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魔人様、決着……?

「おっと。残念だね。私に不意打ちなんざ効かないよ!」

「っ……!」

 見事に攻撃をかわされた俺は、思いっきり腹に蹴りをかまされた。

 うっ……いや、痛くはない。別に大して痛くはないんだけど、女の子に腹を蹴られる時点でもうダメだ。

 ああ……終わったな、俺。

「あはははは! 見事に食らっちゃった! どう? 今の気分は」

「おかげ様で最悪の気分ですよ」

 アルゼルトはソプラノの笑い声を上げると、再び俺に突進してきた。

 もうやめてくれ、ホントに死ぬから。俺以外に狙う奴いるだろ。

「なあ、なんでアンタはそんなに怒ってんだよ。そりゃあ部下を倒されて悲しいのは分かるけどさ」

 俺は攻撃をかわすと、アルゼルトの気を紛らわすため、適当に話を持ち掛けた。

 すると、アルゼルトは怒りの表情で、一言。


「はっ……! あなたが……私の部下を……あの子たちはね……私のお気に入りだったのよおおおおお! 毎日毎日可愛がってあげて、なでなでして、愛着があったのよおおおおおおおおおお!」


 ……は?

 おかしいな。幻聴だろうか。

「毎日高級な餌もあげて、スキンシップもして、あの子たちに構ってあげることが私の唯一の楽しみだったのよおおおおおお! なのにっ……なのにあなたがあああ!」

 どうやら幻聴じゃなかったっぽい。

 いやいや、マジですか。ライオンもどきとトリケラちゃんが、アルゼルトの部下、またはペットと。

 あの二匹のことを、スーパー・オブ・ゴッドと呼んで称えてやればよかった。俺がもしあの人に飼われたら、一日でギブアップするもん。

 つーかだとするなら放し飼いじゃねーか。ライオンもどきは街中だし、トリケラもどきは森だし。

 ライオンもどきに関しては動物園から逃げて大騒動になったライオンとも言っていいだろう。

 うーん、取りあえず謝っといた方がいいかもしれない。

「いやあの、すみませんでした。ライオンもどきとトリケラもどき殺しちゃって。悪いことしちゃいましたね」

「は!? ライオンもどき!? トリケラもどき!? いい、私があの子たちにつけてあげた名前はね、『ライオンズ・ザ・ファイナルジュリエット』、『ボラーズ・ザ・カル……』」

「うるせえ! いちいちそんなの覚えられるか!」

 くそっ、俺の方が惑わされちゃったじゃねえか。

 俺の後ろでは珍妙そうな顔で、3人が呟いているのが聞こえる。

「もはや京夜さんは魔人とすら話せる天才なんですね……もういっそ尊敬しちゃいますよ」

「うん。モンスター相手に突っ込み入れてる」

「ピピ以外にも話せたとはな……」

 ……俺自身も驚いている。

 いや、ピピもアルゼルトも話すから当然会話はできるんだけど、でも突っ込みを入れちゃう俺もどうなのかな。

 でも誰でもアレは突っ込みたくなるハズ。ジュリエットとかペットの名前につける奴そう居ないって。

 俺が戸惑いながらもスパエメちゃんソードを構えると、アルゼルトは。

「はっはっは! そろそろ終わりにしてあげるよ! 私の部下ペットを殺したこと、あの世で後悔するんだね!」

 モンスターのくせにあの世があること信じてるんだ。

 いや、実際確かにあるんだけど。

 俺は3人の前に立ち守るように剣を構えると、アルゼルトを睨んだ。

 ……え? なぜ3人の前に立ったかって? そりゃあ最後ぐらい悔いのないように死にたいから……ごめん、嘘です。

 いや確かにそれもあるんだけど、85%はカッコつけたいから、かな?


「あはは! 弱いクセに仲間は守ろうとするんだ! 面白い、死ねッ! 『ファイナルバースト・カリバー』ッ!」

 アルゼルトの両手から現れた巨大な闇のエネルギーが、俺の視界に迫っていく。

 ……あれ、ヤバい。ノリでカッコつけたけどヤバいやつじゃんコレ。

 俺がさてどうしようか、とのん気に考えていると。


「やめてお母さん! ハンターさんたちを殺さないで!」

「なっ……シオン!? 待ってなさいって言ったでしょっ……」


 突如現れた少女によって、そのエネルギーの狙いは逸れた。

 

 お母さん……だと……!?

 

 

 

 


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