装備変更! しかし決まらない!
「おお! すげえ! ヤバいすげえ!」
街にある武具屋にて。
俺は近年まれに見るような、バカはしゃぎを見せていた。
「おおお……すげえ光ってる! なにコレ!? なんでこんな闇っぽい色してんの!?」
最初行った時は店内までよく見えなかったのだが、改めて見てみると結構すごい装備が多い。
ヤバい、ホント興奮するわ。
防具や武器それぞれにダメージ減少量や切れ味などの説明覧があるので、分かりやすい。
「京夜さんどうしました? バカはしゃぎして。……あ! 私これがいい!」
そう言ってライアが手に取ったのは、緑色に光ったキレイな防具だった。
……いや、別にダメと言うワケじゃない、そういうワケじゃないんだけれども。
「お前、ダメージ減少量のこと考えてる!? 他のが減少量1200とか2000とかある中で、5だよソレ!? ダメだろ!?」
「はっ! 私としたことが何たる不覚っ……仕方ない、別のにします」
そう言ってライアは残念そうに防具を元の場所に戻した。
というかなんであんな物まであるんだよ。絶対実戦用には使えないと思うんだが。
「ふう……俺は何にしようかな……」
先ほどから店内全体を見回しているのだが、すげえのがありすぎてどれがいいのか分からない。
取りあえず金もあるんだし、多少減少量の高いヤツを……
「きょーや見て見て! 猫ちゃん防具セット! きょーやなら似合うんじゃない?」
嬉しそうにアークが持ってきたのは……何だコレ。
お尻の部分に尻尾が生えてるし、おふざけ装備としか思えないんだが……
「うおおっ!? すげえ! 減少量4000だと!?」
「ね? すごいでしょ?」
説明覧を見ると、「減少量4000」と書かれていたので、思わず俺は驚愕する。
価格は、6000ゼニーと書かれている。まあ普通に払える金額だ。むしろ安い方かもしれない。
……いや。でもな。
「……お前さ。俺がコレ着たらどう思う? ねえ? おかしいだろ?」
「い、いや……かわいい……んじゃないかな?」
アークの戸惑いの声に、後ろにいたコハクがブッと吹き出した。
おかしいから、どう考えても。
……いや、俺以上に似合わない奴だっているか。ティールなんかが着たら、きっと世界の全国民が青ざめることだろう。地獄絵図だわ。
「えー。きょーやだったら似合うと思ったのに」
「……じゃあお前が着ろよ。お前確か、猫耳持ってたよな? それと組み合わせれば最強コンビじゃねえか」
「なっ、なにい! どうして私の持ち物を……」
「……前、クエスト内に泊まった時リュックの中を見た」
俺の言葉に驚きながらも、アークは自分のポケットを探った。
するとその手には、しっかりと茶色の猫耳が握られている。
リュックの中には結構な量の物が入っていたのだが、あれらは一体どこにやったのだろうか。
支給品専用のリュックだったとはいえ、そこそこの大きさはあったハズ。まさかアークのポケットは4✕元ポケットと化しているのだろうか。
「きょーや! 着てみたよ!」
俺が店内をうろつきながら長考していると、ネコ装備を着たアークが俺の元へやってきた。
しっかりと猫耳も頭に着け、結構クオリティの高いコスプレ……いや、装備となっている。
いや、可愛い。可愛いんだけどさ。
「お前防具目当てで来たんじゃないだろ。魔法杖を買うんじゃなかったのか?」
「え? あー……魔法杖なら修理するからいいよ」
そう言ってアークは、ネコ防具をレジへと持っていってしまった。
なんというか……あっさりしてんなあ。
ライアですら別の防具を探しているというのに。
「コハクは何か買うのか?」
「ああ、一応最低限の装備は買いそろえておこうと思う」
そう言ってコハクは、弓矢のセットを手に取った。
ああ、そうか。弓を使うんなら矢も必要になるしな。
「ヤバい。俺も早く見つけなければ」
俺は急ぎ足で、いい装備がないか探し始めた。
……強そうなのがあればいいのだが。
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