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 カフェの外にて。

 俺は店内のロリコン疑惑を追い払いながら、大急ぎで店を出た。

「はあ……んで。どこか行きたい場所とかあるのか?」

 こういうのは自分で決めずに、女の子自身に訊くのが一番だ。

 変に好みじゃない所を選んで「うわー、コイツ空気読めねー」的な男に認識されたら非常に厄介だしな。

 シオンは少し考えた後、一言。


「え? うーん……じゃあ私、動物園行きたいです!」


 ……。

 ……は?

 異世界に動物園なんてあんの? いや、ないだろ。

「なあ、動物園なんてこの辺あるのか? 俺知らないんだけど……」

「あー……一応あることにはありますよ。ただ、場所が隣町になっちゃいますけど」

 マジかよ、あんのかよ。なんでだよ。

 なんかもうよく分かんなくなってきた。前世と異世界がごっちゃになった感じがするんだもん。

 俺は戸惑いを隠しながらも、シオンに笑いかける。

「じゃあ、そこ行こうか。見たい動物とかあるの?」

「はい! 私、ガイアドラゴンが見てみたいです!」

 ……ガイアドラゴン?

 動物園なのになんでドラゴンの名前が出てくるんだよ。ひょっとして今の動物園はドラゴンを出せるようになるまで発展したのか?

 まあ、もうなんでもいいや。

「京夜さん随分と優し気ですね。ロリコンなんでしょうか」

「そんな感じする!」

「知らなかった……まさか京夜にあんな爆弾が潜んでいたとは……」

 俺は耳を塞ぎながら、隣町へと足を向けた。

 聞こえない、聞こえない。


             ■



「ぎゃああああああああああああ!」

 天気のいい動物園にて。

 俺は襲い掛かって来たドラゴン相手に、大絶叫をかましていた。

「きょーや、なんでそんな驚いてるの? 動物園なのに」

「ねえこれ動物!? 違うよね!? ドラゴンだよね!?」

「何言ってるんですか? ここはモンスターが集まる動物園ですよ?」

 ……意味分かんねえよ、もう。

 なんで敵対しているモンスターをわざわざ見に行かなくてはならないのか。

「あ、居た! ガイアドラゴンです!」

 シオンが嬉しそうな声で呟いたのが分かった。

 やれやれ、と思い視線の先を見てみると―――――――――


「グオオオオオオオオオォォォォォォォォォ!!」

「ぴゃあああああああああああああああああ!!」


 そいつはバカでかい雄叫びを上げ、俺へと襲い掛かって来た。

 襲い掛かって来てから俺は0.2秒の速さで逃走を開始する。

「グオオオオオオオオオオオオオォォ!!」

 ガイアドラゴンとやらはオリを突き破り、俺めがけて猛突進してきた。

 マズイ、死ぬ。

 つーかオリもっと頑丈にしろや!? なんでこんな簡単に壊れるようになっちゃってんのォ!?

 ヤバいヤバいホントに死ぬどうしよう。


「何か……何かないかッ……あ」

 俺は一個、とっても使い勝手のいいアイテムを持っていたことを思い出した。

 装備の中に隠し持っていたソレを引き抜くと、すぐさま自分の体にかける。

 そう――――――――ドッキリでお馴染み、透明マ✕トである。

 いやあ、まさかこんな場面で再び役に立つとはなあ! いざという時用に隠し持っておいて良かった。

 予想通り、ガイアドラゴンは追いかけてくるのをやめ、辺りをキョロキョロしている。


 勝った―――――――いや、ちょっと待て。


 ……あれっ。

 これ俺どうすればいいの?

 

 


 

 

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