久々クエスト……と思いきや
「……なあ。暇なんだが」
「そうですねー」
生返事で返してくるライアに、テーブルの上で俺はため息をついた。
動物園事件が一段落ついてから、クエストの依頼がやけに少ないのである。
残っているクエストといえば高難度のものばかりだし、俺たちのレベルじゃ無理なものが多い。
実際俺たちはレベルが低いってワケじゃないんだが、レベルの割には大して強くない……って感じなのだろう。
……ああ、暇だ!
「なあ、こういう時普通ハンターってどうするんだ? このまま時が過ぎるのを待つのか?」
「そうです。新しいクエスト依頼書が追加されるまで、ただひたすら待ち続けるしかないんです」
「…………」
……貴重な人生だ、このまま何もせずに時を待つのは非常に良くない。
前もこんなことがあった気がする。あの時は確か装備を買いに行ったっけな。
だがもう今回は装備は整っている。さてどうしたものか。
「見て見てきょーや! 猫耳!」
「あー、そうだねー」
「がぶっ」
アークが俺の首筋辺りに噛みついてくるが、実を言うともう全然痛くない。
もう慣れちゃったんだろうな。ちょっとだけ虚しさを感じるよ。
……あ、いえ、違いますよ? それだけ攻撃されちゃってるんだなって意味で、別にもっと痛みを感じたかったとかそういう意味じゃない。いや、ホントにね。
「つーかそれまだ持ってたのかよ。いい加減捨てたらどうだ?」
「ダメ! これは私の宝物!」
そう言ってアークは、大事そうに頭の猫耳を隠した。
……いや、別にいいんだ、いいんだよ?
ただ、なぜ猫耳をそんな大事そうにするんだろう。
しかし、これ以上アークの私情に果敢に飛び込んでも無駄な気がする。うん。もう好きにさせておこう。
「ところで、お前らは何をやってんの?」
俺がライアとコハクを見ると、なにやら2人はボードゲームのような物で遊んでいた。
全く、今はそれどころではないというのに。
「チェスだよ。京夜もやるか?」
コハクがチェスの駒を俺に差し出してきた。
……チェスって異世界にもあるんだ。初めて知ったわ。
悩むのがバカらしくなり、俺もチェスに参加しようとすると。
背後から何やらガラスが割れるような音がして—―――――――
「見つけたぞ、佐々木・京夜」
「うおおっ!?」
俺は椅子から見事に転がり落ちる。
見るとそこにはいつかのヘンテコ天使――――――アマテラスとラファエルと……ミコエルだっけ? が窓ガラスを割り侵入していた。
……ああ、そういえばこんな奴らもいたっけな。
「何か用ですか? 大して強くもなかったドジ天使3人組さん」
「長い。それに先日の戦闘はちょっとしたミスだ」
挑発してみたものの、ラファエル君が丁寧に答える。
うわー、それにしても負け惜しみですかラファエル君。カッコわりー。
「今日こそアナタを天界に送ります。いい加減天界に帰らせないと神様が怒るのです」
「えー、やだ。めんどくさいもん」
俺は正直な返答をした。
俺たちの周囲には、ハンター達が訝しそうにラファエルを見ている。
しかしここは食堂店内だ。こんな場所で戦うワケにもいかない。
あーもう、めんどくさいなあ。
「おや、なんの騒ぎだい? ……う、うわあああ! モンスターだあああああ!」
「ああっ!? 違いますおじさん! 僕たちは天使で……」
「殺っちゃってください、ハンターさん達!」
「ちょ!?」
その店主さんの叫びと同時に、ハンターたちが天使3人へ襲い掛かった―――――――!




