仲間と朝食を食べた! 体力が10上がった!
「なあ、一つ訊きたいんだが」
旅館にある食堂にて。
俺は味噌汁をすすりながら、みんなへと尋ねていた。
味噌汁が異世界にあったことに驚きだが。
「ハンターカード作る時って、土下座させられた?」
「ああ、俺はさせられたぜ。天神ゼウス様と邪神サタン様に誓ってな」
「え? 私はそんなのさせられなかったよ」
「私も」
男子組はさせられたと言っているが、女子組はさせられたという答えが返ってこない。
……。
「……え。それってひどくね? なんで男はしなくちゃいけないんだよ」
「さあー? でも男の人は昔から、ゼウス様とサタン様の奴隷だったという説もありますよ。それが関係しているんじゃないでしょうか」
「いや、それこそ男女差別だろ。ひどくね? え、ひどくね?」
「まあそう言うな京夜。もう過ぎたことなんだから」
ティールにバンと背中を叩かれ、俺は飲んでいた味噌汁を盛大に噴出した。
ヤバい! 器官にっ! 器官にいいい!!
「汚いです京夜さん。それより、今日は行く場所は決まってるんですか?」
ピューラは冷たい言葉を発しながらも、俺が一番訊きたかったことを訊いてくれた。
できれば冷たい言葉を発するのはやめてよねっ!! さすがの俺でもたくさん悪口言われると落ち込んじゃうからっ!!
どこに行くかは分からないが、まあ多少は考えているだろう。
「ああ、それな。ちなみに行く場所は……決まってません。いやっほーい!!」
……は?
いや待て、おかしいだろ。「いやっほーい!!」じゃねえよ。
いくらなんでもノープランすぎる。ここはもっと計画的に……
「お! いいですね! 私はそういうスタイル嫌いじゃないですよ! ガンガン行きましょう!」
「楽しそうだな。まあ適当に捜していれば何とかなるだろ」
「むぐむぐ。わーい、面白そう!」
……ああ、なんてこった。
ここにもバカが何人か。
俺は頭を抱えながら、ガクッとその場に崩れ落ちた。
「どうしてこうなった……」
魔物モンスターが現れる場所なら、多少の見当は付いているのかと思っていた。
それなのに、なんだこの「まあいっか」感。全然良くねえよ。
「うっ……痛って……」
頭が砕けそうだ。17年間生きてきた中でこんな頭痛経験したことがあっただろうか。
……俺どこで間違った?
いや、最初ティールが誘ってきた時点でおかしいと思っていても良かったのかもしれない。
ましてや、馬車の時での事件もあったのだ。勘づかなかった俺もバカなんだろうか。
俺以外の奴ら全員は、楽しそうに笑っていやがる。計画性0だな。
……でも、まあ。
「はあ……まあもう、いっか! 知らん、知らんぞ俺は!」
俺はガバッと起き上がると、再び朝食を食べ始めた。
こうして仲間たちと楽しくメシを食べられていられるだけでも、俺は案外幸せなのかもしれないし、悪くもない。
チマチマと細かいことを考えてたら、きっとダメなんだ。この世界では。
「……よし! 今日一日、やるしかないか!」
そんならしくもないことを考えながら、俺は再び味噌汁をすすり始めた。
少し短くしました( *´艸`)




