きょーや、牢屋行き
「ちょ、待っ……」
ズルズルと警察署の中へ入れられると、俺は個室の椅子に座らされた。
ヤバいここホントに警察署だ。どうすればいいんだろう。
「貴様は話によると、聖龍ガイアドラゴン様に手を出したとのことだが……実際のところはどうなんだ?」
俺の対面に座っていたのは……おお、なんかすげーお偉いさんっぽい人だな。
黒髪黒ひげの超ゴツイオッサンで、見た感じ警察署の最高責任者っぽい。
まあもちろんのごとく、俺は必死になって反論した。
「いや、ですから! 僕はただ、殺されそうになったので抵抗しただけですって! それの何がいけないんですか!?」
「ほう。貴様は聖龍ガイアドラゴン様に抵抗したと」
「ああそうだよ! それの何がいけないんだよ!? 大体聖獣ガイアドラゴンってなんだよ!?」
「貴様、ガイアドラゴン様も知らないのか?」
「知らねーよ!」
聖龍なのかよアイツ。知らなかったわ。
でも俺は死にそうになったんだ。いくらなんでも逮捕まではいかないハズ。
しかし俺の思いを振り切って、ゴツゴツオッサンが下した判決は―――――――
「終身刑」
「はいい!?」
京夜、ゲームオーバー。
「…………」
牢屋の中にて。
俺は正座の状態のまま、ただただ夜が明けるのを待っていた。
「……」
……いや、ホント、ね。
なんでこうなっちゃったんだろうね。
俺自身まだ何が起こったのかよく分かっていない。なんだってこんな薄汚い牢屋に一人正座しなくちゃならんのだ。
できれば正座はしたくないのだが、これは牢屋でのルールらしい。
……ちなみに正座をやめると、すぐさまルール違反のブザーが鳴る。
「……ん? なんだ……?」
俺が諦めて明鏡止水のごとく心で正座していると、ふと背中の辺りがムズムズしたのが分かった。
なんだろう。痛い痛い。
「ピ―――――!」
「おお! ピピじゃねーか! お前、俺について来てたのか……」
背中から飛び出してきたのは、ペットのピピ。
マジか、全然気付かなかった。コイツ居たのか。
「ごめんな、ピピ……悪いけどここ牢屋なんだ」
「モンダイナシ! モンダイナシ!」
「……そうか……お前優しいな……」
なんかもう会話できるのが当たり前みたいになってきてる。これを世間に公表したら、きっと革命が起きることだろう。
……ううっ、理不尽。理不尽すぎる。
マジで泣けてきたわ。狭い薄暗い牢屋の中、居るのは人間1人と鳥1匹。
ああ……ニート時代が随分懐かしいように思える……
俺が今月やるハズだったアニメ何だったかなーなどの現実逃避を開始した時だった。
「アナタ、京夜……とか言ったっけ? こんな所で捕まってんじゃないよ、まったく」
「うおおおおおッ!?」
突如背後から響いた声に、俺は慌てて振り向いた。
するとまあ――――――――びっくり。そこには忘れることもない、いつかの魔人様が立っているではありませんか。
……ってそうじゃねえ。
「なんでアルゼルトがここにいるの? ……はっ! まさか俺のことが心配で心配で助けに来たんじゃ……」
「助けに来たのは本当だけど、心配はしてないわね。シオンに泣き喚いてお願いされたもんだから、しかたな~く、助けに来てあげたのよ。……それよりあまり大声立てないで。警察官に気付かれるでしょ」
「…………」
仕方なくの辺りを強調するあたりが腹立つが、まあ助けてくれたことに間違いは無いらしいので我慢しておこう。
それにしてもシオン優しいなあ。マジ天使だあの子。
「……『次がアナタたちの最後よ』とか言ってなかったっけ? それと、口調はタメ口なのに、どうして呼ぶ時は『アナタ』なんだよ」
「うるさいわね。それとこれとは別よ。あと、『アナタ』って呼んじゃうのは……まあ部下たちをそう呼んでるから、まあクセよ、クセ」
……部下たちにアナタ呼びするんだ。まあどうでもいいんだけどさ。
俺はアルゼルトが明けてくれた穴から、外の世界へ脱出した―――――――
活動報告で「修正する」とか書いておきながら大して修正していない件については気にしないでいただきたい。(*_*;
引き続きよろしくお願いします!




