言っても大した説得力がないんだよ。

 あの後コハクに謝られたのだが、自分がどんな醜態をさらしたか分かっているのだろうか。俺に運ばれちゃったんだよ? 元ニートの俺に。

 おかげで俺は、ちょっとした罪悪感を覚えるハメになってしまったんだ。もう二度と酒飲みませんと誓ってほしいね。

 そんな益体のないことを考えながら、俺が怠そうにテーブルに突っ伏していると。


「じゃあ造ればいいんじゃない? 自分たちで」

「「「は?」」」


 アークが予想外の一言を言ってきた。

 造る……だと……!?

 ……。

「おお! いいじゃねーかコハク! 冴えてるぜ!」

「それいいかもしれませんね! 4人いれば何とかなりそうですし!」

「希望が見えてきたじゃないか!」

 俺たちは、ガタッとテーブルから勢いよく立ち上がった。

 アークは俺たちの様子に驚いたのか、目をパチパチとさせている。

 いやあ、まさか一番期待できない人物から名案が出るとは。コイツ、侮れん。

「でも、資材はどうするんですか? 家を造るとなれば、それなりの資材も労力も必要になってくると思いますけど……」

「うーん……。あ、じゃあ前ヘビーファイアドラゴン倒した時に行った森! あそこから資材は運んでくればいいんじゃないか?」

「おお! いいですね! あの森広いですし!」

 ガーブを初めてドッキリに仕掛けた、思い出の森。最後はピピで決まっちゃったけど。

 俺たちが盛り上がっていると、コハクが急に心配そうな表情で俺を見てきた。

 なんだろう、と思い俺がコハクに訊いてみると。

「資材なんか勝手に使っちゃっていいのか? また警察が動くかもしれないぞ?」

「……大丈夫じゃね? 森奥に建てればバレないだろ」

「……まあ、確かに……」

 コハクも納得したのか、ふむふむと頷き始めた。ふっふっふ、バレなきゃ犯罪じゃないのだよ。

 ちょっとセコイ考えかもしれないが、このまま地道に金を稼いでいくよりは楽だろう。

「よし、じゃあ俺たちで家、造るか!」

「「「おー!!!」」」


 しかしこの時の俺たちは、家を造る苦労を知らなかった。

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ