表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
59/299

魔物からの依頼

「……結局、アイツらは何をしに来たんだ? ただ邪魔をしに来ただけだと思うんだが」

「は、はは……まあ、新しい装備も試せたし、いいんじゃない……?」

 俺たちは街を歩きながら、そんなことを話し合っていた。

 いや、何をしに来たのかは大体分かる。大方、悪魔になった俺を救いに来てくれたんだろう。

 ただ救いに来てくれた天使たちには申し訳ない気もするが、まあいいか。変に喋られて俺が悪魔だってことをバラされても困るし。

「いやー、どうでした私の必殺技!? カッコよかったですか!?」

「ああ、炎がカッコよかった」

「私は? 私はー?」

「ああ、アークも。……てか猫耳取れ。俺が変な趣味を持った人間だと思われたら困る」

 俺が周りの人たちの視線を警戒しながら頼むと、アークはしぶしぶ猫耳を取った。

 インコ探しの時も悪い噂が流れちゃったしなあ。これ以上俺が変質者だと思われては困る。

「というかピピは? 居ないけど」

「ああ、ピピなら食堂の店主に預かってもらっている。クエスト内に連れて行ってモンスターに食べられるかもしれないからな」

「……今更かよ……」

 もう何回も連れてってるじゃねえか。

 しかし、ピピが店主さんに悪口を吐いていないか心配だ。フライドチキンなんかにされなきゃいいけど。

 俺はふうっ、と息を吐きながら、一言。

「なんかさっきので疲れちまったな……休憩しないか?」

「うん、さすがに私も疲れた……」

 フラフラと揺れながら歩くアーク。

 コイツは『ウォーターデッド・ファイナルフリーズ』で体力が減らなかったため調子に乗ったのか、何発も魔法を連発していた。

 でもまあ、初期よりは大分成長していたと思う。「伝説の魔法使い」には一歩近づけたんだろうか。

「取りあえず、受付窓口行くか。クエスト行く途中で、休憩すればいいし」

 

 俺の一言に、3人全員が力なく頷いた。




「あ! ええと……ササキ・キョウヤさんですね! あなたに、強制依頼クエストが届いております!」

 俺たちがやっとのことでクエスト受付窓口まで着くと、係員さんがバタバタと俺に駆け寄ってきた。

 来て早々最悪の沙汰が来たなあ、オイ! なんだよ強制依頼クエストって。

 眉間にしわを寄せながら、俺は係員さんの知らせに耳を傾ける。

「依頼相手は誰なんですか?」

 俺は最低限必要なことだけ訊いてみることにした。本当はもっと訊きたいことはあるのだが、まあ取りあえず我慢しておこう。

 すると係員さんは、酷く申し訳なさそうに。


「そ、それが……依頼相手が魔物モンスターなんです。依頼書によると、魔王に使える部下なんだとか」

『……は?』


 俺たちは同時に素っ頓狂な声を上げた。

 モンスターが……クエスト依頼だと……? ふざけてやがる……

 しかし俺たちは、ただでさえ疲れているのだ。できれば無駄な労力は費やしたくない。

「無視したらどうなるんですか?」

「この街にやって来て、直接依頼しにくると思います。なにせ相手は魔物モンスターなので、被害が加わるおそれがあります。……申し訳ありませんが、行っていただけないでしょうか?」

 そう言って係員さんは、深々と頭を下げた。

 別に係員さんが頭を下げる必要はないと思うが――――――モンスターがクエスト依頼なんて、随分変わったこともあるものである。

「京夜、どうする? 行くなら私たちも手伝うが――――――」

「……仕方ねえ、行くよ。なんで俺だけ依頼されたのか気になるしな」

 へっ、上等じゃねえの。

 モンスターにまで知れ渡っているなんて、俺も有名になったもんだ。

 それに俺らの目標は「魔物モンスターを狩る」。ちょうどいい機会かもしれない。

「あ、ありがとうございます! それでは場所は闇の森となっていますので、魔法陣へとお入りください!

――――――『カオス・レインド』!」

 係員さんが叫ぶと同時に、ちょうど4人分ぐらいが入れるくらいの魔法陣が現れた。

 ……思ったんだけど、クエスト全部これで行ければいいのに。魔法陣を造るのにも体力を使うのだろうか。

 まあ、今は取りあえず深く考えないでおこう。


「それでは、頑張ってください! 魔物モンスターを討ち取れることを、心から願っております!」


 その係員さんの声で、俺たちは光に包まれた。

 




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ