天使vs京夜
「おっと……危ない危ない」
俺は攻撃を避けながら、相手へと接近していた。
装備のおかげか、体が上手く動く。
「このっ……ちょこまかと……」
ウリエルとミカエルが斬りつけようとしてくるが、俺にはそんなの当たらない。
その攻撃を避けると、俺はウリエルに思いっきりビンタをかました。
「貴ッ様ァ……神の使いを殴るとは……許さんッ!」
ウリエルが鬼の形相で俺へ急接近してきた。
後ろにはアマテラス。これ避けれないやつである。
俺は青緑の色をした剣でウリエルの攻撃を受け止めた。ちなみにこの剣の名前は「スパイラル・エメラルド」というらしい。長いからスパエメちゃんでいいや。
「『妖弓睡眠弾ッ』!」
遠くからコハクの叫び声が聞こえる。
それと同時に、一本の弓矢がミカエルへと飛んでいった。
惜しくもその矢は外れたが……あれって睡眠弾か?
「援護する」
小さくコハクはそう言うと、俺の後ろに立って弓を撃ち続けた。
「危ない危ない! 俺に当たるから!」
「問題ない。当たらないようにしてるから」
コハクはそう言いながら矢を撃ち続ける。
いや絶対当たるって! さっきから俺の装備にかすってるもん! 新品なのに。
「ほう。まさか弓使いがいたとは。では私もそろそろ……」
「『ウォーターデッド・ファイナルフリーズ』!」
「えっ、ちょっ、待っ……きゃあああああああああああああああああ!」
アークの魔法で、アマテラスは氷に包まれた。
……アイツ口だけで、大して強くなかったな。そりゃあ、あんなクソ強い魔法誰でも回避不可能だけどさ。
俺がウリエルミカエルと戦っているとふと、アークがまだ立っていられていることに気が付いた。
「……お前、体大丈夫なのか?」
「バッチリ! いやあ、ここ最近走ったりしてたから、体力ついたのかな? まだ戦える!」
そう言ってアークは、再び魔法杖を前に出した。
ちなみにアークの杖は、前使っていた物より少し強い物となっている。杖は修理するから要らないと言っていたアークだったが、武具屋を出る寸前のところで、「やっぱ買う!」と言い出したのだ。
結果アークは、以前の杖と全く同じ杖を買った。
別のにしても良かったんじゃないかと言ったが、以前のがお気に入りだったらしい。
「くっ……貴様ら……ただじゃ済まさんっ……!」
「『サイクリッド・ファイアーソード』!」
「ちょ!? ぎゃああああああああああ!!」
ライアの必殺技により、ウリエルは炎に包まれた。
……なんかコイツらあんま強くないな。いや、全部不意打ちで決めたからっていうのもあるけど。
俺が残ったミカエルと相手している、その時だった。
「街のみなさーん! ここに変態がいまーす! いやあああああ!! 私を助けてえええええええ!!」
「ちょ、君!?」
突如ライアが発した叫び声のせいか、街の住民たちがゾロゾロと集まってきた。
「お、ライアちゃんじゃねえか。なんだソイツ。知り合いか?」
「俺たちに喧嘩売るとはいい度胸じゃねえか……」
「殺るか? 殺っちゃう?」
「キモイ見た目しやがって……」
大勢の男ハンターたちに囲まれ、さすがのミカエルも驚いたのか「え、あの……?」と弱々しい声を吐いている。
……セコイ戦術だったけど、まあいいか。
「くっ……おい佐々木・京夜! 貴様は絶対、天界へと送り出すからな! 覚悟しておけ!」
アマテラスとウリエルを担ぎながら、ミカエルは捨てゼリフを吐いた。
それと同時に巨大な魔方陣が現れ、3人は姿を消す。
「おいありゃあ、なんだったんだ? 魔法陣を使うハンターなんてかなり珍しいよなあ?」
「ああ、アイツ一体……今度ライアちゃんに手ェ出しやがったらただじゃ済まさねえからな!」
そう言い残し、住民たちは去っていった。
いつの間にライアはこんな人気者になってたのかよ。
……ホント、何だったんだろう。




