疲れた。体力-10!
「あら、どうしましたみなさん!? なんだか様子がおかしいですけど……」
「ああ、コイツらはいつもこんな感じなんで気にしないでください」
いや、そんな奴が居てたまるか。もしそうだったらすぐに俺はギブアップする。
宿を探しまくった俺たちだったが、やはりどの宿も閉まっていた。ま、そりゃそうだよね。
最後の希望を残しお馴染みの旅館へ向かったワケだが、なんと奇跡的にまだ営業していた。
女将さんの心配そうな顔をよそに、俺は訊ねる。
「まだ部屋ってありますかね? 泊まれればいいんですけど……」
「はい、ちょうど一部屋余っていますよ。あなたたちが来ないといつも一部屋余るんです」
なにそれ。来る客は大抵同じ人達なのかよ。
まあなんにせよ泊まれるみたいなので、俺はふう、と一息つく。
「お食事はどういたしますか? まだ食べていないなら急いで用意いたしますが……」
「ああ、食べてきたんで大丈夫です……ってアークてめえ! 起きろ!」
立ちながら寝ているアークを起こすと、俺たちは部屋へ倒れこんだ。
あーもう疲れた寝たい。
「では、ごゆっくりお休みを。布団はもう敷いてありますので」
「ああ……ども」
女将さんは一礼すると、ゆっくり部屋から出ていった。
いやあ、ホント気が利く人だ。俺たちが来ることを想定して布団を敷いててくれたのだろうか。
ま、取りあえず今日は休んで……
「わあー! 布団だ布団だー!」
「わああああああああーい!」
「気持ちいい! ああ……」
俺は痛む頭を押さえながら、その場にうずくまった。
ああ、うるせえ……そして風呂入りに行かなきゃ……めんどくせえ……
俺は3人を部屋から引きずり出していくと、女湯へと放り投げた。
……熊がいなければいいのだが。
男湯へ俺は入っていくと、眠い目をこすりながら脱衣所へ向かった。
風呂から出ると、俺は改めて自分がこれからどうするべきか考えてみた。
……いや。本当に今更なのだが、俺はこんなバカみたいなチームに入りたかったワケじゃない。そりゃあ美少女3人だし周囲の人からは羨ましがれると思うんだが、こっちは全然嬉しくないのだ。
一時期クズ呼ばわりされていたこともあったし、本当にロクなことが無い。
移籍しようかな。いや、でもそれだとコイツら怒りそうだしなあ……
……考えてたらまた頭痛くなってきた。今日はもう寝よう。
「いやっほ―――――――!!」
「ちょ、お前らやめろ……ダニ舞うから……」
ああ、もう何なのコイツら……帰りたい、ニートに。
俺は部屋の電気を消すと、すぐさま自分の布団へ入る。
「京夜さん! なんで電気消しちゃうんですかあ! 私たちの夜はまだまだこれからなのに!」
「うるせえこのバカ3人! 他の人たちに迷惑だろうが!」
俺は最後の気力を振り絞り注意すると、ライアは仕方なさそーに布団に入っていった。
それに続いて、しぶしぶアークとコハクも布団へ入っていく。
本当にまともなメンバーが居ねえ。どうすればいいんだろう。
そして当然のごとく、アークは俺の布団に入って来た。もうホントなにこの悪習慣。
……もう何とでもなれ。
俺はゆっくりと目を閉じると、ニートに戻るという目標を心に刻んだ。




