勝ったと思いきや……?
「ふう。えっと、大丈夫ですかみなさん」
「ひいっ! 化け物!」
……え?
今、店員さんの誰かが化け物と言った気がするが……まあ気のせいだろう。
「大丈夫ですよ。もうアイツらは居ないので」
「ひいっ! 来るなあ!」
……あれ。
おかしいな。優しく倒れている店員さんに手を差し伸べてあげただけなのに、どうして化け物という単語が聞こえてくるんだろう。
「なあ、化け物って俺のことか?」
「……うん、たぶん。だってきょーや、すっごい怖い顔してたよ」
「…………」
マジか、全然気付かなかった。
店員さんの様子を見る限り、どうやら俺は相当ヤバい表情をしていたっぽい。俺としたことがちょっとしやドジを踏んでしまったようだ。
まあ、ここは取りあえずトークで店員さんを落ち着かせてみよう。
「化け物って、僕のことですかね? やだなあ、僕は天使ですよ。もちろん、さっきみたいな腐れエンジェルとは違いますけど」
「……」
どうやら今度は軽く引かせてしまったっぽい。自分を天使に例えたのが間違いだった。
まあ、それっぽいオーラが出てしまっていたとしても仕方ない。悪魔の俺は、もしかしたらとてつもないオーラを持っているのかもしれん。
……もういいや。この店員さんは放っておこう。
「いやー、京夜さんの迫力と言ったらすごかったですねー! ドSっぽいっていうかなんていうか」
「ああ。ミカエルをあれだけビビらせるとは」
対して、コイツらはあんまり気にしていないっぽい。バカなのか、天然なのか。
俺がそんなことを思っていると、ふとハンター達の方から拍手が聞こえた。
「アンタら、すげえな! そいつはただの変態だと思ってたんだが、変態も変態なりに強いもんだなあ!」
「ああ、助かったぜ! ありがとな、変態チーム!」
「「「「……」」」」
感謝されるのはめちゃくちゃ嬉しいんだが、良からぬ単語を発するのはやめていただきたい。
変態だって? ふざけんな、確かに一見1人の男が女の子に囲まれてるハーレムチームだと思われるかもしれんが、実際はなあ! いろいろ大変なんだぞ!?
……いや、俺が慣れていないだけかもしれないけど。ティールのチームも中々に個性的だったしな。
「きょーや、私たちまで変態呼ばわりされちゃった。どうすればいい?」
「……逃げるか」
俺は一目散に店内から飛び出した。
逃げるのも久しぶりだ。最近走ってなかったから、ちょうどいい。
「待ってください京夜さあん!」
ライアが叫んでいるのが聞こえるが、俺は止まらなかった。
だって絶対逃げないとめんどくさいことになるヤツだもん。変態変態うるせえし。
……あ、風ってこんな気持ちよかったんだ。
ちょっと短いですが、ご了承ください。
1話1話が短い作品ですが、なんやかんやで74話。
このままいけば何話ぐらいいきますかね? 300話超えたりして。(笑)
長く続けられるよう、頑張ります! 引き続きよろしくお願いします!




