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え……?

「ううっ……やってられないよな……変態呼ばわりされるなんて……」

 コハクがビールジョッキをテーブルに置きながら呟いた。

 ……いや、うん。

 なんでこうなったんだろうね。

「コハクさん、大丈夫ですかね? まだ未成年なのに……」

「いや、そんな事言ったらお前だってそうなるぞ? 15歳、15歳だろお前? どう考えてもダメだろうが」

「え? 何がですか?」

「……」

 街を抜けだしてから、2時間後。

 アルゼ村に着く少し前の小さな街で、俺たちは休憩を入れていたのだが……。

 一つ言おう。


 バアアアアアアアアアアァァァァァァア―――――――――カッ!!


 ああ、なんでまた同じ失敗を繰り返した俺!? 絶対めんどくさいパターンだろ!?

 やっちゃった……終わった……

 幸いライアとアーク2人の飲酒は防げたものの、よりにもよって飲んだ人物が一番ダメなコハク。

 既にこれで3回目ぐらいの飲酒になるのだが、コイツは一番めんどくさいのだ。

 おぶれと言ってくるわ、断ると睡眠弾を発射してくるわ、酔った勢いでオッサンハンターのチームへ入ろうとするわ……

 いいことないよ、ホント。

 しかし俺はコハクが酒を飲む瞬間を目撃していた。

 ここの食堂のドリンクはレストランでよくあるような飲み放題形式になっているのだが、コハクは、どうやらぶどうジュースが飲みたかったらしい。

 だがコハクが嬉しそうにコップに注いでいったのは、ぶどうはぶどうでも、ぶどう風味・・・・・のワイン。

 俺が止めに入っていた時には、コハクはそのワインを一気飲みしてしまっていた。

 もちろん俺は大急ぎでワイン・酒もろもろの禁止令を出したのだが、コハクが本気で弓矢を俺に放とうとしてきたので無理だったのだ。

 その結果、コハクは酔いつぶれたオッサンのごとく酒をむさぼり飲んでいる。

 ああ、やっちゃった……。

「う~京夜あ。私の事どう思う?」

「え? そりゃあ……オッサンかな?」

「うわあああああああ!」

 コハクが大声を上げながら俺に抱き着いてきた。

 しかし、抱き着いてきたと言っても事態はそんなラブコメチックじみたものでなく、的確な位置を狙って攻撃をッ……痛い!

 腹が、腹が潰れる。正直な感想を言っただけなんだけどな。

「やめろ……ってああっ!? 早速周囲の人達から良からぬ誤解を招いちゃってるじゃねえか! 違うんです、これにはワケが……」

「え? 京夜さんって変態ですよね? 違うんですか?」

「はっ!? ちょ、バカ!? バカかお前!? 何のためにここまで来たっていうんだよ!」

「え! そうなの!? 私も変態かと思ってた」

「ちょ、アークてめええええええええっ!」

 ライア&アークvs俺。

 この口論の末、きっと被害者は俺となることだろう。

 俺たちが葛藤し合っていると、ふとコハクが立ち上がって、一言。


「皆の者! 私が結論を言おう。この男は……変態だッ!」

『うおおおおおおおおおおおっ!!!』


 コハクがビールジョッキを持ち上げ、嬉々とした表情で叫ぶ。

 

 俺は食堂に居る人たちから冷たい視線を浴びせられながら、その場にへたりと座り込むのだった。

 

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