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俺、異世界で悪魔になりました! ~あくおれっ!~  作者: 紅羽ユウ
天使と悪魔、どっちでしょうか??
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魔物vs悪魔、決着

「おっと! こっちだこっち!」

 俺は木の生い茂る森の中、トリケラもどきをあの大木へと誘導していた。

 角が飛んでくるのももちろん危険なんだが、それ以上に木の枝が刺さりそうで怖い。飛びながら角も枝も避けなければいけないワケだから、かなり大変だ。

「違え……もっとこっちだ! バーカバーカ!」

 俺はトリケラもどきを挑発しながら、大木の枝へ紐を巻き付けた。


 ……よし、準備は万端だ。後は、神様が味方してくれればっ……

 

 俺は別の木の陰に身を隠すと、息を殺し始めた。

 ズシリズシリとトリケラもどきが近づいてくるのが分かる。


「———————今だっ!!」

 

 俺は木陰から飛び出すと同時に、魔法を唱える。

「『プチ・サンダー』!! からの……おらあああああああああああ!!!」

 渾身の力を込めて俺は、電気メタルソードをトリケラもどきめがけて投げた。

 メタルソードは一直線に飛んでいき、トリケラもどきの腹部へと刺さる。

「グオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォ!!」

「おしゃああああああああああああああ!! 落ちろオォォォォォ―――――――!!!」

 トリケラもどきは俺が大木付近に仕掛けてあった罠—————落とし穴に落ちると、甲高い悲鳴を上げた。

 落とし穴を作るのはめちゃくちゃ大変でしたよ。

 何とか逃げ切った後に、スコップもないから素手で掘ったんだぜ?

 そのせいで悪魔の爪が割れたが、まあいいか。成功したし。

 終わり良ければ総て良し―――――――ってな。

「グハハハハ!! 今からお前は拘束され――――――ってアレ?」

 俺は枝に結び付けてあったハズの紐に手を伸ばしたが、紐はない。

 どこに消えたんだと思い探してみると……


「あっ! ちょっ! 飛んでくなああああ! 帰って来おおおお――――――――い!!」


 紐は風に乗って、どこまでもどこまでも飛んでいきました。

 めでたしめでたs……じゃねえ! 紐が無いと作戦がっ……!!

 本来なら落とし穴に引っかかったトリケラもどきを紐で木に結び付け、拘束するつもりだったのだが。

「ちくしょッ……まあいっか。どうせすぐには出られないだろーし。『サンダー・レイン』!」

 たぶん、拘束してもどうせすぐに切れてたしな。

 俺は魔法でトリケラもどきをしびれさせると、すぐさま爪で斬りつける。

 俺が調子に乗って魔法も使いまくってた瞬間。


「グオオオオオオオオオオオオオオォォ!!」

「ちょっ!? 早いよ! 出るの早いから! ってぎゃあああああああ!」


 罠に引っかかって1分も経たない内に、トリケラもどきは落とし穴から這い上がって来た。

 ふざけてんの!? さすがに早すぎる。俺の努力を返せ。

 そう思っている間にも、トリケラもどきは俺を踏み潰そうとしてきた。

「ひぐああああああああああ! 目がッ! あああああ!」

 潰されることは避けられたが、飛んできた砂が目に入った。

 視界がッ! 目が見えねえ。

「グオオオオ!!」

「ちょっと落ち着け! カルマアァ――――ト!」

 飛んできた角を必死にかわすと、俺は翼のおかげで何とか逃げることができた。

 俺の唯一の利点を上げるとするなら、飛べることだろう。トリケラもどきは、翼が無いから飛べないしなあ! ざまあみろ!

「うおらあああああああ!」

 俺が急降下すると、さすがに疲れたのか、トリケラもどきは雄叫びを上げてこなかった。

 代わりに、角をやたらと飛ばしてくるのがウザい。

「残念ながら、攻撃は当たりません♪ シュートオオオオォォォ!」

 俺は足でトリケラもどきの顔面を蹴りつける。

 今の一撃が効いたのか、確かにトリケラもどきが怯んだのが分かった。

「今までのお返しだ! オラオラオラ―――――!!」

「グオオオオオオオオォォォォ!!」

 俺は爪で攻撃しまくるが、やはり皮膚が硬い。攻撃が通らねえ。

 そう気づいた瞬間にも、トリケラもどきは俺に突進をかましてきた。

「がっ……!?」

 ヤバい、ゲロじゃないけどヤバいやつだ。

「はあっ、はあっ……くっそ……あああっ!!」

 俺は吹っ飛ばされつつも何とか食いとどまり、トリケラもどきの元へと猛ダッシュしていった。

 あと一撃食らったら死ぬと思ってたのにな。まだ耐えていられることに驚いたわ。


 でも―――――――これで最後だ。

 たぶん俺は次攻撃されてもされなくても力尽きるだろう。

 そのくらい俺の体はボロボロだ。

 もし最後に意識があったなら、全力で殴らなくちゃな。悪魔だってバレちまう。

 でも、死ぬんだとしたら、最後くらいカッコよく決めないと。


 俺はヤツに拳を振り下ろしながら、大声を上げる。


「あああああああああああああああああっ!」

「グオオオオオオオオオオオオオオオォッ!」


 俺は攻撃した後、最後の最後で自分の顔面をぶん殴った。

 カッコよく決められて良かった。もう悔いはない。

 

 俺はうっすらと笑みを浮かべながら、意識を閉ざしていった。

 

 

 


 

 

 

 

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